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第六話 反撃の狼煙を挙げよ。 (後編)

先日オスプレイが来て反対運動がありましたが、その一人が「開発中に何度も事故を起こしているから危険だ。」と言っていました。


『いやだから、改良されて実戦配備されてるんだろ!?』

そうテレビの前で一人怒ったⅤ号戦車でした..........

 



 1939年9月17日


 ドイツ帝国 東プロイセン州 


 ドイツ帝国軍グループA軍司令部







 このソビエト侵攻のために編成したグループA軍は指揮官を「ドイツ軍最高の頭脳」と云われるエーリッヒ・フォン・マンシュタイン上級大将、指揮下にエヴァルト・フォン・クライスト陸軍大将の第1装甲軍、その他に3個師団と1個特殊作戦群(第1SS部隊群)を置き、万全の状態だった。そんな中、9日に宣戦布告した同盟国軍が一斉に侵攻を開始。西からは、フランス軍が中立国ベルギーを通ってドイツ1個連隊と戦闘を開始。南からはイタリア王立陸軍第1装甲軍団「アリエテ」がオーストリア=ハンガリーのリュブリャナに侵攻。現在はウィーンに向けて進撃を開始していた。そしてポーランド、バルト三国、東プロイセン、ベッサラビアには総勢300万の大兵力でソ連軍が雪崩れ込んでいた。

連軍最高司令部スタフカが考案した「バグラチオン作戦」に則って、ドイツ領にセジョーン・ブジョーンヌイソ連邦元帥が指揮する230万のソ連軍中央方面軍、バルト三国に攻め込んだ北部方面軍は23万の兵力で既に占領し、ドイツ領内に進撃していた。残りはドニエストル川を横断しルーマニアのブカレストを目指していた。(ブカレストは9月14日に陥落)しかし海岸沿いを通っていたソ連北部方面軍は突如、バルト海にて待機していたドイツ海軍戦艦部隊の艦砲射撃を受け、大損害でリトアニアに撤退。だが、空軍第3戦略爆撃航空団がドイツ初の4発爆撃機ハインケル He 111の200機編隊で合計5度の爆撃を実行。結果としてソ連軍北部方面軍は4割の戦死者、2割の戦傷者、6割戦闘不能という壊滅的打撃によって敗走した。さらに、自慢の大戦車軍団も戦闘爆撃機として第2の人生を歩んでいるメッサーシュミット Bf 109の反復攻撃で、潰滅し、ソ連空軍がI-16などの旧式戦闘機を迎撃に出しても護衛のフォッケウルフ Fw 180に蹴散らされる。その繰り返しでソ連軍は、わずか8日で死傷者が遂に70万を超えるという大恥を掻いている。そして、リヒトホーヘンと参謀本部は一時的に東部戦線に睨み合い状態を生ませるため、乾坤一擲の大勝負、「タイフーン作戦」を始動させようとしていた。




「司令。全軍配置につきました。」

連絡士官の少尉が言う。


「よし。回線を開け。」

マンシュタイン元帥が通信士に命令する。


「了解しました。少々お待ちを.............回線開きました。」

そういうとマンシュタインはゆっくりと口をマイクに近付けた。


『勇敢なドイツ帝国の兵士諸君。マンシュタインだ。これから我々は60万の兵によって、同盟国と母なるドイツの土を汚した共産主義者の犬共に思い知らせよう。我々は決して負けないと。しかしながら........敵は未だ180万の兵力がある。よって、我々は圧倒的に数では負けている。』

この言葉に司令部がざわつく。


『しかし!!しかしだ。その7割近くは旧式のライフル1丁しか持たされていない哀れな農民達である。彼らには愛すべき家族、友人が君達同様にいる。我々は、民間人を殺さない。捕虜を殺さない。略奪もしない。全ては愛する人の傍にいる権利を奪われた彼らのためである!!

我々こそが「解放者」であり、規律の整った「軍」たるべき存在である!!今こそ彼らに我らドイツの力を見せつけるのだ!!!!!!』


「うおーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」

遠くから兵士達の声が聞こえた。


「元帥閣下、素晴らしい演説でした。」


「いいや。私は本当のことを言ったまでだよ。」

マンシュタインは微笑みながら自室に戻っていった。













 1939年9月13日午前六時三五分


 ハワイ諸島北西約400km


 大日本帝国海軍第一機動艦隊旗艦「天城」







 「天城」。史実、ワシントン海軍軍縮会議において巡洋戦艦ではなく空母として生を授かるはずだった艦であり、関東大震災で竜骨が損傷。

解体された悲運の艦である。この世界では無事天城級戦艦(巡洋戦艦ではない)一番艦として竣工したものの、空母に改装。

現在は搭載機数102機、補用12機の世界最大の空母として君臨している。そんな「天城」を旗艦とし、二番艦「赤城」、搭載機数96機の加賀型空母一番艦「加賀」、「土佐」、最新式空母である蒼龍型空母「蒼龍」、「飛龍」(79機の中型空母)に加え、現在マリアナで編成中の第二機動艦隊から蒼龍型空母三番艦「翔龍」、「瑞龍」を借りて総数578機の大機動部隊となっていた。その部隊を護衛するのは、宇垣纒中将率いる第一艦隊。新型戦艦として2年前に竣工した46センチ三連装砲4基搭載の大和級戦艦一番艦「大和」、二番艦「武蔵」、三番艦「飛騨」を中核とした長門級戦艦「長門」、「陸奥」、「上総」(43センチ連装砲四基搭載)、対空能力が大幅に向上している高雄型重巡洋艦「高雄」、「愛宕」「鳥海」、「麻耶」を主力を構成している最強の艦隊である。(航空戦力を除いて..............)そしてこの二つの艦隊は米海軍最大の拠点であるハワイの真珠湾を攻撃しようとしていた。




「長官。全機発艦準備完了しました。」

参謀長の古村啓蔵少将が報告する。


「うむ。全機発艦開始。戦闘機隊は先導させろ。」

第一機動艦隊司令長官小沢治三郎中将は古村に命じた。


「何故ですか長官。敵に対して有利な位置として上方にいさせたほうが............」


「いや。先導させて、敵航空戦力を一挙に叩きのめす。それに我が方の攻撃隊は新型だ。他に何かあるかね?」


「........いえ。そうなれば通信士に作戦変更を伝えてきます。」

そういうと古村は走って行った。


確かに小沢の言う通り、攻撃機は史実の天山艦攻に匹敵する「九九式艦上攻撃機一一型」と500㎏爆弾搭載の「九八式艦上爆撃機一一型」だった。この二つの攻撃機は当時世界最強と云われていた、

メッサーシュミット戦闘爆撃機を大幅に超える力を持った航空機だった。


「長官。攻撃隊に作戦変更を伝えてきました。」


「そうか、彼らも驚いているだろう。何しろ戦闘機が攻撃隊の掩護をしないのだからな。」


「ええ、きっと仰天してますよ。」

二人は苦笑いした。


その時、通信参謀が防空指揮所に駆け込んで来た。


「長官。第一艦隊の宇垣中将から通達がありました。『我、コレヨリ南下シ、敵本拠地ヲ攻撃スル。貴官ト貴艦隊ノ武運ヲ祈ル』です。」


「そうか...........分かった。直ちに僚艦に通達。第二次攻撃隊を準備せよ。」


「了解しました。」

通信参謀は走っていった。


「さてと.............徳村よ。本当にこれで良いのだな。」

小沢が呟いたことはプロペラの回転音に掻き消された。







 1939年9月17日


 ソ連軍実効支配地域 リトアニア メーメル市


 ソ連赤軍第344突撃兵連隊 第34小隊







 「........たく、ウクライナよりも寒いじゃねえかよ。あの政治将校め.........」

ソ連赤軍第344突撃兵連隊に所属するセルゲイ・ボビャースビッチ一等兵は故郷を思い浮かべながら愚痴を吐いていた。彼の部隊は数日前まで、ウクライナのオデッサにいた。しかし壊滅したソ連北部方面軍に代わりメーメルの町を防衛させられることになったのだ。

結果、多くの兵はウクライナ出身のためこの季節の気温としては寒過ぎ、ほとんどの部隊は皆建物の中にいた。彼自身、今入ろうとしていた所だった。


「う~さび~。さてと中に.........ん?」


果てしなく続く平原の先に何か見えた。そしてキラッと光ると次の瞬間、セルゲイは宙にいた。


「敵、敵襲!?」

そう思った所でセルゲイの意識は途絶えた。







1939年9月17日、ドイツグループA軍単独の反攻作戦、「タイフーン作戦」の幕は切って落とされた。

更に、真珠湾には帝国海軍最強の艦隊と航空部隊が迫っていた。






反撃の狼煙が全世界で挙げられていた。

 



 

 

 

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