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第二百八十四話 弱点

 次の瞬間、私はホークアイの元へと飛びかかる。

 それと同時に、フレイの『神滅槍(グン・グニル)』が空を切り裂いてホークアイの頭上へ飛来していた。

 

 技は強力だけど……ホークアイ自体は丸腰だ! 


 その肩を切り落とそうと、鋼鉄の手刀を振り下ろしたその時。


「ッ⁉︎ 氷……それも分厚い……!」


 私の手刀とフレイの槍は、ホークアイを取り囲む氷によって阻まれてしまった。

 でも……これを出すのにだってマナを消費しているはず! だったらこれを叩き続ければいずれこいつは……()()()()()()()()


 そう、これが私たちの狙いだ。


「どんなに強い奴にだって致命的な弱点がある。そして、共通の弱点と言えばもちろん……マナ切れだ!」

 

 どんなに強力なスキルでもマナが無くなって仕舞えば意味が無い。

 そして、ホークアイにはそれを防ぐ手段が無い! 単調だけど……これなら!


「勝てる!」


 私は左手を灼熱の拳へと変容させる。

 氷に阻まれた手刀を軸に、第二撃の拳を打ち込もうとした、その時。


「ぅ……ぁ……」


 その呻き声に、私の腕がピタリと止まる。

 振り返ると、そこには、肩まで氷に封じられてしまったフレイがいた。


 そんな……こっちの氷の展開から一秒も経ってないのに……⁉︎

 まさか……この技って……


「インターバル……無し……⁉︎」


「フフ……ええ、そうですよ」


 迂闊だった……! 連発できるならその隙を与えなければ良いと思っていたのが逆に油断になっていた……。


 ホークアイの支配するこの空間では、氷をいつでも、あらゆる場所に出せる……。

 こいつは……この一撃を決めるためにさっきわざと隙を作っていたのか……⁉︎


「サツキさん、あなたの言われていましたよね? 誰にでも弱点はある、と。

 ……その考え、深く同意しますよ。何故って!」


「くぁっ……あぐっ!」


「フレイ!」


「貴方にはこんなに分かりやすい弱点がありますものねぇ……」

 

 フレイを封じる氷が内側で棘を発し、透き通っていた中がフレイの血で赤く染まる。

 しかし、身動きを取れないにも関わらず、歯を食いしばって彼女は苦しむ声を噛み殺していた。


「どれどれ……もう少し傷の深度を深めて……おや? 何かが壁になって動きませんね……でしたら、もっと出力を……」


「やめろっ!」


 ホークアイの言葉に、私は悲痛な叫び声を上げて懇願してしまう。

 フレイには死んで欲しく無い……いや、死なれたら、私は……


「やはり……まだ克服出来ていないんですね、その弱点。貴方が他者と感情を伝え合おうと決め、それを実行に移しているのは認めましょう。しかし、心と言うものに触れて来なかったために強さを手に入れていた貴方は、其れそのものが弱点となっているんですよ」


「ど、どうしてそこまで……」


「決まっているじゃ無いですか、私と貴方が一緒だからです。それに……貴方は弱点を突かれた時に、怒りに変えられず悲しみに暮れるばかり……それは何度もこの目で見させていただきました」

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