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え……あ、ごめん。

遅れてしまってすみません。

 私、今を時めく(見た目)十八歳!


 城を抜け出せることになってよかったよかった!


 さ、オウジサマ(笑)にお仕置(しお)きしよっと!


==========


「……………。」


 ……どうしてこうなった……。


 私は血だまりの中に立っていた。

 確かに手に伝わってきた、人を殺したときの感触。

 目の前には頭部のないオウジサマ(笑)……。


 ……ホントに、どうしてこうなった……。



 少し前。

 王様との面談から帰ってくるなり、みゃーこが言った。


「と、言うわけで!」

「で?」

「今すぐにでもこのお城を出て行きます!」

「いえーい! ……あれ、オウジサマ(笑)はどうするの?」

「あぁ、ああいう(やつ)ならこういうことを嗅ぎつけてやってくるさ。」


 私たちは、女神さまからもらった指輪状の四次元ポ○ット(宝物庫というらしい。まんまだな)に、室内にあった家具などをすべて収納して部屋を出た。


「やー、これで私たちも自由の身だね、みゃーこ。」

「ちょ、そういう発言はしないで! そういった(フラグ立てまくる)小説を読んできたんじゃなかったの?」


 そういえばそうだったなぁ。

 ん? やけに後ろが騒がしい。


 何かなぁ?

 と思って振り返ってみると――。


「はぇ?」


 何やってんの? オウジサマ(笑)。


 そのオウジサマ(笑)は私たちの目の前で立ち止まると、こう言った。

「どうして行ってしまうんだい! 父に何か言われたのかい? あんのクソ親父(おやじ)めが!?」


 あれ~?

 何やら盛大なる勘違いをしていらっしゃるようですが……。


「これは私たちの意思です。それでは失礼します。ごきげんよう。」


 と、柄にもないことを言って私が立ち去ろうとすると。


「ちょ、ちょっと待ってくれ!」


 オウジサマ(笑)が私に触れようとしてきたので、

「しつこいですわ、王子様。」

 私は微笑(ほほえ)んでそう言って、王子様にデコピンを放った。


 オウジサマ(笑)の頭が一瞬膨張して、弾けた。

 オウジサマ(笑)はゆっくりと後ろに倒れた。


 ありゃ、やっちまったか。

 生まれて初めて人を殺したけれど、もっとまともな人にしたかったなぁ。


「久留美、あんたねぇ……。」


 すまないな、みゃーこよ。

 これはセクハラへの応酬だ。

 仕方ないんだ。

 こうなると分かっていれば、双方こんなことはしなかったろうに。

 あぁ、なんと嘆かわしいことをしてしまったのだろうか。


「これは、仕方なかったことなんだ……セクハラの撲滅は私の夢なのさ。」

「かっこいいことを言っているみたいに聞こえるけれども、要するに今思いついたのね。」

「ばれた?」

「はぁ……ついでに今言っておくけれども、王様から王子を懲らしめてほしいとは言われたものの、殺せとまでは言われてないわよ? どうするの?」

「ちょっと待って――」


 女神さま、何かいいものない?

 おお! これがあったか!

 その人の形や性格を覚えていれば魔法で作り出すことが出来(でき)るというものだ!


「――ズバリ! 魔法を使ってオウジサマの頭部を修復すればいいと思うの!」

「本当にできるの?」

「もちろん! 私をなめないでよね!」


 三分後。

 久留美は顏をあげた。


「できた!」


 みゃーこがオウジサマの頭を見ようと、こちらの手の中を覗き込んでくる。


「どれどれ……あら、見た目はちゃんと直ってるじゃない。頭の中身の方は?」

「……どうしよう。」

「はぁ……仕方ないわね、ちょっと貸しなさい。」


 それは良いけど、さっきから後ろの兵士さんたちびくびくしてるよ!?

 大丈夫? ま、何とかなるか。

 だって――。


「よし! できたわよ!」


 美也子は立ち上がり、おまけにと回復魔法をかけて終わった。


「ん……? ここはどこだ……?」

「お目覚めですか、王子様。」


 おや、みゃーこが急に演技を始めたぞ。

 それは良いけど、さっきから後ろの兵士さんたち真面目にびくびくしてるよ!?


「お、王子……?」

「そうですよ? あなたは記憶がないかもしれませんが、気高いこの国の王子なのです。先ほど事故がありまして、頭に強い衝撃がかかってしまい、記憶を失ってしまったようですね。」


 うむ。(うそ)は言っていない。


「そ、そうだったのか。」

「ほら、後ろに従者たちも従えて。あなたはよく親孝行をし、謙虚で、誰に対してもやさしく、時に厳しい、そんな国民の憧れのような存在なのです。現国王である尊父と母堂の愛情をたっぷりと注がれて育ってきたのですよ。」

「この者たちが私の従者……。」


 兵士たちがひざまずき、「我々(われわれ)は、王子様に一生の忠誠を誓います!」といった。


「では、私たちはそろそろ失礼しますが、この国の(さら)なる発展を願っております。」

「ああ、ありがとう。お元気で。」


 そうして、私たちはこの国を離れたのであった。



 数時間後、どこの国の領土でもない高原にて。


「いやぁ、それにしてもものすごい上手な演技だったね、みゃーこ。オウジサマ(新)絶対()れてたよ。」

「これであの国が崩壊するといいんだけれども……。」


 あれ? 私と考えてることが少し違わないか? みゃーこよ。

 私は真面目に発展を願っていたんだけれどもな。


「みゃーこ、オウジサマ(笑)に何を吹き込んだの?」

「特にはそれと言って大それたことを入れておいたわけじゃないのよ。ちょっと時間が()ったら、充実した幼少期と、真面目な自我を思い出すからね。」


 現実とだいぶかけ離れてる……。


「それがどうして国の崩壊につながるの?」

「まぁ、後々(あとあと)わかるわよ。」


 そうですか。

 完全に理解しました(全然分からん)


「ところで、やっぱり生き返るとかそういったことはできないんだね。」

「そうね。……まぁ、ヤンデレ系の方々にとってみれば、うってつけなんでしょうけど。」

「え? 何か言った?」

「なんでもないわ。」


 おかしいな、最後の方にボソッと喋ったような気がしたのだけれども。

 幻聴が聞こえてくるようだったらちょっとまずいな。

 やっぱり、初めての殺人はこたえたか。


「そういえば、住むところはどうする?」

「そうねぇ、取りあえず今夜は手短なところでログハウスでも建ててそこで寝ましょうか。」


 さすが、みゃーこは頼りになる。



 夜までに完成はしたものの、建設はほぼみゃーこに任せたので、私は代償に『たとえ魔法であっても何もないところから作り出すことはできない』という話を長々と聞かされた。

一応、この章はこれで終わりの予定。(予定!!)

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