表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

227/681

第二百二十五話 岩の壁

「そいやぁっ!」


 掛け声とともにサラマンダーは前へと突き進んでいった。

 私の言った通り、敵を無視して、隙間を縫い、掴もうとしてくる敵の手を紙一重でスルリとすり抜けていく。


 しかし……このままでは私達の方が置いていかれてしまう。

 あんな風に飛ぶ事は出来ないが……私は、私のやり方で!


「『仮神翼(イカロス)』、『絶対聖域(ホーリー・グレイル)』!」


 私達を取り囲むようにして球状に障壁が現れ、敵と私達の間を隔てる。

 それと同時に翼が現れ、私を除いた四人を抱え、準備が整うと。


「全力で行きますよ……! はぁっ!」


 地面を蹴り、私は突撃をするかのように滑空する。

 目まぐるしく景色が変わるようなスピードで、突き進んでいくが。


「逃さんッ!」


 目の前にいた敵が腕をこちらへ突き出して叫ぶと、唐突に金属でできていた地面が割れ、そこから岩の塊がどんどんと隆起していった。


 塊は横に並ぶように次々と現れ、私がそこまで後もう少しという所で完全な壁となってしまった。


 岩は頑強であり、この地を支える大切なものだ。力強く、雄大だ。それを操るスキル……なのだろう。


「かなり強い壁なのでしょうね……ですが、決して壊せないわけではありません! 『神滅槍(グン・グニル)』ッ!」


 岩の壁へと向かっていく私達に連なり、光の槍が形成される。

 それを尻目に、『仮神翼(イカロス)』は止まること等知らないとでもいうように壁へと向かい、あと数メートルで激突する、その瞬間。


 私達がそれにぶつかるよりも前に、槍が岩の壁へと食い込んでいった。

 『仮神翼(イカロス)』の速さも加わり、限界を超えた威力を手に入れた『神滅槍(グン・グニル)』は火花を散らして更に奥へと突き進んでいく。


 ……しかし……


「まだ一歩、足りません……! この壁を突き破るには、今の『神滅槍(グン・グニル)』の四分の一の威力がまだ必要です……!」


「それなら、任せて!」


 私が何かないかと策を講じる中、唐突にイレティナが私の後ろから飛び上がる。


「イレティナ⁉︎ 何を……」


「やぁっ!」


 次の瞬間、その掛け声と同時にイレティナは、岩に向かって貫くように一撃の蹴りを放っていた。

 まるで一本の槍のように身体を引き伸ばし、その爪先が突き刺さった瞬間。


 そこから岩に次々とヒビが入っていき、岩が、粉々に砕け散った。


「なっ……⁉︎」


 岩が砕けた先にいた敵は、驚愕の表情をして固まっていた。

 それに対して、すかさずイレティナは目にも留まらぬ連撃を加える。


 敵の身体が右へ左へと何度も残像を残しながら弾かれ、鳩尾が突かれた状態でイレティナの動きが静止すると。


「が……かっ……」


 呻き声を上げ、敵はその場に倒れ伏した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ