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第十五話 次の国へ

 私達は、王城を破壊し、この国、カタスムル王国の国王、千葉光輝を回収した。


 しかし、王の蒸発はまだ伝わるのに二日程度はかかるだろう。


 だったら、やることは一つ。


「イツ!王城の金庫だった場所がどこかにあるはずだ!

 そこからいくらかかっさらって行くよ!」


 私は走り出し、瓦礫の山をひっくり返す。


「おう!ちょうど金欠だったんだ!数百万程度の金はもらって行こうぜ!」


 程なくして、私達は金庫の扉らしき瓦礫を見つけた。


「この近くにあるはずだ!……おっ!純金!」


「こっちには少し欠けちゃいるが宝石もあるぞ!」


 宝の山……!やっぱり大仕事の後の報酬はこれくらい貰わなくっちゃ!


「しかし、このお宝どこにしまうんだよ?

 俺は袋持っちゃいるが、サツキはそんなもんねえだろ?」


「それについてはご心配なく!ちょうどいいスキルがあるんだ!」


 私は、空中に手をかざす。すると、そこに黒い穴が開く。


「『収納』さ。この中にお宝を詰め込んで行っちゃおう!」






「ふぅ……。やっと馬車のところにまでついたね」


 私とイツは、お宝をほとんど取って行った後だった。


「俺は別の国に行くが……。お前達はどうするんだ?」


 行ってみたい国なら目星はついている。

 でも……あそこは島国だからな……。

 

「ひとまず、海運業が栄えている国にまで行こうと思うよ」


「ほーう……じゃ、ひとまずお別れだな。

 色々あったが、お頭達とのケジメをつけさせてくれてありがとうよ、サツキ」


「こちらこそ。旅の幸運を祈るよ、イツ」


 フレイは……まだ眠っているか。


 遠くから人の声が聞こえてくる。


「アクセム国の港町行きの馬車、間も無く出発しまーす!」


「私達の馬車が先に来たみたいだね。お元気でー!」


 私が手を振りながら馬車に向かっていくなか、イツも私に手を振り返していた。





「ん……ここは……?」


 小さな少女は、数時間ぶりに目を覚ます。


「あ、フレイ起きた? 今は馬車で港町へ向かっているよ」


「……と、言うことは……あの王は?」


 半分寝ぼけたまま、フレイは状況を聞く。


「んー……なんというか……この世から消した……かな?」


「は!? サツキ、まさか殺したんですか!? 一国の主を!?」


 私の一言でフレイはすっきり目が覚めたらしい。


「殺しちゃいないけど……なんというか、蒸発、させたみたいな?」


「やっぱり殺してるじゃないですか! ああ、故郷の国が……」


 あの国なら、新しいリーダーなんていくらでも出てきそうだけどなあ……。

 むしろ、革命が起こるかも……。


「そうだ、フレイ……ごめん!」


 私はそこでふとコウキに言った言葉を思い出し、地面に頭をつけた。


「ど、どうしたんですかいきなり!? 顔を上げてくださいよ」


「私、フレイが悩んでいたこと気付いてあげられなかった。

 スキルがないことをあんなに辛く感じていたのを……」


 私がそう言うと、フレイは一瞬唖然としていたが、すぐに笑い出した。


「……くすっ。それでそんなに謝っているんですか?

 確かに、私はスキルを持っていない自分が嫌ですよ。

 でも、そんな私のことで悩んだり、喜んだりしているあなたが大好きです。

 それに、そんなあなたと一緒にいる私も好きなんです。

 だからもうそんなに気にしていませんよ」


 フレイは馬車の椅子に座り、微笑みながら言った。


「フ……フレイー!」


「あーもうなんですか! 抱きつかないでくださいよ暑苦しい!

 ちょ……私の服で涙を拭いちゃいけませんー! 」






 時刻は昼下がり、隣国ではあるが国は国。なかなか遠いものだ。


「サツキ、何を読んでいるんですか?」


 フレイは私が手にしていた本を指す。


「これはね、あの国王の日記なんだ。メリーさんって言う人から貰った物でさ」




『ああ、サツキさんお待ちを。これをどうぞ。』


『これは……?』


『彼の日記です。私達と会う前から書いていたらしいんですよ。

 私に見る権利はありませんが……貴方は彼に勝ちました。

 ですから、どうぞ。彼の冒険譚を読んであげてください』



「色々書いてるよ? 好きな食べ物とか金髪の理由とか……

 お、これは……」


 私は意外なものを見つけ声を上げる。


「なんですか? 何かありましたか?」


「あいつの『万物理解』のシステムが書いてある……

 何々?大気中のマナが過去より見てきた情報を獲得する……か」


 結構最初の方に書いてあるな。転生してすぐの頃か……。


「あれ? 今サツキそのスキルについて知りましたよね? ってことは……」


「あ! ちょっとやってみる!」


 そう言い、私は心の中で現世でよくやっていたあのフレーズを使う。


 『オッケーマナ』


 すると、頭の中でピコンという音が聞こえてきた。


 できちゃうのね……。


『目的地まであと何キロ?』


『目的地まで、あと500Kmです』


「……」


「どうですか? できたんですか?」


「……出来たよ。目的地まであと500Kmって。」


「本当に使えるんですか……!じゃあ、これからもっとスキルを覚えられますね!」


 フレイの言う通り、見れば分かるくらいにはなるけれど、見なきゃいけないからデメリットはまだ全然だな……あ。


 そこで私はある閃きをした。


『……オッケーマナ』


『ピコン』


『フレイの下着のは?』


『白のレースです』


「……」


 私はフレイを指差す。


「ん、どうしましたか?」


「……白。」


 私は頭を叩かれた。

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