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ストーカーちゃんと冴えない刑事さん  作者: さかなたなま
1/9

変態との出会い1

「おい変態ストーカー女、ちゃんと被疑者見張る気あんのか?」

「ふがふが…安心してください、ちゃんと見張っていますよ、ふがふが…」

「いや見張る気ないだろお前」

「はすはす、すはすは…あるある、すっごいある」

「じゃあ今すぐそのパンツから手を離せ?」

「は?何言ってんの、嫌なんだけど」

「つかお前、どこからそれ盗んできた?」

「んー、これのこと?」

そう言って彼女、鳴竹 かぐやはぴらり、と今しがたまで食べたり嗅いだりしていた、男物のボクサーパンツを広げて見せてきた。

「それ以外に何があるんだよ…ん?これ、どこかで見たことがあるような……」

「そりゃとーぜんだよ。だってこれ、君のおぱんつだもん」

「おぱんつ言うな!てゆーか、最近見かけないと思ったら…お前の仕業か!…だが昨日、俺とお前は出会ったんだぞ?そのお前が、なんで俺のパンツを…」

「…世の中には知らない方が良いこともあるのですよ?むふふ…。それにしても、まったくイイ香りですなぁ!君のおぱんつは!英語で言うと、Your opantu has a very good smell!」

「お前、英語喋れたんだな……」

「君は私を何だと思っていたんだい…?」

「変態ストーカー」

「良く分かっているようで大いに結構!褒美に君の生おぱんつを嗅いでやろう!」

「それ自分自身への褒美だよな?それに俺は、そんなマニアックな性癖持っとらんわ!」


俺は、女子にパンツを嗅がれて喜ぶような性癖は持ち合わせていない。

至ってノーマル。ノーマルだ。


「んー…ご褒美…ご褒美…何にしよう?」

なにやら額に手をあて、真剣に悩み始めた様子のストーカー女。

「もうご褒美とか要らないから、俺の前から消えてくれ…それがなによりのご褒美だから……」

消えてほしい。死ねとは言わないから、せめて俺の前からいなくなってほしい。


そんな時、妙案を思いついたのか、パッと表情を明るくして、顔をずいっと俺に近づけてきた。

「な、なんだ…」

「ふっふーん。聞いて驚け!これぞ私の、一世一代の妙案よ!」

「…で?」

凄く嫌な予感がするのは気のせいか…?

「も~冷めてるなぁ……いい?よく聞いてね?ご褒美として、私のパンツ嗅がせてあげる!それなら全てが丸く収まるし、君は私のパンツを初めて嗅いだ男という、名誉ある称号をゲットできる…私ったら、天才かも…」

「ぶーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」

その馬鹿げた案を聞いた俺は…ふいた。

それはもう盛大に、ふいた。

「急にどうしたぁ!?しっかりしろ、パト○ッシュ!傷は浅いぞ!死ぬなああああ!」

そう言いながら、俺の背中を優しくさするストーカー女。

「げほげほ、おっおま…おまえ、なに、いって……」

「ちょっ…むせたの?相当キツそうだけど…」

先程のような、ふざけた様子は一切なくただ心配そうに、こちらを見つめてくる。

そんな手厚い介抱を受け、「私のパンツ嗅がせてあげる!」というセリフが俺の脳内にこだまする。

そんな自分が恥ずかしくて、むせて赤かった顔がさらに赤くなる。

「だ、大丈夫だ。問題ない」

「そう?でも顔、凄く赤いけど」

「だっ大丈夫だ!こっち見んな!」

こっこいつ、自分の発言の重大さを、まったく分かってねぇ!

生まれてこの方、親戚以外の女子とろくに話もしたことがない俺には、たちの悪い冗談だと、頭では理解していても、その、なんだ。

……恥ずかしいじゃないか。

本当に、俺はこいつとコンビとしてやっていけるのか。

なんにせよ、この変態はかなりオープン過ぎだ。

女ならもっと恥じらいを持って欲しいものだな…。

「はあ…」

「ん?どーかした?」

「はああああああ……」

「…なんかムカつくな、そのため息」

ほんと、なんでこんなおバカ変態ストーカー女と…出会ってしまったんだろう?



昨日の事だ。


『…こちら警視庁本部。松本刑事巡査には取り急ぎ本部への帰還を……』

「了解した」

連絡内容を最後まで聞かず、早々に無線を切る。

なぜかって?理由は至極単純だ。

時は八月十日の正午。お空のお天道様がアクセル全開で、我々人間をこんがり焼こうとする時分。

要は〈こんな暑い日に張り込みなんてやってられるか。さっさと帰りたい〉という胸の内が、つい行動に出てしまった、ということだ。

こんな日はクーラーのきいた部屋でココアを片手にショートケーキを頬張るしかないな。


「さ、帰るか。あ、あつい…とける…」

誰に言うでもなく、独り言を呟き踵を返そうとしたとき、


ドン!


背中に鈍い衝撃が伝わった。

「うべしっ!」

それと同時に奇妙な短い悲鳴が上がる。

慌てて振り返った俺は、目に飛び込んできた光景を見て、絶句した。

俺の目の前には、一人の少女が、潰れたカエルのようになってのびていた。

背丈は百六十センチあるかないか。

そこから考えるに、高校生といったところか。

なぜ高校生が路地裏に、という疑問もあったが、それよりももっと特異な事があった。

その少女はこのクソ暑い中、黒のジャンバーに黒の長ズボンを着ていて、右手には黒い大きなポリ袋を携えていた。

明らかに怪しい。怪しすぎる…が。


「……(目を背ける)」


どうしよう、この少女を直視したくねえ…!

怪しいとは思えど、見ているとこっちが暑くなってくる(気がする)。

そんな時だった。

急に、潰れたカエルよろしくのびていた少女が、刑事の俺でさえ思わず引いてしまう様なキモい仕草で起き上がってきた。

と同時に、機関銃のように一気にまくし立てる。


「なんで…なんで助け起こさないの?馬鹿なの?ウマシカなの?馬+鹿な残念なアタマの持ち主なの?ねえ?普通そこでフラグが立つんじゃないんですかあああああ!」

「お関わりになりたくないからだよ」

おっと。つい本音が出てしまった。

ふらぐ…?何かは知らないが、家の馬鹿姉貴がよく口にしてたから、ろくなものではないだろう。

「ひっ酷い…やっぱり東京の人って冷たいんだ……助けて、おじーちゃぁぁぁぁん!」

そんな『助けて、ドラ〇もん!』みたいな感じに言われても。

「あ、違った。助けて、ドラ次郎ー!」

ドラ次郎!?…いや、それはどうでもいい。

『やっぱり』や『東京の人』という言い回しからするに、この少女は東京都在住ではないようだ。

「も、もしかして君、東京の人じゃないのかな…?(ぎこちない笑み)」

「ううん。言ってみたかっただけ。私は東京都産の乙女よ!」

「あ、あははは…(怒)」

東京都在住のようだ。

「ねえねえ。そんなことよりもさ、こんな所にいるってことはさ…君も『同志』なんでしょ?それなら見てよ!この戦利品の数々をッ!!」

「戦利品…?」


変なところで切ってしまい申し訳ありません…m(__)m

文字数の関係上、仕方がなかったのです。

次話は出来上がり次第投稿させていただきます!

閲覧有難うございました!

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