第十二話 スキルを求めて
「おうおう!姉ちゃん美人だなあ!俺と遊ばねえか?」
ここはギルド、チンピラやゴロツキがよく来る場所だ。
「ちょ……やめて下さいよ!私仲間とこれからクエスト行かなきゃ行けないんですから!」
赤い髪の男は名も知らぬ女性にナンパをしている。
まさにチンピラらしい人間だ。
突っかかって後で袋叩きにされることもあるので、助けに行く人は中々出ない。
「そんなこと言わずに……」
「ちょっとお兄さん、いいですか?」
私は彼の肩を叩く。
「あん?」
彼が振り向いた瞬間、私はすかさず殴り飛ばす。
衝撃で男は後ろに弾き飛ばされ、地に叩きつけられる。
「ぐぉっ……!」
「私こういうの見逃せないんでね、もう一発くらいたくないなら早く行った方が良いよ。」
私がそういうと、男は後退り、そのまま逃げて行った。
その瞬間、歓声が沸き起こる。
「嬢ちゃんよくやってくれた!」
「俺たちも怖くて言えなかったんだよ!」
私はギルドの人たちに囲まれて、ちやほやされた。
まあ、マッチポンプなんですけどね。
「二人とも!お待たせー!スキルたくさん教えてもらったよ!」
私は路地裏へ行き、メリーとイツに声をかける。
イツはさっき私に殴られた所を痛そうに抑えている。
「サツキ、もうちょっと優しくしてくれよ……結構痛いんだぞ」
「ごめんごめん」
まだ弱めている方だけども……。
「それで……良さそうなスキルはありましたか?」
メリーはどこで買ったのかわからないジュースを飲みながら聞いてくる。
「うーん……『騎乗』『収納』『剣豪』『水』、……特にめぼしい物は無いなあ」
私が収穫なし、と肩を竦めると、メリーはジュースを飲み干し。
「まあ、そうでしょうね。旧い仲の友人がここにいるんです。
その人ならいいものを持っているかもしれませんよ?ひひ……」
半ば気怠げに、メリーは腰を上げ歩き始めた。
私とイツも、その後ろを歩いていく。
うーん……路地裏は暗いなあ……。
非常事態だから、イツやメリーにはスキルについて教えたけど、あまり他の人に知られたくはないと言うのが本音だ。
会社にいた頃もマッチポンプとかのコスい手をよく使ってたから、あんま仲のいい同僚は居なかったなあ……。
今じゃこれが結構役立つわけだけれども。
異世界に生まれてればもう少し楽しく生きていられたかも。
そんなことを頭の中でぐるぐる考えていると、目の前に暗い雰囲気の店が見えてきた。
店の入り口はカーテンで作られている。
「着きました……。ジン、居ますか?」
メリーが店の中に首を突っ込み、声をかけると、のそりと大男が首を出す。
「はいいらっしゃ……ん?メリーじゃないか。どうしたんだ?」
大男は、ヒゲが濃く、いかにもあらくれと言った感じの反面、口調は優しげだった。
「この人にあなたのスキルを教えて欲しいのです。何分友達が困っているらしく」
「おお、そいつは大変だ。今すぐそっち行くからな」
そういうと大男は首を戻し、店の中へ入っていった。
「なんか、優しそうな人ですね。メリーさんもお世話になったんですか?」
私がそう聞くと、メリーは少し困ったような顔をし。
「お世話になったというか何というか……。ある意味お世話にはなっていますね」
……?どういうことだろう?
私が頭を捻らせていると、再び大男が出てきた。
「待たせたな。さあ、俺のスキルを教えてあげよう」
そういうと大男は体をカーテンから出した。
その身体は、大きな蜘蛛だった。
「うわあああああぁぁぁぁ!!」
「サツキ!あれなんだ!?」
「ししし、知るわけないでしょ!人!?クモ!?怖い!」
そう言っていると、大男は頭を掻き、申し訳なさそうにする。
「ああ、俺も少し驚かしたい気分だった。ごめんな。
俺はヒューマンスパイダーのジン。
かつてはここらへんのモンスターのボスだったんだが……」
「狂う前のコウキにコテンパンにやられました。
その時に身体の大部分を失って今はここでひっそりと暮らしています」
メリーがそう言うと、ジンは恥ずかしそうに顔を俯ける。
「え……?じゃあスキルも意味ないんじゃ……」
私がそう言うと、メリーは得意そうに笑みを浮かべる。
「ひひ……お気づきでは有りませんか?
今回はまずあなたの友人を助け出すことが先決です。
その点については、このジンの持つスキルは非常に有効だと思いますよ」
「奴らはまだ来ないのか?」
「はい、完全に姿を確認できません……」
その答えに、私は少し不機嫌になる。
「ふんっ……まあいい、まだ消息をたってから三日だ。
どこで何をしているか……『万物理解』は使わないでやろう。
サプライズくらいは受け入れたい」
その時、下から爆発音が聞こえてきた。
「……!エリーゼ」
「はい、いらっしゃったようです」
「ク、ククク……ついにきたか。だったら、お友達でお出迎えしてやろう。
フレイ、行ってきなさい」
部屋に立っていたそれは、鎧を一瞬碧く光らせ、扉を開けて行った。
「イツ!この兵士いつまで出てくるの!?」
「流石に分からん!だがそろそろ気付くんじゃねえか?」
私達は城に突撃し、今は警備をしていた兵士を片っ端から始末している。
そんなとき、螺旋階段の上から鎧のガチャガチャとなる音が聞こえる。
「……!サツキ!今の音!」
「聞こえたとも!プラン開始だ!」
私達は一度場を離れ、螺旋階段へ向かう。
そこには黒い鎧をつけた人がいた。
「フレイ……!今度こそ助けるよ!」
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