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第三百三十話 違和感

 そして、またまた数十分後。


「ねぇサツキィ……! いくらなんでも長すぎでしょ……! かれこれ一時間は歩いてるんじゃないの……⁉︎」


 サラマンダーは再びうだるような口調で音を上げていた。

 口調だけではなく、飛ぶ勢いまでヘロヘロと右往左往しかなり疲れている様子だ。


 飛んでいるサラマンダーがそんな物なので、ウンディーネは肩を落として今にも倒れそうになりながら進み、イレティナも少し疲れている様子だった。


 しかし、それと共に私も不可解な疑問を抱えていた。

 その疑問を胸に抱きながら、サラマンダーの問いに私は困惑しながらも答える。


「うん……三十分程度で着くはずなんだ」


 私の伝えた言葉の意味が汲み取れたのか、サラマンダーの雰囲気が警戒の色に一変する。

 ウンディーネとイレティナも、顔を上げてこちらへと視線を向けた。


「サツキ……それって……」


「まだ確証は持てないけど……何かがここにいると思う。『万物理解』はマナさえあれば決して間違う事はないし、何よりマナを書き換えたやつがいたとしたらそれはそれで怪しすぎる」


 歩を止め、辺りを見回す。

 評議会の残党か……? いや、確かに全員倒したはずだ。一人残っているというなら評議会の議長だけど……議長だって今まで一度も出てこなかった。こんな場所でいきなり奇襲をかけてくるとも思えない。


 サラマンダーを片手で握り、ジワジワとマナを流し込んでいく。

 きっと近くにいるはずだ。『万物理解』で位置を特定すれば、すぐにでも……!


 『万物理解……半径五十メートルの人間の姿の確認。それとマナの矛盾点が有れば伝えて』


 大幅にマナを変えられたり、秘匿されたりすると『万物理解』は機能を失う。

 でも、今必要なのは敵がどこに居るかだけだ。仮にステルスみたいな物をしていたとしてもマナを書き換えていれば何処かで矛盾する。その矛盾した場所が、敵のいる場所だ。


 『二メートル南西側に女性体が一つ存在します。マナによる矛盾点は、介在しませんでした』


 女性体……イレティナか。だが……矛盾点が無い? って事は……。


「いない……?」


 私がポツリと呟くと、ウンディーネとイレティナがこちらを目を丸くしてみていた。

 サラマンダーも、刀身をこちらに向けていた。


「え? いないの?」


 イレティナの拍子抜けしたような声に聞かれて、私は渋々と、なんとも言い難い表情で頷いた。


「な、なーによ! やっぱりあんたのスキルが壊れてるだけじゃない! 安心したわ! ほら、行きましょ行きましょ!」


「う、うん……」


 府に落ちない……でもマナの歪みを見つけられなかったとなるとやっぱり、私の思い過ごしと言う事か……?


「あ! サツキさん来てきて! あったよ街!」


 イレティナが、私にそう呼びかけた。

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