第二百十七話 情報収集
「ホークアイ……⁉︎ フ、フレイ!」
サラマンダーは自分の考えている事が間違っていないか、と私へ声をかける。
「っ……! サツキと、ホークアイは何処です!」
私は飛びかかる様に男の肩を掴む。
男は焦る様な表情をして。
「ホ……ホークアイは知らねえ! 俺たちに指令は出してはいるが、何処にいるかまでは……」
……ホークアイの事は許せない。
あの男のせいでサラマンダーは力を奪われ、サツキは評議会に連れて行かれた。
見つけられるのならば、元凶となったホークアイをすぐにでも……。
……だが、不可能ならば仕方が無い。
「ならサツキの居場所は分かりますか?」
「知っている、だが……」
男は何かを言おうとしたが、言い淀んで俯く。
……何を隠しているんだ?
「だが……何ですか?」
「……あそこには、今の評議会の王が全員集まっている。騙されたなんて言われたかねえから言っておくが、俺の様に行くとは思わないほうがいいぜ」
全員が……か。
「それで、その方角はどっちですか?」
「ほ、方角……? 道は聞かないのか……じゃねえ、今の俺の話、ちゃんと聞いていたよな? あんた、何やってんだ?」
男は私の横にあるものを指差して言う。
「何って……この『神滅槍』でその場所まで直進していくんですよ。ああ、それと貴方から聞ける事はもう聞けたので、中のマナは取り出しておきました」
私がそう言うと、男は少し安心した表情をしながら自分の体に触れる。
最も、有ったところでそれを確かめられる様な感触は無いわけだが。
「……?」
しかし、男は何かを不思議に思うような、それと同時に疑うような表情をして私を見る。
早く行きたかったので若干ぶっきらぼうになりながら。
「なんですか? そう易々と逃していいのかと思っているんですか? 先程も言いましたが、貴方の体内のマナは空っぽです。スキルを使おう物ならすぐに倒れますよ」
「ああ、いや、そうじゃねえんだ。ただ、本気で行くつもりなのか、と思ってな」
男は焦りながら訂正し、自分の疑問を吐く。
「もうその問いには飽きるほど答えてきましたよ。いいですから、方角を教えてください」
「……西だ」
どこか納得したような表情で男は壁を指差す。
ちょうど壁の面に垂直だし、あけやすそうだ……。
「……うーん……? あれ、私何して……」
壁を眺めていると、後ろから若干眠たげな声が聞こえてきた。
「イレティナ……! 起きましたか! 傷はありませんか?」
「特には無いけども……いきなりどしたの?」
「行くんですよ、決戦の場に!」