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第二百六十三話 刀の精霊

「サツキ、アレはサラマンダーです!」


 突然フレイは、私が予想もしていなかった事を言う。

 あれがサラマンダー……? いやいや! あり得ない! さっきも考えていた事だけど……!


「サラマンダーはあんな炎出せないでしょ! それにあれだけの炎、大量のマナが必要になるから持ち主だっていないと……!」


 私はフレイの言葉が信じきれずに思っていた事をはっきりと言う。

 しかし、フレイは私の言葉に表情をこわばらせることはなく、むしろその口元に笑みを浮かべていた。


「居ますよ……! その持ち主……私の、もう一人の仲間が!」


 そう高らかに彼女が言うと、それと同時に一際大きな火柱が吹き上がる。

 いや……アレは……龍……⁉︎


「『緣焉烈火(サラマンダー・)龍鳳撃(ドラグーン)』!」


 その時、人の群れの中からそう叫ぶ声が聞こえてきた。

 龍のように見える炎がそれと同時に群れの中へと飛び込んでいき、一本道を作るように走り抜けていく。


 気付けば、そこにいた人間はどこにも居なかった。

 まさか……蒸発させたのか⁉︎ この大量の人間を一瞬で……⁉︎ 


 信じられない景色だったが、状況からしてそうだと信じるしかない。

 だが……こんな芸当、転生者のスキル程の力でもなければやはり難しいはずなのに……。


「サーツキー!」


 思考を巡らせていると、いきなり大声を出しながら誰かが飛んで来る。

 ……飛んでくる?


 頭の中に浮かんだ疑問を解決するよりも早く、その軽快で、嬉しげな声はだんだんと大きくなりながら私の元へと近づいてくる。

 そこにあった物は、空中に浮かぶ刀。こちらに向かい合うような向きになり、刀身には赤い刻印が走っている。

 

 その姿とその声は……私が確かに見たことのある姿だった。


「サラマンダー⁉︎」


「サツキ、戻ってこれたのね⁉︎ ほんと、皆がちゃんとやってくれたかで頭がいっぱいだったけど……あなたがここにいるって事は、しっかりやってくれたのよね!」


 久しぶりにあったにも関わらず、サラマンダーは私の方を向いてコロコロと声色を変えながら嬉しそうに話し続けていた。


 皆……何も変わってない。サラマンダーを見て、本当に皆私が最後に見た時と全く変わっていないって分かって……ちょっぴり安心した。


 ……あれ? そう言えば、サラマンダー……


「……浮いてる?」


 サラマンダーは、ん。と何気なさそうに私の言葉を聞くと、すぐに私の疑問に気づいたのかまたその身体を右へ左へと動かしながら。


「そうなのよ! マナティクス様のおかげで、私すっかり治って……」


「サラマンダー! サラマンダー!」


 サラマンダーが再び語り出そうとすると、先程炎の龍が吹き上がる時に聞こえてきた声がサラマンダーの言葉を遮って耳に入ってくる。


 その方向を見ると、そこには赤髪の女性が焦るような表情をしながら日本刀で敵と戦っている姿が……。


「あ! いけないいけない! サツキ、久しぶりで悪いんだけど、ちょっと手伝ってもらうわよ!」

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