表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/681

第九話 酒場での聞き込み

 ということで、私達は酒場を探し始めた。

 家が立ち並ぶ風景が遠くに見える。

 中に入って改めて分かったが、中心に立っている城は西洋風の城だった。

 どうもさっき見えていた塔はこの城の一番高いところらしい。

 

「はー……本当にデカい……」


 おっと?あの賑やかな雰囲気の1階建の建物……。

 

 私はそれが気になり、中を覗いてみると。

 多くの人が酒やつまみを食べ、ウェイトレス達が食べ物を運ぶのに勤しむ姿が広がっていた。

 ビンゴ!やっぱり酒場だ!


 さて、まずは聞き込みだが……。

 私は聞きやすそうな人を探すため、辺りを見回す。


 そして、二、三人で賑やかに酒を飲んでいる男たちが目に止まった。


 今こそ転生で得たこの肉体を活用する時!

 まずはあの人達に聞いてみよう!


「やあ!そこのお兄さん達!私と一杯どうかな?」


「おぉ、可愛い嬢ちゃんじゃねえか。構わねえぜ。座りな」


 ラッキー♪人当たりが良さそうな人をキャッチ!


「ありがとうありがとう!ではお邪魔して。

 私、この国の田舎の方から来たんだけどさ、友達がここまで拐われちゃったみたいなんだよね」


「ええ!?嬢ちゃんの友達がかい!?気の毒なもんだなぁ……」


 髭を顎に生やしたお兄さんは顎を撫でながら言った。


「まあそれでさ、何か知ってる事とかないかな?

 白い髪をしていて、見た目は11歳くらい」


「うーん……王都の悪い噂は絶えねえけどよ、全く知らねえな……」


「ひひ……お姉さんお姉さん、私、見ましたよ」


 もう一人のお兄さんも申し訳なさそうに頭を掻いていると、私の後ろから女性の声がした。


 振り返ると、そこには痩せ細った白い身体。

 そして全く手入れをしていない濁った紫色の髪、片目が髪に隠れ目の下には酷いクマがある女性がいた。


 一瞬その身なりに驚いたが、それよりも彼女は今私にとって信じられない言葉を発した。


「見た……!?見たの!?フレイを!?」


「ええ……ここではなんですから、一度外でお伝えしましょう」


 まさかいきなり情報が得られるとは!

 しかし、この人は何者なんだろう?

 見た感じ浮浪者と言った風貌だけど、なんというか、正解ではない気がする。


「お兄さん達、どうも!これはお礼金として取っといて!」


 席を離れたところで、私は振り返りテーブルに向かってオウル金貨を1枚トスした。



私達は、王城のすぐ目の前にいた。城の周りには水が流れているのが見れる。


「それで?一体何を見たの?」


「はい、黒尽くめの集団、要するに王のエージェントが城内に先程あなたが言っていたフレイさん……でしたっけ?

 彼女を運んでいました」


 黒尽くめ……イツの言っていた情報と合致している。

 王が関わっていることは間違いなさそうだ。


「しかし……知ったところでどうするつもりですか?

 城のあらゆる入り口には24時間常に門番二人が見張っているんです。

 侵入はまず不可能ですよ」


 ふーむ……確かに普通なら難しそうだ。

 けど、こちとら神のご意志だ。王に匹敵する力は持っている。


「問題ないさ。私ならできる」


「ほう?それはどうやって?」


 彼女は興味深げに笑った。


「まあ見てなって」


 そう言いながら、私はスタスタと門に向かって歩き出す。


 それを見た門番は、私を訝しみ、こちらにズカズカと近づいてくる。


「止まれ。通行証を」


「んなもんないよ。こっちは大切な仲間拐われてんだ。無理やり行かせて貰う」


 私は怒りでつい挑発的な言葉を向けてしまった。


「なんだと……!おい!止まれ……ぐふっ!」


 まあやることは変わらないんだけど。スキル発動。


 私は門番の顔面にすかさず裏拳を放ち、城を囲む川に落とした。


「なっ!デューク!貴様……!」


 もう一人の門番も襲いかかって来たが、『気配感知』ですぐさま避けた。


 門番はそのまま体勢を崩し、地に膝を付いた。


「おい!待て……!消えた!?」


 そりゃまあそうだろう。『気配遮断』も使った。


 もう奴らに私を認識する事はできない。


 ……できるならここにいる人間を全員捻り潰してやりたいが……。


 あんまり騒ぎを起こしたくはない。王の所まで安全に行くために…。





「何やら、城にネズミが入ったようだ」


 私は紅茶を一杯飲み、息を吐く。


「そのようです。すぐにエージェントを手配し____」


「ああいや、その必要はない。

 どうやら冒険の日々以来の楽しい出来事が起きそうだ……」


 この世界に転生したあの日、このスキルで、魔王を必ず打ち倒すと決めていた。

 なのに、あのクソ老人が倒してしまって、私は転生した意味を失った。

 仲間も、メリー以外は全員…。

 だが、この城に入ってくるような人間。

 少なくともレベルは30以上はあるだろう。


「その人間が来るまでは、君で楽しむとしようか。

 エルフちゃん」


 檻に入れ、天井からぶら下げた白髪のエルフ……。

 名前は……フレイ、だったか?

 名前なんてどうでも良いさ。

 どうせやる事は変わらない。


「むーーーっ!むーーーーーっ!」


 口を塞がれてなお、そのエルフはこちらを睨みつけ叫ぶ。


「ふふ……活きがいいほど嬉しいものだ……」


 そのとき、背後のドアの近くから気配を感じた。


 っ!ふふ……来たか。


「君で楽しむのは後にしよう。今はお客人の相手をしなければ」


 そうして私が檻を収納すると、部屋のドアが誰もいないはずなのに開き、そこから人影が現れる。


「どうも〜。私サツキと申します。積もるお話が有るんですが、よろしいですか?」

面白いと思っていただけましたら、是非ブックマークとポイント評価をお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ