番外編 フルーツ金策
時間は少し戻ってフェアラウス。
私達は二人で港の市を回っていた。
ところで、サクレイってほぼリンゴだよな……リンゴは寒冷な場所で実るはずだけど……。
「ねえフレイ」
「へっ?あ、はい」
フレイは口元を緩ませ市のフルーツを見ていたが、私に話しかけられ咄嗟に顔を引き締める。
「サクレイってさ、どういうところで実るの?ここは暖かいのに実っているじゃない」
私がそういうと、フレイは何を言っているのかわからないとでもいうような顔をする。
「へ……?えーっと、サツキ、当たり前ですよ?サクレイは南、オレンジは北って言うじゃないですか」
……?
サクレイは温暖な地域でできるのか?というか、今オレンジと聞こえたような。
「あるの?オレンジ?」
「定番フルーツですよ?フルーツを言ってと言われたら最初に出てくるのはこの二つです」
でも北って……多分寒いよな?だって南が暖かいんだから……
「オレンジってもしかして寒いところでできるの?」
「はい。ただ、運送がとても難しいので中々ここらへんには来ないんですよね」
うーん……確かにオレンジは見当たらないな……ん?でもだったらなんで定番なんだ?
普通出回っていなければ人気なんて出ないはずなんだけど……
「フレイ、オレンジは南で出回ってないっていうのになんで定番なの?」
「風の便り、あと王族がたまに食べているのが噂で出回るからです。北ではサクレイが高級品だとか……」
「なるほど。……おじさん、サクレイ100個頂戴」
私はあることを閃き、店先に並んでいたサクレイを注文する。
「ひゃっ……!お、おう。全部で30000オウルだ」
オウルってここでも使えるのか。まあ宝石でも出しておくかな。
「これでいい?」
そう言い、私は『収納』から大きめのダイヤモンドを一個出す。
「!?ま、まいど……」
私はダイヤモンドを渡すと、すぐに100個のリンゴを『収納』する。
「サツキ!?何をやっているんですか!?」
フレイは驚愕して私の方へ目を向ける。
「これを北に行ったときに売るのさ。高級品を売れば多少の金になるでしょ?現金も欲しいからさ」
私がそういうと、フレイはジト目になりながらカットフルーツを買って歩いて行こうとする。
「あっ!ちょっとまってよフレイー!」