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第十三話 フレイ救出

 対峙した瞬間、フレイは私たちへ飛び上がり手刀を振り下ろす。


 フレイ……二度同じ手を喰らうような私じゃないよ。


「はっ!」


 私はそこに座し、居合切りを放った。

 フレイの手刀はその一撃とぶつかり、火花を散らす。

 しかし、押し負け、フレイは鎧ごと後ろに弾かれた。


「『剣豪』……私の主要スキルに入れてもいいかもしれないね。

 さあフレイ、君はどうするんだい?」


 私は刀を構え直し、次の攻撃に備える。


「……出力上昇」


 フレイに刺さっているトゲが、その言葉とともに赤く光出し、黒い煙を激しく噴かせた。


 次の瞬間、目の前からフレイが消えた。


 超スピードか……!だったら!


 私は刀を投げ、ブーメランのように空中で回す。


 刀は私の周りを旋回すると共に、空に突き刺さる。


 『気配遮断』を併用することで刀は回っていることすら気付かれない。


 空に刺さったと思われたそれは、鎧に突き刺さっていた。


「イツ!今だ!」


「おう!ジッとしてろよ……フレイ!」


 イツは『気配遮断』を解除し、頭にダガーを斬りつける。

 しかし、頭の兜には、切り傷が少し付く程度だった。


「ちっ……流石に固えな!」


 イツは舌打ちをして、後ろに下がる。


「オーケー!だからこそこのスキルを貰ってきたんだ!」


 私はそう言いながら、刀を鞘に収め、『蜘蛛糸』を手から放った。

 フレイは絡みつく糸を振り払おうとしたが、多方向から来る糸に簀巻きにされる。


「よし!後はこの棘をとれば……!」


 私は首付近にある棘に手を伸ばす。しかし。


「出力最大」


 鎧が爛々と黒く輝き、あらゆる関節部から黒い煙が溢れ出る。


「……!まずい!イツ、いったん下がって!」


 フレイはあろうことか、自分を縛っていた蜘蛛糸を引きちぎったのだ。

 そんな……!蜘蛛糸はワイヤー以上の強度なんだぞ!?


 そのままフレイは近くまで来ていた兵士に高速で接近して掴み、こちらに投げ飛ばしてきた。


「うわああああ!!」


 兵士は悲鳴を上げながらミサイルの如く飛ぶ。


「くそっ!……一閃!」


 刀を再び抜き、私は兵士の身体を真っ二つに切る。

 兵士だったものはグチャと音を立てて背後に落ちた。

 後ろを振り向いて仕舞えば、正気は保てないだろう……。


「流石に手加減はしなくなってきたか……って、何だあれ!?」


 フレイは片っ端から兵士を掴み投げ飛ばしてきた。


「くっ……イツ!なんとかできそう!?」


 私は向かってくる弾を切り裂きながら、イツに聞く。


「難しいな……。弾幕が分厚すぎて近づけない。それよりも、このままじゃ俺たちの方が危ないぞ!」


 イツと共に兵士をいなしていると、唐突に刀の動きが止まった。


 刀の先を見ると、そこにはすでに手刀を振り下ろしているフレイがいた。


「あ……」

 

 死……


 しかし、手刀はこちらにたどり着く前に壁側に叩きつけられた。

 そして必然的に、壁に叩きつけられ拘束されたフレイもいた。

 手首と足首に見えないリングのような何かがついているようにみえる。


 な、何が……?


「ひひ……伊達に旅してきてませんよ。渾身の『拘束』……。いかがですか?」


 声のする方向へ振り向くと、そこには手を突き出したメリーがいた。


「メリーさん!?」


「奥の手中の奥の手ですよ……。ただ、今のでマナを使い切ってしまいました……」


 そういうとメリーは、よろりと身体を地に伏せた。


 っ!今しかない!


「『蜘蛛糸』!」


 糸を伸ばし、首に刺さった棘に絡み付ける。

 再度糸を握り直し、一気に棘を引っ張り出す。


 その瞬間、鎧が煙のように変化し、小さな身体が現れ、倒れそうになる。


「フレイ!」


 私はすぐに走り出し、そっとフレイを支える。


「サ……ツキ……すみません、私……」


「いいから、フレイ。休んでいて」


 私がそういうと、フレイは気絶するように眠った。


「さあ、行こうか……」


 私達は螺旋階段を登っていく。

 所々に警備員がいたが、全員『水』鉄砲で急所を撃って気絶させた。


「千葉光輝!フレイは返して貰ったよ!このままあんたも回収する!」


 私が王の部屋のドアを開けると、そこには優雅に茶を飲んでいるコウキがいた。


「……おや、もうフレイはやられてしまいましたか。

 ふふ、まあいいでしょう。もう一度起動してやれば良いのですから」


 そういうとコウキは機械をフレイに定め、棘を銃弾の如く撃ち放った。


 しかし、棘が突き刺さる前に私の刀がそれを捌いた。


「……お前如きが!フレイと軽く呼ぶな!」


「くっ……まあいいでしょう。エリーゼ!」


 コウキがそういうと、エリーゼがどこからともなく現れ、ナイフをこちらに投げてくる。


 私はそれらを全て弾き返した上で、『蜘蛛糸』でエリーゼを縛り上げた。


「……まだ人の力を利用するつもりか?

 昔は利用されて、今は利用する立場か」


 私がそう言うと、コウキはピタリと動きを止め。


「……どこでそれを聞いた?」


 物凄い剣幕で、今まで見たことのないような怒気を出した。


「あんたの仲間に出会ったんでね、自分は悪くないとずっと思い込んで___」


「それ以上言うなぁっ!」


 声を張り上げてコウキは叫ぶ。


「だったら!私と戦え!正々堂々と!」


 私がそう言うと、コウキは身体を正し。


「……いいでしょう、かかって来なさい」

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