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第29話
黒い
世界
埋もれてしまいそうな錯覚の、
黒。
その中で
ひとつの光が
祈り?
希望?
・・・魔石?
どこかで見たような
レオンハルトの持っている魔石?
『・・・シュヴァルツ!』
ああ、誰か呼んでるな。
・・・レオンハルト?
子どもの頃から鉱石が好きだった。
ありがたいことに、鉱石は国で山ほど採れる。
魔法より鉱石の勉強をしている方が好きだった。
だから、レオンハルトの身に着けている不思議な魔石に関しても、色々調べた。
だが、わからなかった。
「鉱石のような綺麗な世界になればいいのに」
「鉱石みたいな?」
「うん。綺麗で平和な世界さ」
「へえ。僕はみんなが笑ってる世界がいいなあ」
にっこり笑う。
幼いながらに、二人は平和を願っていた。
・・・それが、あいつとの出会いだった。
何度目かの薄れゆく意識のなかで、それを思った。
『レオンハルト、俺は―――――――』
アラムが何か叫んでいる。
ああ、そうだ。
俺はそれを知っている―――――――。
そう、否応なく聞かされるのだ――――――。