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第三話 1939年、日本の夜明け。

いろいろあって投稿が遅れました。

さて今回は日本サイドですが、次回はドイツとアメリカサイドからです。

「作戦の神様」も今回は登場します.......

 



 1939年9月9日


 北太平洋


 アッツ島南200km


 大日本帝国海軍太平洋方面艦隊第二艦隊旗艦 利根型重巡洋艦三番艦「伊吹」







「う~ん........」


ここは、第二艦隊の戦術室。一人さっきから唸っているのは、内地で行われる国防最高顧問会議に出席するため来られなかった徳村に代わり、

参謀兼連絡役として出向してきた副本だ。


「どうやれば、敵に気付かれず、且つ大打撃を与えられるか........やっぱ、5班の会議室と海上では変わってくるか.......」


なぜ攻撃計画を立てているかというと先日、ついに米国は国交を断絶。最後通牒として史実と同じく「ハル・ノート」を突きつけてきた。

史実とちがうのは、カムチャツカ半島、沿海州の放棄及びアメリカへの譲渡である。

ちなみにこの文書を受け取った白洲次郎駐米大使は大使館で激昂したらしい。(※紳士なのでホワイトハウスではなかった........)


「はっはっはっ。お前さんでもやっぱり無理か?」


「いいえ、長官。5班の名に懸けて必ず成功させます。」


「よろしく頼むよ。まあ本来我々が考えなければいけないのだがね.......」


この威勢のいいおやじこそ、「艦隊の神様」といわれる近藤信竹海軍中将、第二艦隊司令長官だ。


「すでに北都(旧ペドロパヴロフスク=カムチャツキー)の源田さんにも協力を要請してます。」


源田というのは、あの源田実である。この世界では世界に先駆けて発足した空軍に入隊。現在は空軍中将として、300機の戦爆連合で組織された

第一統合航空団の指令を務めている。


「まあ、健康には気を付けろ。徹夜はするな。」

そういうと近藤は去って行った。


一方そのころ.........







 1939年9月9日


 帝都

 

 国防省統合作戦参謀本部第三会議室


 





国防最高顧問会議、それは統帥権を利用させないように作られた、新形態の会議であった。

しかしこの地は今や、徳村と陸軍過激派のリーダー、辻政信陸軍少佐二人のものだった。


「だから本官は対ソ宣戦も同時にするべきべきであると言っておるではないか!!!」


「あんたの言うことは帝国を崩壊させることだ。到底認められない。」


「いいや、同時にソ連も倒すことによって、わが帝国は百年、いや千年の栄光を手にできるのだ!!」


もはや全員がうんざりしていた。

中央には、議長の第18代国防長官である、石原莞爾元陸軍大将、

右の海軍席には、海軍長官の山本五十六海軍大将、海軍部次長の徳村健太郎少将、

太平洋方面艦隊司令長官の古賀峯一大将、大西洋方面艦隊司令長官の豊田副武大将、

東洋方面艦隊司令長官の高橋伊望中将が座っている。

そして、左の陸軍席には陸軍長官の梅津美治郎陸軍大将、

陸軍作戦課長である今村均陸軍中将、南方総軍総司令官の畑俊六大将、

在満総軍総司令官の東條英機大将、北方総軍総司令官の杉山元大将がいる。


「この海軍の国賊め!!帝国軍人として恥を知れ!!」


「それはお前だ。とっとと出てけ。さもないと、マーシャル諸島に飛ばすぞ。」


「そ、それは.......」


「お前みたいな無能は要らん。お前は只今から陸軍第十七警備隊指揮官になった。とっとと出てけっ!!」


そう今村中将が吐くと扉から憲兵が出てきて、辻を連れ出す。


「ぬぁ!?離せぇ!!私は陸軍少佐だぞ!!貴様らのような一兵卒が何を......」


扉が閉まり、声が遠のいていった。


「ふぅ......ところで、今村君、さっきの部隊は.......」


そう梅津が問うと、


「いやさっきのは、咄嗟です。奴には、占領後にアッツ島守備隊の副司令官とします。」


「そうか......後で、人事課長に言っておけ。」


「はい、しかしあんなやつが、まだいたとは.....驚きましたな。」


「まったくです。徳村君、君の息子はすごいな。」


「いや、どうも。あいつめぇ......よくもうちの子に......」


「まあまあ.....さあ、言ってくれ。徳村班長。で?」


そういって、山本が話の本筋を促す。


「はい、まず海軍は、近藤さんの第二艦隊が9月13日にアメリカ北方の海軍拠点、ダッチハーバーを奇襲。

敵の艦艇、港湾設備、航空戦力に至るまで撃滅します。なお、援護として、北都航空基地の空軍に協力を要請しています。

さらに、小沢さんの第一機動艦隊、さらに、宇垣さんの第一艦隊でハワイ諸島を奇襲。これを撃滅し、二日後に一木支隊と第百二師団でオアフ島を占領します。この作戦名を「洋三号」作戦と名付けます。」


「うむ、妥当と言えば妥当だな。まあ、我々では思いつかなかっただろうが.......」


山本は溜息を吐く。


「しかしまあ、息子がここまですごいとは.......航空についてはわたしはズブの素人だ。」


「父さんは仕方ないよ。さあ、次は陸軍ですが......」


「うむ、気にしないで言ってくれ。」


杉山が言う。


「......わかりました。まず当初作戦課が東インド制圧のために送るとした三個軍ですが、これを増強。

台湾の精鋭、独立混成第七八旅団とダバオの第五八師団を組み込みます。」


「しかし、なぜシンガポールの第七軍を動かさんのだ?」


畑が問う。


「はい、確かにそうです。しかし6班(諜報専門)、南機関の情報から、フランス軍は開戦初頭にシンガポール、マレーに上陸する予定だそうです。」


「なるほど、ということは恐らくフランス軍は精鋭二個軍くらいは出してくる。そして、我が第七軍が抜けた穴に付け込む。そうすれば、パーシバル将軍のイギリス軍マレー軍団は耐えられない。そうだろ?」


「はい、そうです。」


確かに史実同様、パーシバル将軍の指揮するイギリス軍マレー軍団(BMA)は、

軍規模で言えば2個軍団という大規模なものだが、歩兵が6割近くを占め、

戦車もバレンタイン歩兵戦車やマチルダⅠ重歩兵戦車が主力というお粗末さだった。

しかもフランス軍主力戦車と思われる、ソミュアS35中戦車は短砲身の60ミリ砲、それに対して、マチルダⅠは40ミリ砲という完敗ぶり。

頼みの綱の航空戦力も、ソードフィッシュやハリケーンなど旧式機が多く、スピットファイアもジョホールバルの飛行場に僅かに24機。

海軍に至っては、シンガポールに戦艦「プリンス・オブ・ウェールズ」を主体とするフィリップス中将の東洋艦隊第三戦隊がいる。


「しかし、ジョンブルは戦争をする気があるのか.......まったく本当に........」

そう言って梅津は姿勢を崩す。


「同感です。まあフランス軍によって、イギリス軍も目覚めさせられるでしょう。」

今村も同調する。


「皮肉だな。ナポレオン戦争でフランスを下したイギリスが、今度はフランスに叩き直されるか。」

東條がふふと笑みをこぼす。


「さてと......では開戦の決議を求めます。」

石原国防長官が言った。


「1,2,......6.....はい、全会一致で決定しました。よって、我が帝国は1939年9月16日、米仏伊に対し、宣戦布告。なお、ソ連については日ソ不可侵条約により開戦しません。

各員一同、皇国興廃を賭けて戦おう。今日はこれにて閉会とする。解散!!!!!!」


ついに戦争が始まる、そう心に言った徳村。自分に課せられた役目は大きい........努力せねば、誓う徳村だった。







 第二艦隊指令室







 「よし、これでいい!!」


やっと完成したダッチハーバー奇襲作戦の書類。それを見て近藤はこう言ったと言われている。「怪物か。お前は、」と。


「おい!!これを北都に届けてくれ!!」


作戦の素案の二冊目を持って、副本は通信室へと走っていく。

そこには、こう書いていった。「北洋敵国撃滅作戦「新高」作戦」と。







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