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令嬢は愛し子でした  作者: 那花しろ
3/23

追加修正いたしました。よろしくお願いします

「王宮からの招待状だ」

これが、お父様が家に帰って来た理由。


第二王子とルミナの婚約を発表するらしい。


「まあ!マリエヌを袖にして、我が家に招待状を送ってくるなんて」

メリアお母様は目を吊り上げ、忌々しげに招待状を睨み付ける。


「侯爵家として、出席しなくてはならない。リリアナは出るように。ルミナ嬢が友人の婚約を祝って欲しいとの事だ。メリアは嫌なら出なくてよい、私とリリアナだけ出席すれば良いことだ。勿論、マリエヌは出なくてよい」


友人からのお祝いって、婚約者の元婚約者に出席してもらいたいものなのかしら。


「そんな、私も行きます!隣国の王太子様がご遊学中ですもの、いらっしゃるはず、きっと愛し子の私に会いたいと思っていらっしゃるわ、あぁ、ドレスどうしましょう?」


・・・マリエヌの思考が理解出来ない。


「そうよ!出来損ないの第二王子より、他国の王子様の方がマリエヌにはお似合いだわ、ドレスは婚約の内示があった時、参内の為に造ったドレスがあるじゃない。」

メリアお母様、その発言は大変不敬です、そして、在りもしないことのためにドレスを新調していたのですか。


「はあぁぁぁぁぁあ」

部屋中に響き渡るお父様のため息、心情お察しいたします。


この似た者母娘の事より、お父様に聞きたいことがある。


「お父様、お時間よろしいでしょうか?お話があるのですが」


「何だ、今話しなさい」

「今はちょっと・・・。2人きりでお話がしたいのです」


「リリアナ!お父様は忙しいのよ、ご迷惑だわ」


メリアお母様は、私の話というのが屋敷での私に対する扱いだと思ったのか、止めようとした。

「いや、よい、皆は出てくれ」


義母は出ていく際に私の腕を周りから見えないようにつねり、「余計な事を話したら、どうなるかわかっているわね」そう小声で脅しをかけていった。


扉が閉まった事を確認して、父の近くに進む。

「お父様、正直にお答えください。私には弟がいるのですか?」

「!!急に何を言っているんだ!」

驚きに顔が青ざめている


「この事は、私しか知りません、お父様!お答えください」


私は父を真っ直ぐ見つめて待った。

小さな声で話し始めた。

「・・・ジェンリーだ、10才になった」



父には幼馴染みがいて、母が亡くなって1年経った頃、その幼馴染みに再会したそうだ。その女性は夫が亡くなった途端、子供も居なかった事もあり婚家から追い出され、実家の伯爵家に戻っていたらしい。あまり良い結婚生活ではなかったようだ。それからさらに1年経ち、父はその女性と再婚しようと考えていた。

そんな時、伯父から強制的にメリアと結婚させられた。メリアと夫婦生活を送るつもりはない、と伯父に断りを入れたが、伯父は聞き入れず、メリアを強引に家に招き入れ、婚姻を結ばせた。

幼馴染みの女性に子供が出来たことは、その後わかったが、伯父やメリアが知れば二人に危害を加えるのは間違いない、それで父は二人を隣国に匿っていると。


「すまない」

父に頭を下げられた。

「いいえ、頭を上げて下さい、お父様。それでお二人は何不自由なくお過ごしでおいでですか?」


「ああ、不自由はしてないが、ジェンリーの具合が思いの外悪くて、セレイルも心身ともにやつれてしまって…」


お父様もお顔の色が優れませんわ。

「お父様、私がお二人にお会いしてもよろしいでしょうか?弟に会いたいです」

「リリアナ・・・」


「その、セレイル様ですか?お父様の大切な方にもお会いしたいです」

「ありがとう、リリアナ、ずっと放って置いてすまない、そんな私を責めずに、セイレル達に会いたいと、リリアナありがとう」


謝罪とお礼を繰り返しながら、お父様は私を抱きしめてくれました。久し振りのお父様のぬくもりに涙が流れました。





元婚約者と元友人の二人の婚約発表に、一家揃って出席した。

流石は王宮でのパーティー、豪華絢爛。義母と義妹は豪華な様子に気分が高ぶりはしゃいでいる。


王、王妃、第一王子と婚約者、第二王子が入場した。そして王が、精霊の愛し子が第二王子の婚約者になった事を宣言した。

ルミナが堂々と入場し、第二王子の隣に並ぶ。

私を見つけると、勝ち誇った笑みでこちらを見る。


(ルミナ・・・まぁ、本当の友人ではなかったということね)

壁の花になるべく、静かに移動した。


私は今後の事を考えていた。

お父様は離婚するつもりらしい。二人がいる隣国に亡命するつもりでおり、私にも一緒に来て欲しいと言ってくれた。


王や王子達のファーストダンスが終わり、周りがダンスの輪に入って行く様を眺めている。


目の前に手が差し出された。

「?」

視線を手の主に向けると、金髪に深い緑の目をした隣国の王太子殿下が立っていた。

「一曲お願い出来ますか」


正直、ダンスなんて気分ではなかったが、王太子殿下のダンスをお断りすることは出来ない、しかも周りからの圧力が恐い。凄い顔をしているご令嬢もいる。羨望と悪意を一身に受けていると、

不穏な気配に気付いた。周囲を見ると、私に向けられた悪意を感じたのか、精霊達が騒ぎ出している。


精霊に何もしないで欲しいとお願いをして、王太子殿下の手を取り、ダンスの輪に入っていった。






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