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令嬢は愛し子でした  作者: 那花しろ
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そんな屈辱的なお茶会も終わり、移動している時にティナ様がセリーナ様に、

「同じ侯爵家でも、全く相手にされず、家格だけが取り柄なのにおかわいそう」


等と挑発され、セリーナ様もティナ様のお姉様の事を「ドヘイド王国の愛し子と言われていたのに、ワイズフォルト国の平民愛し子に大きな顔をされている、しかも王太子殿下まで取られた」


と言い返された。セリーナ様とティナ様のお姉様方は、王太子殿下の婚約者候補と言われていた事もあったらしく、その上、セリーナ様のお姉様自身が王太子殿下の婚約者だと話していたこともあり、

「ウェズリ王太子殿下の婚約者だと言っていたのに発表されたのは別のご令嬢だった、嘘つきだ、妄想令嬢だ」とセリーナ様のお姉様のことを侮辱された。中庭の花が目に付いたのか、踏みつけながらの悪口合戦をしていた。というのが、側付きのもの達から聴取した内容だった。


「簡単に申し上げますと、ゲイオル殿下に相手にされず、お互いに鬱憤が爆発して、リリアナ様のお花に八つ当りをした、淑女とは程遠いご令嬢と言うわけでございました」


(たしかに、八つ当りだわ)

「それを精霊が止めようとして、雨を降らせたのね」




喧嘩の原因は解ったけれど、気になる言葉が……


「あの、この国にも愛し子がいらっしゃるのですか?」


「はい、おります、ドヘイド王国だけではありません、各国に居られます。」

「勿論、愛し子様が生まれない国もございます。」


二人は普通の事のように話しているが、私は全く知らなかった。小さな光の事を誰も教えてくれなかった。小さいときに聞いた事もあったが、なんの事だか解らない周りの様子に、変な子だと思われると黙ってしまっていたから。



「リリアナ様の出身国はあまり精霊との関わりがなかったようですね、国民は勿論のこと、王族も精霊が見えていなかったとお聞きしております」


「リリアナ様の周りには沢山の精霊がいることが私も少しは感じられるのです」

サブリアが近くに来た精霊に手を伸ばした。


「ドヘイド王国は精霊と繋がりが深いのですね」


「ですので、国が豊かで争いが少ないのは加護が在るからだとされておりますが、今回の様に精霊の怒りを買う等、諍いや争いが全くないわけではございません」

スリミナも近付いてくる精霊を目で追っている。


「そうですね、人とは欲深いですものね、精霊も全てを見ているわけではないのですから」

私のお父様達が良い例です。


「わが国の愛し子様はディオン・コルネル伯爵令嬢、問題を起こしましたティナ様のお姉様です。沢山の精霊がディオン様の周りに付いており、ディオン様が望めば光が射し、悲しまれると雨が降ると言われております」


「愛し子様の情報は同盟国といえども共有致しません、いつ何が起こるが解りませんので、能力、力量等は秘匿としております」


「大々的に愛し子であることを言い触らす事はあまりございません、例外もございましたが……」


それはワイズフォルト国の事ですね、二人とも自分が愛し子だと触れ回っていたものね。


「愛し子様の中でも力量の大きな方は諸外国が勿論欲しがります、どこから争いの火種が上がるか解りません」


「ですから、早々にリリアナ様と我が国の王太子殿下のご婚約を諸外国に発表いたしました」

「まあ、王太子殿下の事ですので、それだけではございませんが」

「絶対あれは囲い込みですわ」

「リリアナ様を早く側に置きたいのよ、しかたないわ」


二人が、ぶつぶつ話してるが気にしないことにします。


説明してくれたお陰で、あんなに早急な発表も腑に落ちた。あの騒動の後に愛し子だと解った私、ワイズフォルト国を出て、何の後ろ楯もない私を守るためだったと。私を愛し子ではなくリリアナとして愛していると仰っていたウェズリ様を信じてはいるけど、セリーナ様が言っていた、姉の婚約者を奪ったとは?サブリアの説明では婚約者候補だということだけれど、妹から見てウェズリ様が姉の婚約者だと思うことがあったということかしら。


胸の奥がモヤモヤとして落ち着かない。

『リリアナくるしいの』

『ごめんなさい、みずぜめとか、あんないじわるしない』


(ちがうわ、皆の事ではないの、でも、もうあんなことしないでね、お願いよ)



「あの、ウェズリ様は候補ではなく、ご婚約者を決めていらしたのですか?」


二人とも顔を見合わせて答えて良いのか困っている様子。そう、それが答えなのだろう。

「そうですか」


「正式な婚約者様は居りませんでした」


「その通りです、セレフォス侯爵家のご令嬢は婚約者候補のお一人です」



「わかってます……少し休みたいので外してもらえますか?」


二人は静かに礼を取り部屋を出てくれた。精霊たちが私の肩や膝の上にちょこんと乗っているのを眺める。かわいらしい。こんなに可愛い精霊達が小さな令嬢に水責め?するなんて、今日の事で水が怖くなったりしないかしら、精霊を嫌いにならないかしら。色々考えていたら頭が痛くなってきた。少し横になろう、そうしよう。ウェズリ様との食事の時間になったら呼びに来てくれるだろう。



「ねえ、少しだけ眠りたいの、お願い」

精霊にお願いをして目を閉じた。




誤字脱字報告ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[一言] 逆恨みもいいとこだな(笑) しかも当人じゃなく妹とかww
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