第二百五十二話 再会2
「こ……『煌光』……? 何でこんな所に……」
後ろから、拍子抜けしたような声が聞こえて振り返ると、そこにはどこか見覚えのある、灰色の髪の男がいた。
この男が……アシナ……。
……何か思い出せそうな……?
そう思い、聞いてみようと口を開いた瞬間。
「まさか……お前、サツキか⁉︎ って事は……フレイ、上手くいったんだな!」
こちらを見て、アシナは目を丸くするとフレイの方を向いて、嬉しそうに言う。
釣られるようにしてフレイの方を向くと、フレイもそれに微笑んで返していた。
すると、男は顔を下に向け、震えながら。
「……よし、よし、よしよし、よし!」
まるで子供のように、無邪気に喜んでいた。
……何故だか、この人らしくない、と思う。前見た時はこんな感じじゃ……ん? 前……見た時?
「あ……! あぁ、思い出した! 芦名! そうだ、君は東條芦名だよ!」
いきなり頭の中で弾けた記憶に、私は目の前にいた芦名を驚き半分で指さす。
「お、おぉ……それは間違いねえと思うが……どうしたんだ?」
そんな私に、当然の如く芦名は訝しむような表情を見せた。
まあ、こんな事を出会ってそうそう言われたら無理もないか……。
「いやあ、いろいろあって……フレイに助けられたのも紙一重というか___」
「ゴチャゴチャなに話していやがんだ!」
横から聞き覚えのない罵声と共に、何やら人影が飛んでくる。
俊速でこちらへ向かってくる何かに対し、私は。
「『変化』、『神速』」
それを超える神速で刹那の時間も与えずにその頭を上から下にかけて足でなぞる。
その瞬間、こちらへ向かっていた人影はその輪郭を中心からずらされていき、地に力なく落ちた。
久しぶりだけど……簡単に真っ二つにするくらいは出来るな。
「サツキ、まだまだ敵はいますよ」
割れた死体を眺めていると、フレイが私の袖を引いて静かに告げる。
……確かに、目算だけでも五十人はいるな……。どうやって倒すか……。
「サツキ……その……」
「ん? どうしたの?」
思案していると、フレイが私の横に立って少しもじもじとしながら話しかけてきた。
何か言いたげな雰囲気だが……。
「こういう時に言うのも気が引けるんですが……私、今は何だか誰にも負けないような気がするんです。サツキが戻ってきてくれて、私ももっと頑張れると言うか……」
……そう頬を赤らめて言われると何だかこっちまで照れてくるような……。
「惚気は後にしてくれよ……」
「違いますから! 惚気とか、そう言うのでは……」
敵を前にして、まるで日常のように何気ない会話をフレイは顔を真っ赤にしながらしている。
……そう、だよね。これくらいいつも通りでいなきゃ!
「ん……? サツキ、何を笑っているんですか?」
「いや……何でもないさ。さあ! 全員倒してやる!」