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異形の英雄  作者: ローストビーフ魂
1/1

プロローグ

闇だ。暗い暗い海の底を当てもなく漂っているようなそんな浮遊感を感じる。

正直、気分は最悪。軽く吐き気すら感じる。

というかここはどこだ。なんでこんなことになってる。記憶が曖昧だ。

というか俺は誰だ。全然思い出せない。確か、、、、、、

名前は、、、、、。

「駄目だ。思い出せない。」

諦め混じりにそう呟く。知識はある程度、思い出したのに肝心の自分自身の名前、出身、家族、友達が一切思い出せない。頭に霞がかかったように記憶が断絶されている。


というか、、、、、

「喋れるってことは俺口はあるんだな。」

というのもさっきからあまりの暗闇で自分自身の肉体さえ認識できない。

多分人間だったであろうころの形かも分からない。


「おーい。誰か!助けてくれ!おかしくなりそうだ!」


声が闇に木霊する。どうやら誰もいないようだ。

「ん?」

遠くの方にさっきまで気付かなかったが、微かな光が見える。

そこに向かって懸命に手を伸ばす。

すると、先ほどまでとは違う引っ張り上げられるかのような浮上感を感じた。

その感覚に身を任せるまま、浮かび上がると

「ぷはっ!」


新鮮な空気の匂い、気怠さからの解放、しかし目と耳がまだ慣れない。

何も聞こえず、何も見えない。

しばらくして、慣れてきたので目を見開くと、、、、、

そこには女がいた。年は18くらいだろうか。艶やかな黒髪、人形と見紛うかのような端正な顔立ち、均整のとれた豊満な肢体、なおかつ白磁のようにきれいな肌。そして何より目を引くのは


”角”だった。そう、女の頭には長さ30、いや40センチはあろうかというねじ曲がった巨大な角が生えていたのだ。素直に驚いた。彼女は何者なのか、、と。

そう思索に耽っていると、唐突に彼女は口を開いた。


「よ、ようこそ。おいでくださいました。我ら”異形種”の希望となり得る御方よ。どうか我らを救う英雄となってくださいませ。」

少々上ずった声で彼女は話した。緊張しているようだ。


というか、話が全然理解できない。”異形種”?英雄?何の話だ。

段々耳も目も慣れてきて気がついたが、周りには彼女以外にも何人かの人?が周りにいる。

というのも、周りにいる存在は皆、人間ではなかった。体が木のような素材で出来上がっている者、

魚のような者、獣と人が混ざったような姿の者、はたまた体が山のような者もいる。


彼ら、彼女らはみなひそひそと会話をしている。

「本当に成功するとは、、、、」

「だが大丈夫なのか。特に特別な物を感じんぞ。」

「大丈夫何じゃない?言い伝え通りなら。」

「まあとりあえず様子を見ようよ。」


などといったことを話している。


「とりあえず、説明してくれないか?ここはどこであんた達は誰なのか?」

とりあえず今、最も聞きたいことを聞いてみる。


「説明が遅れてしまい、申し訳ありません。私の名前はセレスと申します。まずはこの世界について説明させて頂きます。この世界には現在二つの種族が存在します。一つは”人間”。この種族はこの世界に生きる知性ある者の9割を占めます。

そしてもう一つは不本意ながら”異形種”と呼ばれる我らが残り1割を占めます。そして現在、この世界の覇権を握るのは大多数を占める人間です。我ら”異形種”は人間には無い特殊能力がありますが、あまりにも

数が少な過ぎる上に人間は独自の技術で我らを殺す術を持っています。そのため、我らは迫害される立場にあります。そして、ここに集まっている者はこの状況を何とか変えようと抵抗する勢力で通称”リベレイト”と呼ばれています。そして我らを導くものとして言い伝えに従い、あなたを召喚したというわけです。」

なるほど。大体分かった。つまり、俺は今、この組織の新たなリーダーとして呼ばれたというわけか。

しかし、まだ分からないことがある。

「どうして俺は記憶を失っているんだ?」

「それに関しては本当に申し訳ございません。詳しいことは分かりません。しかし、言い伝えによりますと、”異形の英雄”となりうる存在は自分自身の”顔”を取り戻した時、本来の”己”を取り戻すと言われています。」


「顔?」

「はい。」

どういうことだ。俺の中の微かな記憶と唯一はっきりしている知識がおれは人間だと告げている。

だからこうやって見聞きし、喋れるし、顔だって、、、

そう思って顔のあるべき部位に触れてみる。すると

「え?」

無い!無いのだ。俺の顔が無い。本来顔があるべき部位には何も無かった。するりとすり抜けてしまうのだ。


「鏡!鏡はあるか?見せてくれ!」

「りょ、了解しました。」

そうしてセレスに渡された鏡を見てみると、、、、

顔があるべき場所には闇が広がっていた。まるで靄のような闇が。

思わず叫んだ!

「うわああああああああ」

というかどこから声が出てるんだ。最後にそんなことを考えて俺の意識は途切れた。





















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