え、ちょ、ま……。
私、昔ときめいてた(?)、元十五歳!
親友のみゃーこと友情を深めたの!
ちょっと恥ずかしかったけれど、とっても楽しかったし、癒やされた!
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「……………。」
……どうしてこうなった……。
私たちは大草原の中で、呆然としていた。
草……。
ねぇ、今、私、凄くうまいこと言ったよね!
言ったよね! いった……よね……。
「ま、あの女神のクソ野郎はあとでボコるとして……行こうか、久留美。」
コワイコワイコワイコワイ。
みゃーこ、目がすわってる!
目が、目がああぁぁぁああ。
メガネ眼鏡、グラサンっぽいの! かけといて!
私たちは、ぐるりと壁に囲まれた草がぼうぼうの野原にいた。
「草がぼうぼう……くさ……。」
たくさんの何かが近づいてくる気配がしていた。
と、茶番はここら辺にして。
一時間前、神界にて。
「へぇ、ここって神界って言うんですね。」
「そうなのよ。ここならものすご~くゆっくりと時間が流れているの。今だけは、ね。」
「『今だけは』ってどういうことですか?」
「時間が川の流れの様なものだとするとね、神界は、川辺、つまり陸にいるみたいなものなの。だから、戻ることだってできるし、ものすごいスピードで進むことだってできるわ。だから、『今』はゆっくりと進めているのよ。要は気まぐれね。」
私が目覚めた時、二人はそんな会話をしていた。
ちなみに私は、土下座したまま寝ていたらしい。
すげぇ、私。自画自賛しよう。ほめたたえよう。
こんな体勢で寝られる奴なんて一握りもいない。
多分だけどそう思うのは私だけではないだろう。
私、すごい! 私、偉い!
「ちょ、待った。」
なんだ? みゃーこよ。
私にあやかりたかったらいつでも言うがいい。
救いを求めてもいいぞ?
何なら――。
「いや、土下座中に寝る奴がすごいとは思わないんだけれど……。」
おや、これって……正論!? 正論なんですかぁ!?
ちょ、まって!
私、土下座してたことを威張ってたの!? もしかしなくとも!?
恥ずかしいってもんじゃないわよ! きゃ~!
「あの~、一人でヒートアップしてる時に悪いけど、ちょっといいかしら?」
女神様に話しかけられてる。ああ、耳が幸せ(ワタシ、壊れかけ)。
でも、今の私の羞恥心を覆すほどの威力は無かった!
しかしまぁ、冷静に考えてみれば、さっきのハグほどには恥ずかしくないな。
うん。
おや?
そこのお二人さん――女神様とみゃーこのことだけれど――ずいぶんと赤いねぇ。
真っ赤だねぇ。顔が。
「あの、私の話を聞いてもらっていい……ですか?」
女神様が、『このままだと全く話が先に進まないので頑張って司会・進行をしよう!』と言わんばかりの表情でおっしゃった。
あながち、私の考えは間違っていないのかもしれないぞ。
「あの……。」
あ、涙目になってきた。
昔の『あらあら』はどこに行ったのやら。
ん? 女神様が急にしゃきっとした。
と、思ったら、みゃーこの背中に手を当てて一緒に歩きだした。
私の方向に。
みゃーこも戸惑ってる。
女神様、ご乱心!?
「えいっ!」
女神様が私たちを抱きしめた!
何が起こっている!? 狂ってしまわれたのか!?
「あらあら、困った様子ねぇ。」
く、苦しい。いろいろと。
さっき、本性(?)を垣間見てしまったから、なおさらに。
「ふふっ。ねぇ、私から、あなた方にお願いがあるのだけれども。」
な、何ですか? 耳のそばでささやかれるので耳が死んでしまいそうになっとるんですが。
零体可視化スプレー(だっけ?)、かけなければよかった……。
「二人とも、若いうちに死んじゃったし、異世界に転生してみるとか、興味ない?」
「「ありません。」」
「へ?」
私、思ったことをはっきりというタイプだと思うけれど。
目と鼻の先の女神様の表情は、同情したくなるねぇ。
ま、しないけれど。
「剣と魔法の世界よ? 行ってみたいと思わないの?」
「「行く気はありません。」」
なおさらに。
私はそう付け加えた。
「ねぇ、不老不死の祝福とか、付けてあげるから。」
「「絶対に要りません。むしろ死なせてください。」」
いやぁ、ここまで考えが一致するなんて。
伊達に長い間親友でいるくらいあるな。
「そう、それでも行きたくないというのなら……しかたないわね。」
「?」
「久留美、危ない! 逃げて!」
逃げるって、どこに?
そう思ったら、足元になんか円が出てきた。
二人とも。
走っても付いて来るや、これ。
なんだか良く分からないけれど、文字が内側に書いてある。
あ、もしかしてこれ、魔法みたいなものだったりする?
だったらまずいんじゃないか?
みゃーこの言葉を理解したその時。
目の前が真っ暗になった。
そして冒頭部分に戻る。
ものすごい膨大な情報が頭の中に流れ込んでくる~。
私、もうだめかも……。
「ほら、久留美、しっかりして!」
そういうみゃーこも、どことなく苦しそうだ。
誰かが近づいてくる。それもたくさん。
先頭にいるの、あれ、ハクバニノッタ王子サマだったりして……ふっ。
ま、なんか不老不死になったみたいだし、転生したおかげでとにかく可愛くなったみゃーこを愛でられるのかと思うと、こんなのも悪くないか、と思う私であった。
深夜テンションで書き上げたこの話。
これにて神界編は終了です。(予定)
この作品、それほど長く続ける予定もありません。
【次回予告】(実は未定)
「さ、にーげよっと!」