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第十八話 精霊を求めて

 私達は船から港へ降りる。

 ここは精霊島国、ついに第二の地へ降り立った。


 さて、早速目的地へ……


「サツキ!早速サクレイを食べにいきましょう!

 フェアラウスなら基本どこでも買えますよ!」


 フレイは目を輝かせながら、すぐ近くの店を指差す。


 フ、フルーツ……!

 

 私は葛藤をするが。


 ……人間欲望には逆らえないものさ。


「オッケー! カットフルーツでいい?

 歩きながら食べようよ!」


 そう言い、私達は港を歩いていく。


「そういえば、サツキの言っていた自分自身の強化っていうのは一体なんなんですか?」


 フレイはサクレイを頬張りながら聞いてくる。


「この島は潤沢なマナが多い。

 そしてこの国の名前から分かるけれども、この島には精霊がいるんだ」


 私もサクレイを口に入れながら喋る。

 思ったよりも苦い……後味は甘いんだな。


「精霊は物体に宿ると聞きますよね……あっそれって!」


「そう、私の所持している何かしらに精霊を宿らせるんだ。

 精霊はマナで作られた生命、私がするのは所謂エンチャントって奴さ」


 私は剣を抜き、その刀身を指でなぞる。


「なるほど……でも、やり方わかるんですか?」


 フレイは手を顎に当て聞いてくる。


「大丈夫大丈夫!スキルを使えば___」


 『検索不能』


 ……


「どうしよ?」


「駄目だったんですか!?

 もうそのスキルポンコツじゃないですか!

 まるで見せ場が無いですよ!?」


「しょうがないじゃん!なんだかこの島に来たらいきなり調子が……うわっ!」


 その時、私は何かとぶつかり、尻餅をついてしまった。


「いてて……あ、すみません! 僕、前見ていなくて!」


 前方を見ると、小さな男の子が頭を下げていた。


 髪が青色で、後ろで一本に結んでいる。

 この島の子かな……?


「大丈夫大丈夫、お姉さんは平気だから。君、名前は?」


 男の子は、少ししどろもどろになりながら。


「ぼ、僕の名前は……えーっと……リュウランって言います!」


 その姿に私は少し微笑み。


「そうかそうか、リュウラン君はこの島の子かな?」


 私はリュウラン君の頭を撫でる。


「えっ!?あぅ……えっと、はい。

 ひいお爺ちゃんの頃から家族はこの島にいます」


 少し恥ずかしそうにリュウラン君は顔を俯かせる。


 ここの子か……。なら、精霊が居る場所も分かるかな?


「リュウラン君、精霊の居場所って分かるかな?」


「はい、お爺ちゃんがそこの管理をしているので……」


 おお!こいつは運がいいや!

 早速案内してもらえると良いんだけども……


「でも、お姉さんを案内するのは無理なんです……」


「えぇっ!?なんでさ!」


 私は驚き顔を一気に近づける。


「いや、その……うちの家では大人は嘘をつくから精霊に会わせてはいけないと言われていて……

 あ、でもそっちの女の子なら大丈夫ですよ」


 リュウラン君がそう言うと、フレイは顔をむっとさせ。


「私はエルむぐっ!?」


「うん!私の妹なんだ!妹だけでもいいから会わせてあげられないかな?」


 私が口を手で覆うと、フレイはまたですかとでも言うように目を少し潤ませながら睨む。


 『気配遮断』で私も後ろからこっそりついていくから!


 私が手を顔の前で合わせると、フレイはため息をつき。


「わかりました。私だけ行ってきます」


 頬を少し膨らませ私に言った。


「じゃあ、お姉さんはここで待っていて下さい。じゃ、行こっか」


 リュウラン君はフレイを連れて奥へと進んでいった。


 『気配遮断』っと。


 私は二人の後を歩いていく。

 

 リュウラン君はパッと見13歳くらいだ。見た目の年齢だけならフレイよりも上だろう。

 二人は火山へ向かって歩いて行った。





 後ろをついて行っただけだけれども……ここどこだ?

 さっきまでの風景とはまるで違う場所に来ていた。


 なんというか神秘的なものを感じる……。


「さあ、ついたよ。精霊達と楽しんできてね」


 リュウラン君が案内した目的地は洞穴だった。中には色々な色の光が浮かんでいる。

 あれが精霊だろう。


 リュウラン君は1時間したらくると言って去って行った。


「……サツキ、もう大丈夫ですよ。出てきてください」


 フレイにそう言われ、私は『気配遮断』を解除する。


「ここが精霊のいる場所……」


 しかし、どうやってエンチャントするんだ?


 私は刀を抜き何か方法がないか考える。


「あ、サツキ。光が刀に……」


 私がフレイに言われ剣先を見ると、赤い光が当たろうとしていた。

 そして、当たった瞬間。


「うわっ!ま、眩しい……!」


 激しい赤い光が溢れて、目が襲われる。


 光が収まった頃には、刀身には赤い雷のような線が入っていた。


「これって……」


「エンチャント……できたんですか……?」


 こんな簡単だったのか……?


 刀身を眺めると、あらゆる面に模様が入っていた。


 すると、いきなり刀身が震えだし。


「あーっ!何よこの姿!刀!?まんま刀じゃない!

 もうちょっと可愛い姿よこしなさいよ!」


 喋り出した。


「え……?刀が……喋って……」


「当たり前でしょ!私は精霊よ!?宿らないと意識は無いけど……

 いくらなんでもこれはひどいわよ!」


 すごく喋るな……この精霊。


 刀に宿った精霊が、抗議をしていると、何やら青い光が近くに来た。

 

 しかも、一番近いのはスラ吉だった。


 スラ吉は光に身体を伸ばす。


「あっスラ吉!駄目ー!」


 光が溢れ出す。青い光が。


 先ほどと同じように、光が収まると、そこには女性の体を持った青い透き通った物体があった。


「スラ吉……?」


「なるほど……これは良い身体ですね……。サラマンダー、可哀想に」


 その女性は口元に笑みを称え、一言呟いた。

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