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第二百十一話 誘導

「ひぇっ⁉︎」


 私は情けない声を出して飛び上がってしまい、バランスを崩して尻餅をつく。


 唐突に目の前から何かが現れ、気付けば目の前にいたのだ。多少仕方ないとは思うけど……。


「……ん? フレイちゃんどうしたの? そんなところで尻餅ついて」


「え……? イレティナ、ですか?」


 顔が見えずに一瞬誰だかわからなかったが、この軽い雰囲気の口調は確かにイレティナだ。

 

「……はぁー……無事だったんですね。本当によかったです……」


 緊張していた力がどっと抜けて、私は腰を下ろしている状態から更にへたり込む。

 

「うん。後もうちょっとであのマントの人、捕まえられそうだったんだけど……」


 マントの……そうだ! すっかり忘れていた……。

 かなり距離を話されているかもしれ無いが……今ならまだ追いつけるか……?


「イレティナが無事と分かったなら、早く追いかけましょう! 今度は絶対に___」


「待って!」


 私が翼を再び広げてみんなを乗せようとした時、イレティナが唐突に呼び止める。


 一瞬必死なものに感じ、イレティナの方を振り返ると、彼女は少し言いづらそうにどもり。


「あ……えっと……その……あの人の事は、もう追いかけなくて良いんじゃ無いかな?」


 イレティナが言ったのは、イレティナがどもったのにも頷けるような予想外の提案だった。


 追いかけなくても良い……? 何故だ? あれを捕まえ無いと、他の人間にまで私たちの存在が知れ渡ってしまうのに。


「……どうしてですか?」


「さっき、後もうちょっとで捕まえられる所だったってのは言ったよね。

 ……それで、捕まえられ無かったのは、あの人がいきなりマントの中からこの綿を出してきたからなの」


 マントの中……やはり、あのマントの裏側の光景と何か関係があるのか? 

 仮に戦うことになった時、予想外の動きをして来るかもしれ無い……。


「……それで?」


「私が綿の中に入っちゃって、そしたら外側から『ここら辺か……後はこいつらの頑張り次第、だな』って聞こえてきて……」


 つまり、イレティナは私達はここまで誘導されてきたと言いたいわけか……。


 ……充分、可能性としてはありうる。あまりにもマントの人の不自然な点が多いのだ。


 あんな一本道をいくら逃げてもいつかは追いつかれることぐらいわかるだろうし、それに追ってこられてることが分かったのなら、さっさとあの綿を使って目くらましでもすれば良い。


 それに……イレティナは安全な方法で守られたと言っても良い。綿がなくて避けられでもしたら、流石に怪我は免れ無いだろう。


 もし、本当に誘導させられた上でここに連れてこられたなら……ここには何かあるはず。


「……フレイ、私もイレティナの言う通りだと思うわ。ここは一旦、もう一度周辺を探索してみましょう」


 ウンディーネは私と同じ意見らしく、ここら一帯を探すことに賛成のようだ。

 サラマンダーもヴィリアも、反論する様子は見せ無い。満場一致だ。


「……はい、きっと、手かがりがあるはずです。探してみましょう」

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