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令嬢は愛し子でした  作者: 那花しろ
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二人の小さな令嬢に突然降りだした雨、というか精霊が二人の上だけに降らせている。


「リリアナ様、ピンクのドレスのご令嬢が、コルネル伯爵家次女のティナ様、空色のドレスのご令嬢がセレフォス侯爵家四女のセリーナ様です」

サブリアが直ぐに騒ぎの元のずぶ濡れご令嬢を説明してくれた。


その、伯爵令嬢と侯爵令嬢がなぜ、ここにいらっしゃるのか、それは優秀な侍女も解らないようだった。


私たちが来たことに気が付いたセリーナ様が、私を指差して怒鳴り声をあげた。



「あなた!あなたの仕業ね!愛し子と言えど平民が侯爵家にこの様な仕打ち、許さないわ!」


その途端、桶をひっくり返したような水が滝のようにセリーナ様を襲った。


「ごぼっがぼっ!」

それでも何かを叫び続けてる。



「ああっ、みんな止めてお願い!溺れてしまうわっ!」

慌てて精霊たちを止めたが、髪もドレスもお化粧もしていたのか顔もぐちゃぐちゃの

酷い有り様だった


『だってリリアナにひどいこといった』

『おはなもこわした』


「大丈夫よ、お花は水鉢に浮かべればとっても綺麗よ」


スリミナが倒れた花を丁寧に拾い始めた。




「やだぁ頭も顔もぐちゃぐちゃ、ドレスなんて薄汚れた雑巾の様ですわ、みっともない。」


ティナ様がセリーナ様の惨状を見て笑い始めた、それにつられメイドや護衛達からもクスクスと笑い声が聞こえてきた。


セリーナ様は顔を真っ赤にして、ぶるぶると震えながら足元の泥を掴んで私に投げつけてきた。


「お前のせいよ、何が愛し子よ!お姉様が王太子殿下の婚約者だったのに!王太子殿下を騙して婚約者の座を手に入れた悪女!」


べちゃっ、と服に泥が当たった。


一瞬出遅れたがスリミナが私の前に出て盾になり、サブリアがセリーナ様の腕を取り、泥がこれ以上投げられないように止めてくれた。精霊たちが、ザワザワと騒ぎ出してきた。


(まずいわ。)

「私は大丈夫だから、何もしないで、お願い。」



慌てて駆け寄った護衛やメイド達がセリーナ様を取囲み連れ出そうとしたが、まだセリーナ様は大声をあげ、暴れていた。



「リリアナ様、お怪我は?申し訳ございません、お召し物が汚れてしまいました、直ぐにお着替えを。」

スリミナがこの場から私を連れ出そうとした。サブリアもついてこようとしたので、何故この様なことになったのか状況の確認を頼んで、その場を離れた。



ぐちゃぐちゃのセリーナ様と濡れているティナ様もその場から離れようとしたが、サブリアと騒ぎを聞きつけて来た、王宮の衛兵によって事情聴取が行われた。





スリミナが直ぐに湯浴みの用意をしようとしたが、セリーナ様の放った言葉が気になり、のんびりとお湯に浸かっていられないと思い、湯浴みを断ると、髪や肌に付いた泥は丁寧に拭き取ってくれた。




読んでいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 騙したとはまた酷い言い様だな… これ以上精霊が怒らない様にしないとマジで危険(笑)
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