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令嬢は愛し子でした  作者: 那花しろ
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食事の時間になり、部屋に入ると、既に義母メリアと義妹マリエヌが席に着いていた。

「遅いわよ」

義母の冷たい視線を受けながら席に着く。

「申し訳ございません」


「お父様は王宮からまだ戻られないわ。今までは妃教育があったから甘やかされていたけど、此れからは違いますからね。お前が王族になることはないのだから、甘えは許しません」


「はい・・・」

王族になるための教育は厳しかった。家では義母にキツく当たられ、お父様が居ないと、食事すらない時もあり、甘やかされた事などなかった。


「第二王子の婚約者選定が難航しているようね。侯爵家のマリエヌと、セリオド伯爵家ではどちらが家格が上か考えずにもわかることなのに、まったく」


マリエヌの実父は男爵、母はお金で爵位を買った準男爵で、血筋で言えばルミナより格下だ。再婚で侯爵に入っただけの事。


お父様がいらっしゃると思い、私の分も同じ食事が用意されていたが、お父様の戻りが遅い上に婚約者として未だに認められず、二人はイライラしている。


「・・・」

せっかくの食事も進まない。


「お姉様からも、精霊の祝福があったのは妹の方ですとおっしゃってよ。元婚約者から、妹のマリエヌが婚約者に相応しいですって」



「そうなさい。宰相様のお気に入りだったお前が直接訴えれば、宰相様や大臣達もマリエヌを婚約者に決めるはずよ」


直ぐに手紙を出せと、食事も終わってないのに追い出されてしまった。

お許しをいただいたから、さっさと部屋に戻ろっと。





結局、第二王子の婚約者はルミナ・セリオド伯爵令嬢に決まった。

前婚約者の妹ということで、マリエヌは選ばれなかったようだ。その事で義母と義妹からは虐げられることになった。父が居る時は何もしてこないが、居ない時は食事は抜き、気分次第で納屋に閉じ込める、などなど。

さすがに義母に突き飛ばされて背中を踏みつけられた時は、あまりの痛さに、助けてと願ってしまい、精霊達が動き出したので慌てて止めたけど、王子の婚約者に選ばれなかった鬱憤を私で晴らすかの様に段々とエスカレートしてくる行為に心身ともに疲れてきた。


メイドのコニアは、内緒でリリアナに食事を用意していたことが義母にばれて、クビになり屋敷を追い出された。

しかし、コニアがひどい目に遭わないように精霊に守ってもらっているから大丈夫だと思う。


この屋敷の中で誰も私を顧みなくなった。自分の事は自分で出来る。お妃教育も失くなり、外へ出ることも許されなくなった。メイドと同じ様な扱いになった、それを良いことに奥様のご命令です、の一言で私に仕事を押し付けてくる者もいた。一人でいることが多くなったので精霊たちとよくおしゃべりをしている。


『リリアナ、みんなリリアナをいじめてる、こんなくにでようよ、ねぇ』

『リリアナをたいせつにしてくれるところにいこうよ』


馬小屋の掃除は重労働だ。くたくたになって倒れていると、精霊達が私を癒しに来てくれ、少しずつ体が楽になっていく。


「そうね、そうしようかな。もう、この家出ていいかな、お父様も帰ってこないし」


『おとうさまはジェンリーのところにいるよ』


?ジェンリーとは?聞いたことない名前ね。

『リリアナのおとうとだよ』


「おとうと?」

がばっと起き上がり精霊を見た。


「弟って何?私の弟なの?」

『リリアナのおとうとは10さいだよ、からだがいたくてずっとねているの』


10才?10年前にメリアお母様と再婚した、その時にはその子供は別の女性のお腹にいたということよね?お父様・・・



バタンと、大きな音を立てて納屋の扉が開いた。

使用人とメイドがいきなり私の腕を掴んだ。

「何?何なの?」

「直ぐにお支度を。旦那様のお帰りです」

お父様が帰ってくる。

「別に私はこのままで構いません」

使用人が掴んでいる手に力が入る。

「いたっ!」


そのまま引きずられるように連れていかれ、支度をされた。


途中、メイドと使用人が何もないところで転んだり、壁に激突したりしていた。

(ふふっ、そのぐらいのいたずらはいいわよね)

精霊たちにはそれ以上は控えてもらった。




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