18
ウェズリ殿下の側近の方です
一年後の結婚の予定は半年以上も繰り上げられた。ウェズリ王太子の希望もあるが、このままでは婚姻を結ぶ前に御懐妊となることを懸念しての繰り上げだった。
誰が見ても溺愛しているリリアナの寝所に毎夜忍び込もうとしている王太子を側近の者達が諌めている。メイドも護衛もなしに二人だけで部屋に長く居ることをよく思わない古参もいる。
それに、夜に部屋でウェズリ殿下と二人きりはどうしていいかわからず、戸惑ってしまうと、真っ赤な顔をしたリリアナ様に相談を受けたことがあった。
(ウェズリ殿下ナニをしているんですか)
リリアナ様も婚姻前に関係を持つことに躊躇しているご様子。
「……ただ、挨拶を交わし、眠りにつくまで側に居るだけだ……リリアナに無理強いなどしていない!節度を持って接している」
「では、リリアナ様がウェズリ殿下をお受け入れになったとしても、殿下は節度ある対応が出来るのですね」
婚姻前にリリアナが身体を許すことはない。それはリリアナの周りの者たちは自信あるが、この王太子殿下に関しては、ない。
「……出来る……と思う」
「はぁぁ」
「仕事が多すぎて、リリアナと一緒にいる時間が少なすぎる、リリアナが足りない!夜しか時間が取れないのだから、気を利かせて、二人きりにしてくれてもいいだろう!別に構わないだろう、どちらが先でも!」
このどちらとは、婚姻か御子かになるが、駄目だろう。
王太子殿下が初めて御自分から望まれた方、不遇な境遇にも係わらず心優しく美しく、しかも精霊の愛し子様。
王太子殿下にもリリアナ様にも御幸せになっていただきたい。
「わかりました、一年後の婚姻の儀を半年後に致しましょう」
「半年後・・・3か月後だ!」
「「「!!!」」」
3か月なんて無理だ。御二人の衣装に招待客の選別、招待状から御返事、それだけで3か月以上はかかる。
「招待客などを招いた結婚式は半年後にすればいい。先ずは2人の婚姻を神殿で誓い、部屋を王太子宮に移動すればよい、直ぐに取り掛かれ!」
嬉々として王太子殿下は指示をだすが、誰一人として動けずにいる。
「殿下、今は夜中でございます、明日一番に陛下にお話を致しますので、お待ちください。」
「わかった、私からも父上に話をしよう、遅くなってしまったから、残念だがリリアナへの挨拶は控えよう」
王太子殿下は納得したように自室に戻って行った。
「はぁぁ」
「ウェズリ殿下があの様に女性に溺れるなんて、先々心配が……」
「大丈夫だ、ウェズリ殿下があの様になるのはリリアナ様だけだ。そのリリアナ様はウェズリ殿下を御守りし共に国の為にとお考えの方だ」
「そこは、心配していない、俺が心配しているのは、リリアナ様の華奢なお身体だ、ウェズリ殿下の溺愛を一身に受け、壊れないか心配だ」
「!!ああ、確かに」
幼き頃から一緒にいるウェズリが信頼している2人の側近は、リリアナの事を案じていた。
翌朝にはウェズリは陛下から3か月後の婚姻の許可を勝ち取っていた。
リリアナの知らないところでの攻防




