新たな出発点
ここは魔術によって栄えた国『マジリティア』。
俺が生を受けたのは田舎中のド田舎の農家の家だ。家から出ればそこは一面の緑と田んぼだ。もちろん魔法も仕獣っていう主のみの言うことを聞くペットみたいな獣も農業や生活に使える地味なものばかりだ。
「ディア!学校にの準備出来てるんか!」
「はいよ」
…そう、今年で俺は国が管理している中心部の学校に通うことにった…。こんなド田舎魔導師生活なんて終らせてやる。
「ほら、早くしないと中心区への列車が無くなっちまうよ!」
「やっべ!」
期待しかないこの胸を抱いて駆け出した。
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……と、まあ張り切ってはいたが、やはり畏れ多き大都会の街並み、人混み。息をする事すらもめんどうになってしまう。
「ああ…帰りてぇ……。」
まて、早速ホームシックか、やめろ。
「ねぇ!君、気分が優れないようだけど、どうしたの、大丈夫?」
唐突だった
(むむむ…、綺麗なエメラルドの髪、目、整った顔、どうみたってヒロインの女の子じゃないか…!?割とタイプだしやべぇどうしよ。)
「顔も赤いよ?熱でもある?」
顔が近い。
「んっ、遅刻するな、まずい、走らねば」
冷静かつ正確な対応な自信があった
「あ、待って!…これは、うちの学生…?」
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だめだ、年齢=彼女いない歴の俺にはキツすぎた
「へぇー彼女いないんだー」
「はっ…誰だ!?」
すかさず防御の構えに入る
「誰だ!?…って失礼だなー」
(な、なんださっきの子か?…心で読めるのかこいつ…てかなんで追いついてんだ?)
「し、失礼ってこっちのセリフだわ!」
手で口元を抑えながらクスクス笑い、こう続けた
「私はウィンリィ、この近くの学園に通っている生徒よ。得意魔法は風!」
「は、はあ…」
「あ、そうだこれ!君落としたでしょ、IDカード!これ、ないと学校の、敷地には入れないんだよ?」
「あ、それは!」
(ガサゴソ…)
「…無い、いったいどこで!?」
「さっき会った時よ」
「ありがとう、助かったよ、ん…と…」
「ウィンリィよ!」
「あ、ごめんウィンリィ!ありがとう!」
やはり名前を覚えるのは苦手だ
「え、もうこんな時間!?遅刻しちゃうじゃん!」
本当だ、もうこんな時間になってしまった
その後二人は別々に学校へと駆け出していった。
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「えーでは本校では珍しく転入生が入った」
と、教師が言うに続けて教室が賑やかになった
「入れ」
ガラガラ…スタスタスタ
「今日からお世話りなります。ディア・グロウスと言います!」
教室が一瞬沈んだ、ああ、だいたい予想がつく
俺の容姿が「イケメン」「美少女」のいずれでもなかったからだ。
所々から「よ、よろしく!」「なんて呼べばい、いい?」などなんともあまり明るくないようなオーラが満ちている。
「ディ、ディアって呼んでください!ま、まだ魔法の主属性など分からないのでなんとも言えませんが、と、とりあえず仲良くしてください!!」
田舎者の必死の自己紹介だった。
「よろしくね!!」
エメラルドの髪、目、整った顔、明らかにあの時の娘だ。
「よ、よろしk…」
最後の文字をいう前に先生の喝が入った
「これから今学期の魔法適性診断を行う!実習館にて整列しておけ!」
「はーい」
小学生ばりの揃いっぷりだった。
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「ん、君は…木、だね。」「君は氷。」「君は火。」……
白い衣服をまとった人が生徒一人一人に話しかけていく
(あれは何をしているんだ…?)
「あれはねー『陰読み』って言ってね…」
「うわ、びっくりした、」
やはりこれだけは慣れる気がしない
ウィンリィは少しくすっと笑った、やはり綺麗だ
「君は本当に面白いね!私に恋したら痛い目みるぞ!後で魔法適性教えてね!あ、次私の番だ!」
「だ、誰が好きになるか!」
自由奔放すぎる…まだ『陰読み』について教えて貰ってすらいないのに…
徐々に自分の順番が来る
「はい次57番ディア!!」
個室に入る、なんだか微妙な緊張感が迫ってくる
「君はね…」
『陰読み師』の顔が曇る
「君はね…大地、そう!地だ!」
こいつは嘘をついている、書面には確かに『破』と『創』の文字がある。そして奥にいる黒いマントの奴となにか話している。
これはあからさまにおかしい。
「ねぇねぇ!何だった!」
また突然
「あ、ああ地だったよ!地!」
「へぇー地かぁ…地はバランスの取れた魔法が使えるよ!羨ましいなー」
そんなにいいものなのか、へぇ
「緊急避難警告です。緊急避難警告です。」
次はなんだ
「中心部西区にて災厄ランクSが発令されました。生徒は速やかに避難し、先生方は加勢に向かってください。」
そうだ、この国には災厄と言う主に背いた仕獣が暴走するという害獣が相次いで現れている。ランクはすべてでB,A,S,S+の四段階になっている。
……今回はSだ。中心部は致命的なダメージは免れない。ここは逃げよう。
突然強い風が吹いた、ウィンリィだ。
「おい!どこにいくんだ!!」
「ちょっと災厄を倒してくる!」
「無茶だ!逃げよう!」
もう聞こえる距離じゃない
「くそっ、」
俺は何を考えたのか自分でもわからないが体が勝手に追いかけて行った。
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「グギャアアアアアアア!!!!!」
「いけ!」「そこだ!」「魔術隊今だ!」
そこはもう戦場だった、ウィンリィの姿が見えない。詰んだ。
「くそっ!!!!」
地面思いっきり踏みつけた
「グギィイイイイイイ!!??」
運が悪かった、俺が踏みつけたのは災厄の尾。
「やべぇやべぇやべぇ!」
(お前に守りたいものはあるのか?)
「こんな時に誰だ!」
周りは燃える家や車、悶える一般市民だけ。
(お前が欲するのならば力を贈らせてもらおう)
「ああ、そりゃ助かるぜ!」
(授かれ、神殺しとも呼ばれた我のこの力を!!)
目の前が眩んだ、その後の記憶も曖昧だ。
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目が覚めたそこは病院ベットの上だった。
違う
『監獄』の寝床の上だ、体が痛い。
「お前は一体何者だ?」
見知らぬ男の声、多分看守かなにかだろう。
「はい、この中心区の学校に通っている学生です。」
「適性魔法は?」
「地、と言われました」
「そうか」
なんだこの興味のなさそうなから返事は
「お前、ここで一生暮らすか、我々と行くかここで選べ」
……?、???、!?!?!?
頭に無数のはてなが浮かんだ、
動揺した俺の答えはこうだった
「条件が良ければ引き受けよう……」
ああ、ああああ、塵になってなくなりたい、こんな修羅場で中二病炸裂かよどうしたディア16歳ド田舎育ちの彼女なし!!
「まあそうだな…」
険悪な表情だ…殺される…
「とりあえず美味い飯は保証してやる」
飯で釣られる訳では無いが、仕方ないここから出るならついて行くしかない……
「ついて行ってやってもいい…ぜ」
「そうか、じゃあ出してやる」
やっと出れた、なぜか外の空気が美味しく感じる
「俺の名前は『ラーナ』、6人ギルド『サルバドール』のマスターだ、君が力を上手く使いこなせるように国王直々に指導を命じられた。」
俺は何者になってしまったのかまだ整理がつかない
ウィンリィを探して戦場に駆け出して…それでどこからか声が聞こえて…
「あっ」
「どうした」
「俺…神殺しがどうとか力がどうとか聴こえてきたんです…」
「やはり…な」
思いつく節でもあるのか少し考え込んでから
「お前の力は第7天魔王の一人『怒れる者』の力に似ているんだ、しかしこの能力を授かるには魔王を召喚し、倒すか直々に言って倒して習得するかの二択だ」
俺に魔王を倒した記憶はない
「あの…第7天魔王ってなんですか?」
「おま、知らないのかよ!」
なぜ驚いているんだ?
「第7天魔王って言ったらこの王国の各区を創造された至高の御方だぞ!」
田舎者がそんな知識を備えているはずがない、親によって生んでもらって育ててもらった、それしか知らない
「全部で6人、憤怒の神『怒れる者』色欲の神『艶美なる者』怠惰の神『惰性貪る者』強欲の神『強欲たる者』嫉妬の神『羨望する者』傲慢の神『越に浸る者』暴食の神『魂食する者』だ」
長々と話したって理解出来るわけない、まあのちのち覚えよう
「そして『怒れる者』は俺らギルドの討伐対象だ」
何となく空気感がわかってた気がする
その討伐対象の魔王の力が何処の馬の骨かわからない雄の人間に見られた、それは確かに国も焦るに決まっている、そこで有効活用しようって魂胆だな
「よし話はこれぐらいにしておき、これからギルド会議だ、付いてこい」
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連れて行かれたのは小さな酒屋、よくある中世のみたいな
「おう、マスターさんよ、話はついたんか?例の神殺し」
なんだかもやしのような品格の男が話しかけてきた
「ああ一応な」
俺は神殺しなんて物騒な名前がついていたのか
「紹介する、得意魔法『破』と『創』のディアだ!」
酒場が静まってしまった、俺の得意魔法はそんなにやばいのか?
「まあまあ皆さん大丈夫ですよ、害はありません、空気に水を指してしまって申し訳ございません」
謝っただけでは空気は戻りはしない、一人一人スタスタと帰って行ってしまった
残ったのはギルメンだけだ
初めに大柄な男が口を開けた
「んで、マスター今後はどうすんだ?こいつの教育か?はっ、俺らも見くびられたもんだぜ」
「まあそうでもないぜ?こいつの力は俺らの討伐対象の天魔王の力を宿してる、そこでこいつを育ててギルメンにするって作戦だ」
場の皆がざわついた
「それ、大丈夫なのか?」
「なにがだ?」
「そいつ、天魔王召喚し出したりとか裏切ったりは」
こいつら外見で人を判断する奴らだな
「まあ大丈夫だ」
徐に立ち上がりこう続けた
「さあ明日は魔窟へ行って訓練だ、遅刻するなよ?それとディアは俺が部屋を用意してある、付いてこい」
やっと休息が取れると安堵した
初めて書いた小説です。何か至らない点が多いと思いますが、お許しください。もし評判がよかったら続きを書いてみたいと思います。よろしくお願いします。