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第七話 ハワイ・ウナラスカ攻撃 (前編)

今回は結構長めですね。

次回で日本側にも艦艇の損失が出ます。

 



 1939年9月13日


 アリューシャン列島 ウナラスカ島


 ダッチハーバー海軍基地

 

 上空高度1300m







 「ふむふむ。戦艦1、巡洋艦3、駆逐艦12か...........中々のもんだな。」

そう呟くのは第一次攻撃隊総隊長である空母「龍鳳」航空隊所属、関衛少佐だ。


『隊長、此方二番機。戦闘機隊がバンクして離れていきました。』


「分かった。我々も攻撃態勢に移るぞ。艦攻隊は降下を開始せよ!!艦爆隊は俺に付いてこい!!」


『『了解!!』』


関の乗る九八式艦爆は大きく左に切り込み戦艦に向かっていった。







 アメリカ海軍太平洋艦隊所属戦艦「ウエストバージニア」



 

 史実では真珠湾に要る筈のウエストバージニアもこの世界では北方警戒のためダッチハーバーに停泊している。

2日前に源田航空団の九八式艦爆と九九式艦攻の攻撃で一番、三番砲塔が使用不能となり、後部指揮所も全壊。中破の状態だった。


「おい、あれは何だ?」


「友軍か?いやまさか......」


「待てよ。おい!!ミートボールだ!!ジャップだ急げ!!」


水兵の言葉で艦はてんやわんやとなり対空射撃が遅れたのがウエストバージニアの運の尽きだった。


「投下!!」

急降下爆撃で関の分隊からは次々と五百キロ爆弾が投下される。


「ダメだ!当たるぞ!!」


ウエストバージニアが揺れた。結果として三発の五百キロ爆弾が命中。一発は左舷高角砲群、一発は煙突に命中し、機関が破壊された。

一発は喫水線下で爆発。魚雷のようになり艦内にとてつもない量の海水が入って来ていた。更に混乱に乗じて艦攻一個分隊が突入してきた。


「いいぞ......あと少しだ......」

分隊長が集中していたその時、


「二番機、被弾!!」


見てみると二番機が火の塊となって、上昇している所だった。


「よし。撃てぇ!!」

分隊長と残った二機が投下した800キロ航空魚雷は真っ直ぐ進み、三本の水柱が左舷に立ち上った。


「ふう。良かっt..「隊長!!見てください!!」」

急いで戦艦を見ると被弾した二番機が艦橋に突っ込んだとこだった。


その瞬間、一際大きな炎が上がった。


「.........」

分隊長は無言で敬礼をして、上昇していった。


ダッチハーバーは燃えていた。連日の爆撃を生き残った燃料タンクも正確無比な機銃掃射によって爆発、炎上し、整備施設も爆撃により破壊されるなど最悪の状態だった。何とか耐えていたウエストバージニアも遂に転覆し沈没。その他の艦も沈没または大破が相次ぎ、ダッチハーバーは港湾機能を失った。一時間後に攻撃隊は龍鳳、幻鳳、更に客船改装の飛鷹型航空母艦「飛鷹」、「隼鷹」の四隻に帰還した。


「司令。攻撃隊の損害確認終了しました。」

下士官が吉良に伝える。


「うむ。それでどうだった?」


「はっ!損害は零戦0、九九式艦攻5、九八式艦爆3、合計8です。」


「司令、思ったより少なかったですね。」

副本が言う。


「ああ。だが優秀な搭乗員が多く失われてしまった.......残念だ。」

吉良は落ち込んだ感じで言う。


「司令、実はもう一つご報告が.....」

参謀長が恐る恐る述べる。


「何だ。」


「はい。どうやら関少佐によると湾内に敵艦隊はいなかったそうです。」


「成程、では第6艦隊はやはり......」


「......ハワイか。副本、これからどうする?新高作戦は成功したぞ。」


「はい、とりあえず第二艦隊と合流しましょう。それからです。」


「うむ、そうだな。全艦に通達!!これより第二艦隊と合流する。一斉回頭!!」


「了解、取り舵いっぱい。ヨーソロー。」


こうしてダッチハーバー奇襲は成功したのである。







 1939年9月13日


 ハワイ諸島オアフ島北100km高度3000m







 「天候よし、全周よし、機体よし、排泄物もよし!!」

空母「赤城」航空隊長であり第一次攻撃隊総隊長でもある淵田美津雄中佐は景気よく言った。


「辞めてくださいよ隊長......無線開いたまんまですよ.........」


「え!?」

他の搭乗員にも聞こえていたらしく無線機から笑い声が響く。


「おおっと、すまん、すまん。さてと..........江草。聞こえるか?」


『むふっ、き、聞こえてますよ!!隊長っ。』

空母「蒼龍」航空隊長兼艦爆隊隊長江草忠繁少佐にも聞こえていたらしく時々笑い声が聞こえる。


「おい江草。いい加減にせんと叩き落とすで。」


『す、すみません、隊長。それで........』


「ああ、艦爆隊は先ずは飛行場だぞ。真珠湾は後回しでいい。」


『えっ、良いんですか隊長。今回の目的は.....』


「分かっとる。だがな江草、幾ら戦闘機隊が先に殲滅するからといっても飛行機の敵はやっぱり飛行機だ。だからこそ飛行場なんだ。」


『.......分かりました。隊長が言われるのならそうします。』

 

「進藤の戦闘機隊はどうしてるかな?」

淵田の疑念は後にいい意味で裏切られるのだった。


その頃進藤三郎少佐が指揮する制空隊はオアフ島上空で敵戦闘機と死闘を繰り広げていた。







 1939年9月13日


 ハワイ諸島 オアフ島上空約2000m






 「くそ!!これでも喰らえ!!」

進藤の撃った20mmはF4Fに吸い込まれるように当たり、F4Fは爆散した。


「ふう.......3機目撃墜.........」


『進藤さん速いですね。さすがだなぁ。』


「天下の坂井飛曹長の言うことはほんとぉ~~に勉強になりますね~~。」


『辞めてくださいよ隊長........』


「ふんっ、そういう生意気な事言うからだ。」


『努力します........』

そういって坂井三郎飛曹長の乗る零戦は次なる獲物を求めて飛び去っていった


『.........此方加賀三号機。淵田中佐の攻撃隊が来ます。』


「分かった。よし全機に次ぐ!!これより真珠湾の敵を掃除する!!俺に付いて来い!!」

進藤の乗る零戦は先陣を切って真珠湾に突っ込んでいった。







 30分後.........







「いるぞいるぞ!!戦艦6、重巡6、その他諸々!!全軍突撃じゃーーーーーーー!!!」


『「おぅ!!!!!!!!」』


総勢200機余りの航空機が降下するのは米軍兵に効果絶大だった。


「くそ!!突っ込んでくるぞ!!撃ち落とせ!!」

戦艦「ネヴァダ」の高角砲員は恐れおののいていた。


「マーティン!!2時の方向!!」


「分かってる!!喰らえこの!!」

マーティン水兵の放った弾は降下して発射態勢に入っていた九九式艦攻に直撃弾を与えた。


「よっしゃ!!ジャップめ..........」

一息つこうとしたその時、上空に九八式艦爆にいて気付いたらもう五百キロ爆弾がアームから離れた後だった。

そこでマーティンの意識は途絶えた。


「よし。」

ネヴァダに当たった五百キロ爆弾は左舷高角砲群を壊滅させた。


「くそ!!真珠湾が..........」

アメリカ太平洋艦隊司令長官ハズワルド・キンメル大将は太平洋艦隊司令部で愚痴を吐いていた。


「長官。敵の航空機が此方に来ます。退避を。」


「むぅ.......分かった。退避しよう。」

後にこの決断がキンメルの命を奪ったのは皮肉だった。




「隊長!あれを!!」


「ん?」

淵田が見たのは真珠湾から脱出しようとしているペンシルベニアだった。


「おい江草!!」


『はい、何ですか?』


「あの出ようとしている戦艦を叩け!!」


『あ!!分かりました。おい!未だ落としていない分隊はあれを叩け!!』

江草が命令すると二個分隊がペンシルベニアに襲い掛かった。


「艦長!!ジャップです!!」


「くそ、回避行d...『駄目です出来ません!!』」

航海長の悲痛な声が聞こえる。


「来るぞ!!」

そう言う水兵の声が聞こえたと同時に艦橋が静まり返った。


「高度七百!!」


「まだだ。」

猛烈な対空砲火が分隊長機を襲う。


「三番機、直撃!!」

三番機が爆発四散した。


「高度五百!!」


「よーし........投下!!」

分隊から一斉に五百キロ爆弾が落とされた。もう一個分隊も全機落とした後だった。


「確認!!敵戦艦傾斜増大!大破と認む!!!」

後ろの偵察員が叫ぶ。


「よし全機離脱せよ。」

7機の九八式艦爆は真珠湾を離脱した。


「全機直ちに帰還せよ。繰り返す、直ちに帰還せよ。」

淵田総隊長の声が響く。







「やりました長官。第一次攻撃は成功です。」

古村が手を挙げて喜ぶ。


「やめろ古村。まだ何かあるぞ。」


「......済みません。長官。つい戦艦を六隻も沈めたと聞きまして。」


「ん?古村よ。空母は?」

小沢が問う。


「いえ、空母は居ませんでした。」


「何だと.......」

小沢の額から一筋の汗が流れる。


「どうされました長官。」


「.....第二次攻撃隊はどこだ。」


「現在艦隊から70kmの地点ですが......何か?」


「直ちに引き返せ。制空隊を上空警戒につかせる。」


「何故ですか!長官っ!!」


「いいから速k『報告します!!北100kmの地点の霧島二号機から敵攻撃隊接近中とのことです!!』」


古村の顔から血の気が引いた。


「急げ!!補用機も残さず出せ!!九八式も出せ!!」


『「はっ!!!」』

古村他幕僚と伝令が急いで艦橋を出ていった。


「すまん。」

小沢はそう一言呟くと通信室へと走って行った。













小沢機動部隊に危機迫る。













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