第三百七十八話 纏まり
フレイは悩ましげに俯いたかと思った瞬間、こちらへバッと顔を上げる。
「私はサラマンダーを……助けたいです……! 手段があるなら、どんな手を使っても……!」
爛々と目を輝かせ、フレイは闘志に燃えていた。もう先ほどまで抱えていたような迷いは見えない。彼女がこうなれば、きっと怖いものはないはずだ。
闘志に満ちるフレイへそっと微笑みを向け、私は頷く。
その直後、後ろの二人へと意識が向き、彼女達二人へと振り返った。
「……ウンディーネ、イレティナ。二人は……どうしたい?」
ウンディーネもイレティナも、私の質問に顔色を変える事はなかった。
真っ直ぐとした目をして、こちらを見る。
「私は……助けたいよ。だって、サツキさんも言ってるけど、仲間だもん! 出来ることが有ったら何でもやるよ!」
イレティナは覚悟を決めたようにこちらを見る。
それに頷くと、間も無くウンディーネがその口を開き。
「……私もよ。何だかんだ言って、あいつには借りがあるから。……何をするかはあなたに任せるわ」
言葉は素っ気無いようでは有ったが、助けたいと言う気持ちがひしひしと伝わってきた。
ウンディーネは、一番サラマンダーとつながりがある。私以上に助けたい気持ちを持っていておかしく無いはずだ。
それでも、私に任せると言ってくれている……。
二人の言葉を聞き、私は改めて決意を胸の内に抱いた。
「おい、話はまとまったのか? 時間は限りがあると……」
「どれくらい残ってるの?」
「……あ?」
私の質問に、芦名は聞き返すように言葉を漏らす。
「時間はどれくらい残っているのか聞いているんだよ。君の言葉に信憑性を持たせるためにも、私達の救出の成功率を高めるにも情報が必要だ。時間の許す限り君に質問するよ、構わないかい?」
芦名は私の言葉に若干苦い顔をしていたが、すぐに無表情に戻ると、私へ告げる。
「……わかった。じゃあ一番最初に伝えてやる。お前に残されている時間は、後十五分だ」