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第三十話 『ハスキー』作戦(前編)

ここから全3編に渡ってシチリア島が舞台になります。







 1940年6月22日午後11時36分


 イタリア王国 シチリア島


 パレルモ飛行場








 シチリア島第二の都市、パレルモ。ここは現在イタリア空軍の対地中海防衛における一大拠点になっているだけでなく同盟国軍の補給施設が置かれるなど、本国との連絡拠点であるメッシーナと並んでシチリア島において最も重要な地点となっていた。現在シチリア島には北アフリカ戦線の支援の為イタリア軍2個師団、アメリカ軍1個連隊がカターニアで待機中。また守備隊としてイタリア陸軍第4軍6万と第34機甲師団を中核として14万近くが駐留。また増強部隊としてフランス陸軍2個大隊もいた。同時に海上戦力としては先に述べたイタリア海軍地中海艦隊の主力がタラント港で待機。その他島内の港に小規模の潜水艦隊や駆逐艦が配備されているだけだった。航空戦力はこのパレルモを中心に地中海随一の質・量を誇っており、飛行場に勤める誰もがシチリア島は安泰だと信じていた。


「レーダー。何か気になることはあるか?」

飛行場指揮官は前方の雲一つない満天の星空を見ながらそう言った。


「いえ。敵影は確認されません。そういや明日はアメリカ軍の補給部隊がリヨンから到着する筈ですよね?」


「ああそうだ。奴らも北アフリカではそこそこ役に立っているらしい。」


「昨日行ったバルのおっさんが言ってましたよ。アメリカ人はまだ女を口説くだけだからいいがフランス人の奴らときたらすぐ高飛車な態度をとって店を荒らしていって本当に迷惑だと。」

観測員はうんざりした調子で言った。


「奴らは何百年経ってもあのまんまだよ。未だにナポレオンの時代が続いていると思ってる。」


「同感です。まあ奴らも序盤のドイツ侵攻失敗に懲りて少しは態度を変えれば良いのですがね....。」


「望む方が無駄だな。妥協点を見つける他あるまい。」

その時、遠くの空でキラッと何かが光るのが見えた。


「なんだあれは?まさか敵襲か?」


「いえあり得ません。この真夜中に真っ暗闇の地中海を横断して攻撃だなんて.....。奴らのレーダーがよっぽど強力でなおかつ航空機にでも積まない限り....あり得ませんよ。」


「だよな....兎に角警戒を..」

そう言いかけたとき突如管制塔を強い揺れと爆音が襲った。


「どうした!!!」

各員がすぐさま状況を把握しようとしていた。


「報告します!!南の物資集積所で大規模爆発発生。また飛行場に駐機中の部隊が次々と襲われ炎上中....敵襲と思われます。」


「馬鹿な...夜間爆撃など...そう簡単にしかも大規模にできるものではない!!」

敵襲に各員が気付いたのかあちこちでサーチライトが点灯して夜空を照らし始めた。


「急いで基地の状況把握をさせろ!!対空戦闘配置だ!!」

その時通信士が勢いよく扉を開けて管制室に入ってきた。


「報告します.....。メッシーナ、カターニアの基地から連絡。敵機の大規模攻撃に遭遇。被害甚大、増援を求むと....。またタラント海軍基地も攻撃を受けているようです.....。」


「そんな....不可能だ....。」

そう言って空を見上げた指揮官の目にはサーチライトに照らされた敵機に描かれた赤と白の二色旗が見えた。それがオーストリア=ハンガリー空軍の主力戦闘機であるフォッケウルフFw190の改良版、Fa200ヴュルガーであることに指揮官はすぐ気づいた。







 午後11時56分


 マルタ島西約64km


 大日本帝国海軍大西洋方面艦隊旗艦「武蔵」主艦橋







「報告します。第一波攻撃成功。現在第二波、第三波が引き続き攻撃をしているそうです。」


「おおそうか。分かった。」

大西洋方面艦隊司令長官豊田副武大将はその報告に頷くと同時に横にいる二人のドイツ人士官にその情報を伝えた。


「成程。ひとまず安心というとこですかね。なあジュニア?」

上陸部隊指揮官エルヴィン・ロンメル将軍はその結果に安堵した。


「ええそうですね....。しかし油断は禁物です。いつタラントの地中海艦隊が出てきてもおかしくはないのでは?」

上陸部隊付参謀となっていたリヒトホーヘンがそう警戒心を露わにする。


「確かにな。その点についてはどうお考えですかな豊田長官は?」


「はい。計画通りでは今既にタラント軍港も間違いなく攻撃を受けているでしょう。これで我々が攻めてくることは敵にばれましたから今頃イタリア海軍の潜水艦が血眼になって我々を探しているでしょうな。恐らく上陸時にはかなりの距離まで接近されているのではないかと。」


「私も同感です。将軍、兵達に早めに上陸装備の点検をさせましょう。いつ何が起きてもおかしくないですからね。」

リヒトホーヘンがロンメルにそう進言する。


「分かった....。急いで各艦に伝えてくれませんか長官?」


「お安い御用です。おい通信士はいるか!!」


「ありがとうございます。正直現在の地中海戦線においてこの戦力はかなりでかい。あと2ヶ月早く着いていれば...リビアも陥落しなかったかもしれません。」


「ご期待に沿えずすまない。しかし我々もその時はこの増援部隊は南太平洋に釘付けにされてましてどうにもこうにもいかなかった....改めて申し訳ない。」

そう言って豊田が頭を下げる。


「やめてください長官。決してあなた方の責任ではない。寧ろ謝まらなければいけないのは私の方だ。」


「お二人とも....作戦前にそんな辛気臭い会話はやめてください....。」

リヒトホーヘンが困惑した顔でそう言った。


「それもそうだな。まず目の前の作戦に集中しましょう、将軍。」


「はい。それで明日の上陸の最終手順は?」


「まず我が艦隊が艦砲射撃を行い海岸近くの敵を一挙に撃滅します。その後は駆逐艦隊を接近させ精密射撃を行った後、上陸してもらいます。同時刻に東の上陸部隊も上陸を開始する算段になっています。」


「なるほど。先の作戦会議とは大幅には変わっていませんね。」


「ええ。なお上陸時にはギリシャ方面からドイツ空軍とオーストリア空軍の航空支援が予定されています。」


「そういやそろそろギリシャが宣戦布告を行う時期ですね。これでイタリア・フランスは半包囲状態になる。」

リヒトホーヘンがうれしそうに語った。


「私が思うに、イタリアを戦線離脱させたければ南チロルとトリエステを割譲すればいい。そうすればすぐにでも我々側につくでしょうが...オーストリアにその意思があるかどうか...。」


ロンメルの言うことには一理あった。何故なら今大戦におけるイタリアの参戦目的は俗に言う『未回収のイタリア』の奪還でありフランス・アメリカのような世界秩序の一変ではなかったからだ。


「確かにそれができれば苦労しませんが...あの国は今分裂の危機の真っ只中です。これ以上妥協アウスグライヒを重ねるのは考えにくいですね。」

リヒトホーヘンは眉間に皺を寄せながらそう言った。


「まあとにかくです...この『ハスキー作戦』が成功すれば何か流れが変わるかもしれない。それを今は祈りましょう。」

豊田はそう言って窓の外を見ると、丁度東部地点の上陸船団が進路を変えるのが豊田の目にはうっすらと見えた。


「ジョンブルにも胆があれば...だが....。」

小さく呟いた豊田の独り言は誰にも聞かれずじまいだった。








 1940年6月23日午前8時43分


 シチリア島南東部


 シラクサ南3kmの海岸


 連合国軍上陸地点








 深夜から明け方にかけて波状攻撃が続いたことでシチリア島の防空設備や基地は甚大な損害を受けた。そして夜が明けると共に位置に就いた支援艦隊が次々と所定の地点に艦砲射撃を開始。特に主力が上陸するシラクサ周辺には凄まじい量の砲弾が降り注ぎほぼ一面は更地と化した。そして満を持してモントゴメリー率いるイギリス陸軍第8軍を主体とした部隊が上陸。僅かに残っていた敵部隊を殲滅した後、今は進撃に向けて部隊の整理をしていた。


「閣下!部隊の集結完了しました。」

参謀長がドイツ軍から貸与されているフォルクスワーゲンに乗っている一人の男に向けて大声で言った。


「うむ。では早速進軍を開始しようではないか!!」

イギリス陸軍第8軍司令官バーナード・モントゴメリー陸軍大将はベレー帽を被り直し威勢よく宣言した。


「既に西のロンメル閣下の部隊も上陸しパレルモに向かっているようです。」


「ふん!!クライツ共に一体何ができるというのか....まともな兵器はあるのか奴らに?」

そういうモントゴメリーが乗っているのが何処の国のものなのか全員が知っているが敢えて言おうとはしなかった。


「しかしあの方も優秀な指揮官です。必ず戦勲をあげるでしょうな。」


「我々が奴らより先にメッシーナを落とせばそれも我々のものだ!!とにかく進むぞ!!」

モントゴメリーはそう言って運転手の肩を叩き車を発進させて消えていった。


「はあ...しかしあれでも彼我戦力差3対1でエジプトへの侵攻を食い止めた英雄なのだから....わかんねえな....。」

参謀長は頭を掻くと周りの将兵たちに進撃命令の通達をさせるよう指示し始めた。








 午前10時37分


 イタリア王国首都 ローマ


 ファシスト大評議会本部


 統領執務室









「成程....奴らはシチリア島に上陸してきたか....恐らくは本土と北アフリカの補給線を分断し戦局を変えるため...どうやら我々は彼らを舐めていたようだな。」


イタリア王国統領ドゥーチェベニート・ムッソリーニは報告を聞いて冷静に現況を分析していた。統一時に唯一オーストリアから割譲できなかった地域のイタリア編入を実現することで真のイタリアが復活する、これが現イタリアの最高指導者である統領ドゥーチェベニート・ムッソリーニ率いるファシスト党の主張だった。史実と違い選挙を通して1911年に政権を握ったムッソリーニはすぐさま議会を掌握。ファシスト大評議会を設立すると共により国王と側近の権限が強くなる改正憲法を可決(史実のビスマルク憲法の様な物)。その後第一次世界大戦への不参戦を表明し近隣諸国が消耗する中着々と貿易などで富を蓄積。地中海に大工業地帯を建設し長年の懸案事項だった南北格差の是正に成功した。戦間期にはその安定した工業基盤をもとにイタリアは世界第5位の経済大国へと成長。そして諸々の政策の結果当初はその手腕に懐疑的だった国王ヴィットリオ・エマヌエーレ3世の支持も獲得。これらの圧倒的な実績から国民もムッソリーニを熱狂的に支持し、そして今回ついに宿願であった『未回収のイタリア』問題解決のため参戦したのだった。しかしこの参戦によって国民の支持が少しづつではあるが揺らぎつつあるのをムッソリーニはひしひしと感じていた。


「はい。既に敵は海岸に上陸しシラクサを占領。また先ほど西の海岸からも敵が上陸しているとの情報も入ってきました。」

イタリア王国軍統合参謀本部長ロドルフォ・グラッツィアーニ元帥は続けて報告する。


「我が方が態勢を立て直すのにかかる時間は?」


「既にパレルモは大部分が復旧。またメッシーナでは敵の侵攻に備え目下防衛線を構築中とのことです。」


「うむ。ナポリから増援は送れそうか?」


「既に3個師団がレッジョ・デ・カラブリアに向けて出発しました。その後船舶輸送で随時メッシーナに送られる予定です。」


「今のところではそれが精一杯か.....。」


「はい。未だ先日の空襲から我々は完璧に復旧できていません。バーリには大規模な戦災キャンプが出現しそこにマフィアが入り込んでいるという情報もあります。」

グラッツィアーニは如何にも頭を悩ませているように言った。


「全く.....5年前の掃討作戦で奴らの殆どは殲滅したというのに懲りない奴らだな。」


史実同様ムッソリーニはファシズム体制の安定のため徹底的にマフィアを弾圧していた。政権掌握時の公約に『マフィア殲滅』を掲げたため選挙期間中に幾度となく暗殺の危機に遭ったが生き延び、その後20年近くに渡り特に南イタリアを中核としたマフィア、『カモッラ』との戦争を続けていた。5年前の大規模掃討作戦によってマフィアの拠点と思われた都市や農村が悉く焼かれたこともあり戦時中は息を潜めていたが、先日のアドリア海沿岸地域の大空襲によって生まれた空白を利用して支援物資などでかなりの利益を上げていた。


「今回の連合国のシチリア島侵攻に絡んで奴らも必ず何かしらの妨害をしてくることでしょう。本土の軍各部隊に今一度警戒を厳にするよう通達しときます。」


「ああすまないやっておいてくれ。」


「そういえば今回の件について国王陛下は?」


「国民感情の悪化を懸念されています。一方で国民の団結が必要の場合はいつでも演説でも何でもするとも仰せられています。」


「国王陛下が未だに我々の味方であることは非常に大きいな。おかげで我々の指導体制も外見上は揺るぎないものに見えている。」

ムッソリーニは心底感謝しているようで大きく息を吐いた。


「はい。ですが油断は禁物です。仮にナポリにでも敵軍が上陸してきたりしたらパドリオ等の反政府派が息を吹き返すことはまず間違いがないでしょう。」


「彼も優秀な軍人だ。命令にはしっかり従うと思うがね。」

そう言ってムッソリーニは部屋にあるイタリア国旗の横まで立ち上がり歩き始めた。


「このイタリアを担える勢力は今のとこ我々ファシスト党しかいない…そのことを各員に胆に銘じるよう伝えてくれ。」


「はい。」

グラッツィアーニは力強く頷いた。


「イタリアの為に最優先で動こう。」








 1940年6月22日13時11分


 シチリア島 パレルモから南約62km


 ドイツ帝国陸軍上陸部隊前線司令部








「報告します。前線に進出中の第3連隊が敵の大規模機甲部隊と会敵。現在交戦中ですが戦力的にかなり厳しいらしく増援を求めています。」

通信士は一度外に出たらしく肩がぐっしょり濡れていた。


「分かった。右翼に展開中の第2戦車大隊から増援を送らせろ。あとは前線指揮官の裁量に任せる。」

ロンメルは雨粒の多さのあまりに全く見えない外の様子をなんとか見ようとするように眉間に皺を寄せながらそう命令した。


「閣下。先ほどマルタに展開している航空部隊との連絡が着きました。どうやらシチリア島の上空にかなり大きな低気圧がきているらしく航空支援は不可能だと。」

リヒトホーヘンはロンメルに簡潔に報告する。


「そうか…。」


「しかしこの天気は何なんですかね…。この時期のシチリアでこんな雨が降るとは…全くの想定外でした。」


「常に作戦に想定外はつきものだ。」


ロンメルはそう言うものの今回ばかりはリヒトホーヘンに非はないように思われた。この時期の地中海といえばまさしく夏本番という入り口に差し掛かっているところであり非常に乾燥した気候が続くのが一般的だった。しかし何の因果か、上陸部隊の荷揚げが終わった直後から急速に低気圧が発達。シチリア島はその中に入ってしまったことで連合国軍は未曾有の豪雨に襲われてしまい結果として作戦は大幅な遅延に遭っていた。ドイツ軍は悪天候時の装備を持っていたからいいもののイギリス軍は今回の事態を全く想定しておらずイタリア軍の反撃に遭い上陸地点付近で釘付けにされていた。


「我が軍の天候分析班は一体何をしていたのか…。もっと予算を廻して支援するべきでした。」


「ああ。だが軍人という者は戦場で起こることのみに目が行きがちだ。だがこれからはそれだけでは全く太刀打ちできないような世の中になるだろう。よりデータが優先されるようようになる。もう兵士の士気を上げるだけでは足りないのだよ。」

ロンメルは再び嘆息すると同時にシチリア島の地形図に目を向けた。


「現在の部隊の展開状況を確認しよう。」


「はい。現在最もパレルモに近い部隊は第14突撃擲弾兵師団です。推定2個大隊程度の戦力と現在交戦中。大部分が斜面であることから遮蔽物には事欠かないようですが雨で相当ぬかるんでるらしく、かなり部隊の展開に困っているそうです。」


「ああ。だが彼らは私の指揮下に就く前は『ツィタデレ』作戦の主力だった部隊、恐らくこの程度の寒さには動じないだろう。それにあのトリポリから脱出してきたん部隊の生き残りが多数を占めている。我々が心配しなくてもやってくれるよ。」


「ええきっとそうですね。」


「次は?」


「右翼には先ほど申し上げた第2戦車大隊が敵戦力と交戦中。山間部に差し掛かった地域であるためかなりの苦戦を強いられているようです。」


「うむ。確か彼らはこのような大規模な作戦への参加は初めてではなかったか?」

ロンメルが丁度思い出したように聞く。


「ええ。目立った戦いといえば去年のフランス軍の第一次西欧侵攻時にケルンの防衛にあたったくらいですね。」


「まあこれも一つの経験というほかあるまい。ほかの部隊は?」


「その他2個師団が僅か後方で待機中です。」


「ではそれぞれ戦線に分配して送ろう。」


「分かりました。」








 同時刻


 パレルモから南約51km


 第14突撃擲弾兵師団司令部








「敵部隊の展開を確認。増強されたらしいです。」


参謀が双眼鏡で遠くの原野を見ながらそう言った。


「全くちょこまかと動きやがって…我々は1個師団…奴らはどこまで増強する気だこのままじゃ持たんぞこの戦線は!!」

師団長は報告を聞いてこれからの行く末に不満を抱いているらしく嘆息して言った。


その時、テントに3人の兵士が入ってきた。


「報告します…。現在敵は戦車部隊を前面に押し出して防衛しておりかなり苦戦しています…パンツァーファウストも残り少なく補給要請をしてこいと言われて来ました。」

体中泥だらけになった通信兵が言った。


「しかし貴様の背中の通信機はどうして使わなかった?」


「流れ弾が当たり使用不能に。たとえ繋がってもこの天気では連絡できるかどうか。」

歴戦の勇士である伍長はあくまで落ち着いた調子でそう言った。


「今戦線が崩壊してても全くおかしくない状況です..。撤退するのも手かもしれません。」

横にいた一等兵がすかさず加勢する。


「分かった。無理ならすぐに退くよう伝えてきてくれ。」


『「はっ。」』

三人は一斉に敬礼する。


「しかしなぜおまえら三人が送られてきたのだ?」

参謀が問う。


「それは我々は開戦当初からずっと同じ部隊で共闘しているからでしょう。分かり合ってますしね。」

得意気に通信兵が言った。


「けっ何を言うか。おれはおまえらと一緒に死ぬのはいやだからしっかりやっているだけだぞ。」

伍長がすかさず口を尖らせて反論する。


『「はいはい分かってますよ。」』

ニヤニヤしながら二人が言う。


「貴様ら…」


「まあまあ..とにかく早くいってくれ。」

師団長がそういうと三人は慌てた様子でテントを出ていった。


「彼らはよほど長い付き合いなんでしょうな…。」


「ああ。彼らの様な人材をもっと増やしたいものだな…さあ急いで撤退案を考えてしまおう。」


「分かりました。」

そう言って二人も地図を相手に睨めっこをし始めた。








果たして連合軍は作戦目標を達成できるのか….。









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