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第三百六十八話 大詰め

「っ……! 分かりました!」


 フレイは両手を突き出し、光の輪を出現させる。

 次の瞬間にはそれを囲うようにしてまた輪が現れ、瞬きもしない内に再び輪が増える。


 みるみる内に輪は広がっていき、地を、空を覆い、芦名をその中へと閉じ込めていた。


「……! これ、は……がっ!」


 芦名は周りの異常事態に気が付いたのか、ウンディーネに叩かれ続けながらも上を見上げようとする。

 だが……


「もう遅い! フレイ、全力でぶっ放しちゃって!」


「はい! 『無限……連撃(ブライト・スロウ)』ッ!」


 その瞬間、囲まれていた空間の中の音と光が一色に塗り潰される。

 銃弾が飛び交うような激しい衝突音と共に、唐突に巻き起こった風によって地に生える草や私達を取り囲む木々が、激突の中心から逃げ出すように花々や木葉を空中へと投げ出していた。


 ……今、芦名に向かって、三百六十度全ての方向からフレイの攻撃が加えられている。それも、たった一方向からの攻撃を防ぎ損ねた瞬間に彼の生命を終わらしかねない一撃だ。


 彼の『無限』の弱点は、もう一つある。

 それは、()()()防御が不可能、と言う事だ。彼のマント……私の攻撃を全て吸収したあのマントに、力の大きさでは勝負できない。どんなに強大であろうと関係は無い。もし神の天罰なんて物があったとしても、飛んできたボールを軽々と取るように持ってしまう。


 だが、彼の『無限』への入り口はマントの内側にしか無い。彼が気づけていないまま、背後からボールが飛んでくれば激しく打たれて大ダメージを負うだろう。


 だが勘のいい芦名に不意打ちは上手く通じない。

 そんな芦名に、一矢報いかけたのがイレティナの攻撃だ。あそこで無防備だったら倒し切れた。


「つまりは……全方位から、休む暇もなく彼に超高速の攻撃を間髪なく撃ち続ければ勝てる!」


「へえ……あら? でも私達それじゃ要らないわよね? フレイがこのまま押し切れるでしょ?」


 勝ち誇って口元にたっぷり笑みを浮かべる私に、サラマンダーはふとした疑問を投げかけてくる。

 そう、理論上はそれで問題無い。しかし……


「サラマンダー、見てみなよ」


「? 見るって何を……あっ!」


 彼女の目に映っていた光景は、信じがたいものだった。

 剣が降り注ぎ最早内側がほぼ目に見えない中、一瞬隙間から見えた光景。そこには、未だ抵抗を続ける芦名がいた。


 マントを引き裂かれながらも新たに作り出しつつ、必死に盾を作っては自分への攻撃を防いでいた。

 芦名は一回に一つ作るのが限界だったはずだが……本当に窮地に立たされると人間ってのは火事場の馬鹿力を出すのかもしれない。


 まあ、それも考えての私達の仕事だ。


「フレイ、攻撃はそのまま続けて。サラマンダー……行くよ」

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