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第三百六十一話 推理

「っ……」


「お前、俺に向かって攻撃したな? 俺の『無限』に対してただの力押しは無意味だって散々分かった上で。

 何か理由があるんじゃ無いのか?」


 質問するような口ぶりに反して芦名は驚く素振りも見せなければ不思議に感じている様でもなかった。まるで、何もかも知っているかのように……。


「……理由なんて無いさ。今のはコントロールをミスしただけだし……第一、理由が有ったとして敵である君に教えるとでも?」


「ほう……ま、確かにその通りだ。お前のただの操作ミスかもしれんし、探るだけ時間の無駄かもな」


 芦名はなんの抑揚もなく投げやりに呟く。

 その雰囲気に違和感を感じながらでは有ったが、内心ほっとしていると。


「じゃ、ここからは適当に推理させてもらう。時間はたんまりあるんでな」


 その安心を裏切るように、次の瞬間芦名はそう言った。


「……!」


 一瞬目見開いて驚きかけてしまったが、表情を睨みへと変える事で何とか取り繕う。

 汗が頬に流れるのを感じながら、私は高鳴る鼓動を押さえつけていた。


 ……駄目だ、確信しているかどうかは別として、芦名は確かに疑いを持っている……!

 ここで表情に出したら、途端にアレがバレてしまう。確信しているにしても、まだ行動に移すのは早い。


 逆にカマをかけているのかもしれない……いや、今はそちらに賭けるしかないか……。驚くんじゃない……しっかりと、何も感じ取らせずに終わらせるんだ……!


「さて……さっきの攻撃だが、お前の言っていた通りここら一帯は本当に海の藻屑になりかねん力だった。

 俺の『無限』は直接攻撃には強いが地形破壊が少し苦手でな。下に設置するクッションやらボートでも、作るのにはある程度の隙が必要なんだ。……とは言っても、お前のことだ、ある程度勘付いてはいるんじゃないのか?」


「……」


「……まあいいさ、知っていようと知らないでいようと、一か八かにかけても良かったはずなのに、あろう事かお前は俺の挑発を受けて俺に向かって投げた。と言うか、アレ自体脅しだったんじゃないのか? 本当は使いたくても使えない……そんな理由があると俺は思う」


 芦名が次々と推理を述べる中、私は一言も話さず彼を睨み続けた。

 ……全部当たっている。こんな簡単に見破られるとは……! ……でも、ここまでで終わりなら、まだ核心には至ってない。大丈夫だ、無駄な時間ってだけで済む……!


「この島に、あいつら……お前の言う弱点とやらを隠しているな?」


 その言葉を締めに、芦名は話すのを止めた。

 ……良かった、ここまでなら全然問題無い。後は、不意打ちであいつの地面を三千メートル直下マグマに変えてやればいい……。


 芦名の背後にある山頂をちらりと見て、私は不適に笑い。


「……全く、とんだ無駄な時間を過ごさせてくれたね、何もかもハズレさ。君がたらたらと語っている間に、こっちは準備万端だ!」


 そう叫び、私が手中に構えた『変化』を使おうとしたそのとき。


「いや、気が変わった」


 彼のマントの端から、山の山頂に向けて極大の雷の渦が撃たれた。

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