1. 神埼碧
初めての投稿であります。
拙いところ、ご容赦下さいね
「せんせーありがと、さよーならっ」
「アオちゃん、先輩方があと3人!」
「わかった、気をつけて帰るのよっ」
大きなスクールバックをゆらしながら、夏服の生徒達が小走りに玄関を出て行く。
部活の顧問として、オートロックの玄関を解錠し最後の生徒が帰るのを待っているのだ。日が長くなり明るいが時刻は18時を回っていた。
ほおっと、ため息が出る。
今日も、忙しかったなあ。
授業が5コマ。休憩時間は学年会と生徒の質問の対応。HRが終われば即大会前の部活指導。
休憩なんてないに等しい。
職員室に戻れば、授業分のノートが山になっている。あれを崩しておかないと、明日の授業ができない。
〔ブラックだよなあ〕
教師なんて、定額働かせ放題だぁっ!
おかげで大学を卒業して以来、彼氏の一人もできやしない!
てのは、言い訳かあ。
29歳だよ、29歳。30代まであと1年。
(この頃、疲れがとれないもんなあ。夢ばっかり見て・・・)
夢。
ふいに、いくつもの画面が脳裏に浮かぶ。
夢・・・?
(リーゼンバーグ先生)(リーゼンバーグ様、こちらの)
リーゼンバーグ。
ゆめ・・・。
フラッシュバックのような映像に思わず目をつむり、そして、
「おまたせーアオちゃん、あ、アオちゃん?!」
ゴチ、という鈍い音が自分の近くでした、気がする。
「神崎せんせっ!!」
「先生達呼んできて!せんせーっ!!」
(たお、れたかな)
したたかに打った頭の痛みを感じると共に、思考を手放し・・・。
高速で立ち上がる映像達もブラックアウトした。
神崎 碧
国語教師 29歳
生まれて初めての、失神である。