表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

284/681

第二百八十二話 秘策

 私はそうフレイに告げると、素早く耳打ちをした。

 フレイもそれに頷き、気付けばホークアイは完全に回復して再び立ち上がっていた。


 ……これで、立場は再び元通り。このループで体力を消耗する気だったのかも知れないけど……こっちには秘策がある。


「ホークアイ、来なよ」


「っ……」


 私の言葉に、ホークアイが一瞬たじろいでこちらを睨む。

 彼から行動を起こさせないと意味がない。今攻撃に消極的になっているホークアイを動かさせるには。


「君の『研鑽』はそんな物なのかい? ただ回復能力があってちょっと強い氷結魔法が打てるだけ、そんなの私以下じゃないか」


「挑発のつもりですか?」


 ……これじゃ足りないか。何か彼の逆鱗に触れるような物が必要……あ。

 アレだったら……どうだ?


「……ま、私は君がそれだけの力って言うんならそれはそれで良いのさ。ただ、もしそうなら私達はさっさと帰らせてもらうよ」


「な……帰る⁉︎」


 ホークアイはギョッとして、身体を硬らせる。


 やっぱり食いついたか……あいつ、やけに私をここに止めようとしているんだ。

 さっきはフレイの疲労が心配だったけども、もう一つ、気にかかる点があった。


 まるで何かを待っているみたいに、私とフレイで簡単に砕ける魔法ばっかり使っている。


 つまりはそこに勝ち筋があるから私達を足止めしているわけだ。いつか来る、その何かを図って。

 ……ま、あくまで憶測だったけど……現にカマをかけたら反応したわけだし。


 扉の方へと回れ右をし、私はホークアイの方へ首だけ振り返る。


「ほらほらどうすんの? 早くしないと私達さっさと帰っちゃうよ?」


 腕をダランとさせて、より舐め切った態度を見せる。

 焦ったそうにするホークアイは我慢ならないとばかりに指先をこちらに向けると。


「『アイス』!」


 扉と私達に向かって、氷の群れが襲い掛かる。

 しかし。


「『時空転移』」


「『無限連撃(ブライト・スロウ)』」


 片方はその場から姿を消し、もう片方は無数の光剣に切り裂かれる。

 

「な……!」


 その光景に、ホークアイは目を見開いて驚愕する。


 ホークアイの魔法は不意打ちで打たれたら基本、回避は不可能だ。あのスピードと制圧力で空間はあいつのテリトリーになる。だが……。


「もう見切ったよ、正面でなら私もフレイも負けない。……さあ、どうする?」


「……なるほど、では……私も、本気を出すしか無いようですね」


 ! 来た……ここからは、全力で……!


「……来なよ」


 私の言葉に、ホークアイが両手をゆっくりと前へ延ばす。

 あまりにも静かな空気と共に、彼が唱えた言葉は。


「……『氷河凍結(アイス・エイジ)』」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ