新キャラの予感
昨日は更新できず、申し訳ございません。
「のう、じいさんや」
すごくイイ笑顔で俺を見上げてくるストーカー女。
「なんだい変態や」
「今回の被疑者の名前なんだっけ?どんな嫌疑がかけられてるの?てゆーか良いノリだよ!あがっていこうぜぃ、マイブラザー?」
「知らないで見張ってたのかよ…!それと俺はお前のような、変態の妹なんか持ってないぞ。ただでさえ姉だけでも大変だってのに…はあ」
もう突っ込む気力すら無い。…と言いつつ実際のところは突っ込んでるんだがな。
「被疑者の名前は山田 雄介。三十一歳、独身のフリーターだ。複数の女性に結婚をによわせて貢がせ、うち四人を殺害、死体を景信山に遺棄した疑いがかかっている。もし本当に犯人なら、殺人罪に死体遺棄罪ってところだな」
「うわっ。ご愁傷様です。にしても四人か~…じゃあ良くても無期、悪かったら死刑かもね。でも、少し引っかかるんだよな。なんでわざわざ、景信山に遺棄したんだろう…もっと、見つかりにくい山にすれば良いのに」
「さあな。俺が知るか。……ん、もう交代の時間か。そら、帰るぞ」
時計を見ると、もう午後六時半を過ぎていた。確か、交代の時間は六時だったはず。
三十分以上も過ぎている。さっさと帰ろう。チョコケーキが待っている。
「うん…」
なんとも煮え切らない返事が返ってくる。
見てみると、ストーカーは真剣な表情で何やら考え込んでいた。
こいつ、こんな表情出来たんだな……。
「ねえ、殺された四人の女性の身辺と、被疑者との関係をもう一度洗いなおしてみない?」
「……あ、ああ…」
なんかこの変態が真面目だと調子狂うな…。
警視庁捜査一課にてー…
「啓司さん、行くよ」
チョコケーキを頬張る俺に、突然そんな声が掛けられた。
「は?どこに」
「どこって…情報通の、相樂 迷さんの所へ!」
情報通。警視庁で情報通といえば、この人しかいない。
「え、いやだ」
「なんでさ、啓司さんっ!ワタシはこの事件の真相を知りたいだけなんだよ~!」
「大体なんでそんなに真相が知りたいんだ…」
「だって分からないと、こう…もやもやするんだもん!」
「あー、そうか。じゃあ一人で行け、一人で。俺、あの人苦手なんだよ」
…なんか会うたびに毎回、鼻息が荒くて身の危険を感じるんだよな…。
「ここに帰って来てすぐ行ったけど駄目だった。松本 啓司を連れてきたら話を聞いてくれるって」
「はぁ?なんでそこで俺の名前が出てくるんだよ。つか居ないなと思えばそんなところに行ってたのか?じゃあびっくりしただろ。あの人専用の部屋の中、アニメグッズだらけだもんな」
「そうなの!?うっし!そういう事なら今行こう、すぐ行こう、マッハで行こう!」
あ、なんかまずった。
迷専用部屋の前にてー…
来てしまった…。
もう今すぐ帰りたい。うわっ鳥肌立ってる…どんだけ嫌いなんだ、俺。
いいや、用件だけ言ってすぐ帰ろう。
コンコン。
扉をノックする。
武骨な扉はひんやりとしていて、指が少し触れただけでも気持ちいい。
「相樂さん、捜査一課の松本 啓司です」
「その相棒の、鳴竹かぐやでっす!相樂さんいまー…へぶっ!」
変態の言葉はさえぎられた。
突如として開いた、鉄製の扉の攻撃によって。
変態が崩れ落ちる。
………鼻血を噴いて、顔を赤くはらしながら。
周りにいた人々の顔から血の気が引いていく中、
それをなした張本人である、相樂 迷だけが唯一頬を赤く染めていた。
なんだかとても濃いキャラの予感が……