第四話 開戦前夜
なんとか出せました。
アメリカはどうも.......
1939年9月8日
ドイツ帝国軍参謀本部
ドイツ帝国軍最高軍事国防会議
1920年に参謀本部は三軍すべての戦略をまとめる統合的な部署となった。
そしてこの会議場には、参謀総長のヴィルヘルム・カイテル帝国元帥を中心に、
陸軍代表のルートヴィヒ・ベック陸軍元帥、
海軍代表のエーリヒ・レーダー海軍元帥、空軍代表のエルンスト・ウーデット空軍元帥がいた。
そして、端の席に座っているのは、リヒトホーへンである。
「よし、では大尉。説明を。」
「はっ!! 参謀総長閣下!!」
席から立ち、リヒトホーヘンが説明を始める。
「まず一つ目にわが軍は三方面作戦を強いられます。西はフランス、南はイタリア、そして東は.......」
「グルジア生まれの髭オヤジか......独裁者としても半人前のくせに。」
そうベック元帥が愚痴る。
「その通りです。しかしフランスはジョンブル、イタリアはオーストリアが防ぎます。よってわが軍は開戦と同時にエーリッヒ・フォン・マンシュタイン上級大将が率いるグループA軍が東プロイセンから、
ヴァルター・モーデル上級大将率いるグループB軍がオーストリア領のスロバキアから、
侵攻を開始します。作戦名は「バルバロッサ作戦」です。」
全員が一語一句に耳を傾けていた。
「それで海軍は?どうすればいい?」
レーダー元帥が尋ねる。
「はい。海軍はギュッター・リュッチェンス大将が海軍全部隊を率いて
、戦艦「ビスマルク」、「ティルビッツ」、「ポツダム」のビスマルク級戦艦に加え、
先日慣熟訓練を終え、戦列化された41センチ連装砲搭載戦艦の「シャルンホルスト」」、
「グナイゼナウ」、「ケーニヒスベルク」も入れて、ソ連バルト艦隊を壊滅させます。」
ちなみにこの作戦計画を練ったのはもちろんリヒトホーヘンだけでなく、参謀本部の参謀や各方面の将軍と練りに練った作戦である。
「空軍は?ジュニアよ......まさか我々を支援や輸送護衛などに回すつもりか?」
ウーデットは問う。
「はははっ。そんなわけありませんよ。空軍は「微笑みのアルベルト」にすべて任せています。」
「なるほど.........分かった。帰ったら作戦本部に聞いておく。」
「微笑みのアルベルト」というのは、史実同様に神経症の影響で常に笑いを堪えているように見える空軍の異才、アルベルト・ケッセルリンク空軍大将である。彼は空軍省に置かれた、空軍作戦本部の作戦部長としてこの世界にいる。
「では皆さん。準備に入りましょう。この戦争に負ければ......少なくとも「ドイツ」という国は地図から消えるでしょう。帝国の存亡はこの戦争に懸かっています。」
全員が頷く。
「我々は軍人だ。言われたことに忠実に従う。それだけだ。以上!!」
カイテル参謀総長が締めくくる。
1939年9月8日
アメリカ合衆国
ワシントンD.C.
大統領府 大統領執務室
雨が降り注ぐ首都をただ呆然とアメリカ合衆国大統領フランクリン・デラノ・ルーズベルトは見つめていた。アメリカは戦後、ヴェルサイユ条約により、史実のドイツと同じ賠償金によってとてつもない不景気に陥った。ドルは紙屑同然となり、治安も最悪。そんなボロボロのアメリカを立て直すべく、ルーズベルトはフランスと共謀。イタリアも組み入れ、「米仏伊三国同盟」を締結。同盟国として戦争により経済を立て直そうとしていた。
「大統領?宜しいですか。説明しても。」
スチムソン陸軍長官が言った。
「ああ。構わんよ。」
「はい。では。まずジャップですが、恐るるに足りません。すでに東インドのマッカーサーには出撃命令を出しています。
奴らまさか明日に攻撃されるとは思っていないでしょう。」
「はははっ、そうだな。所詮イエローモンキーということだ。フィリピンかね?」
「はい、そうです。またパラオのペリリュー島にも第3艦隊と、第2海兵師団が上陸します。」
「うむ。それで良いだろう。まあ我々の本気を出すか。」
後に後世において、「アメリカの終焉」、「ルーズベルトの愚策」といわれることになるこの決断がアメリカを破滅させることになる
のは6年後のことだった。
「う~ん........新高作戦か。中々なものを考えたな、副本も。」
徳村は一人作戦室に残って作戦書を読んでいた。
その時、電話が鳴った。
「はい、特戦研5班...........はい、..........はい。......えぇ!!.......はい。........分かりました。緊急招集させます。」
そういって、徳村は電話を切った。
「そんな.......フィリピンが..........奇襲を受けたのか.....」
1939年9月9日、第二次世界大戦は開戦した。
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