第二百四十六話 記憶の回帰その1
それも……触れた瞬間、私の頭に流れ込んでくるようにしてやって来た。
背景から、何もかも鮮明に表されている……。もしかしたら、サツキの求めていた事が分かるかもしれない。
「サツキ……」
彼女の丸めた背中をジッと見つめると、不意にある考えが浮かんだ。
あれがサツキの精神なら……私が彼女の求めている事をしたら、叶ったと言うことになるはずだ。
でも……未だにサツキはあのままだ。つまり、求めている事は私に助けてもらいたかった……では無かったと言うことだ。
私は……サツキが求めてもいない事を……?
「……」
少し思ってしまうところもあるが……今は自分の感情にかまけている暇はない。
とにかく、情報を手に入れるしかないんだ。サツキの記憶から、一体彼女が何を求めていたのかを。
私は決心して一つ頷き、サツキへと足を進めていく。
彼女のすぐ後ろに立ち、その背をジッと見つめ。
「サツキ……見せて下さい、あなたの記憶を!」
そう叫び、彼女の肩に両手を伸ばした。
*
気づくと、風景は光に彩られた明るい空間へと移動していた。
金属同士が打撃を繰り返すような、鈍い音が空間を支配する。
「その装甲はマナの凝縮体。ただの鉄屑と付け焼き刃のスキルなど相手ではありません。ははははは!!」
その只中、一人高笑いをするものがいた。
声のする方を振り向くと、そこには金髪の長い髪を持ち、白いスーツを着て、貴賓のある雰囲気を感じる男。
そして、その奥には鈍い音の源が打ち合っていた。
一方は、白いローブを翻し、刀を振る。もう一方は、黒い鎧を身に纏い、全身を覆う甲冑による手刀を繰り出していた。
あの白いローブ……もしかしてサツキか……⁉︎
それに加えて、あの黒い鎧の人間に、金髪の男……。間違いない、この記憶は、サンフォードの王、コウキ
の城内での記憶だ。
しかし、何処か違和感を感じる。サツキの動きにキレが無い……というか、私に圧されていないか……?
……そうか。まだスキルも全然揃っていなかった頃なんだ。
あの時のサツキは、そこらへんの人よりも、ちょっと強いくらいだった……。
それなのに、私を助けるために王にまで戦いを仕掛けた……。
そこまでして、サツキは、必死に___