気のせい
ひと月空いてしまいました。
色々読むのに夢中で、投稿出来ず終いでした。
ちょっ、ちょっと、何なに!?もういいよ。
分かった!止まって止まって。
今だコクコクと頷き続ける祐助を理香は慌てて止めた。
あ〜、ありがと。
そろそろ首が痛いかも。
なんとも意味が分からない間抜けな反応に、理香は思わず噴き出し、自分を忘れられていたという大問題を失念してしまった。そして、改めて部屋を見渡すと最初の疑問に舞い戻った。
で、何やってるんだっけ?
復習って、今日の授業とか?そんなに真面目な奴だったっけ?、祐助くんって。
真面目なつもりだけどなぁ。
で、そうだね…最近の授業は分かるんだけど、前の範囲が分からないから…、復習してる。
え~、いま一組の授業ってどれ位進んでるの?ウチのクラスはなんか学年でも進みが遅いらしくてさぁ。担任の大滝先生がホームルームでぼやいてた~…
その後、授業や教科担任の話で盛り上がっていると、一階から声が掛けられた。
祐助~、ご飯できたよ。リカちゃんはそろそろお母さんが心配するし、今日はもう帰りな~。
あ…。
香織の声で理香はここへ来た目的を思い出した。
しばらく話をしている限りでは、確かにしゃべり方が変わったような気もするが、大した変化でもない。
中学生になったんだし、周りのメンバーも変わるし、少し位は変わってもおかしくないんじゃないかな、とそれっぽい結論に至った。
階段を降りて夕飯のためにLDKへ向かう祐助に軽く挨拶し、玄関まで見送りにきた香織には先ほど得た結論を手短かに告げた。
うーん、わたしもそんなに変とは思わないかなぁ。やっぱ中学生になったからじゃない?
あ、学校の話とか久しぶりにしたら楽しかったし、また来ても良いかな?
あぁ、リカちゃんが良いなら相手してやってよ。いつでもおいで。こっちこそ、また相談とかさせてもらうよ。
OK。
当の話し相手になるはずの祐助は、既に夕食の豚の生姜焼きに夢中で、理香の存在は意識の彼方へ行ってしまっているようだ。
家を出る前に嗅いだ煮物の匂いを思い出し、空腹感を呼び戻した理香は、家へと急ぐのだった。
ただいま~っ。
おかえり。思ったより早かったね。
…あれから夕飯準備って言ってたのに。やっぱ香織さん、手際が良いんだなぁ…、見習わないと。
あ、わかってると思うけど、準備出来てるよ。あったかい内に食べちゃいな。
ほーい。
理香は家に着くと、手洗いうがいをして、すぐに夕飯に飛びついた。
今日のメニューは根菜の煮物とモヤシのニンニク炒め。
両親は共働きで、洋子は仕事から帰ってから夕飯準備をする。そのため平日は特に手の掛からない煮物や炒め物が多くなる、らしい。今日はおかずが二品あるが、一品のみのことも多々ある。洋子は気にしているようだが、栄養バランスなど気にしない家族で文句をいうものは居ない。
ちょっとご飯の準備とか手伝おうかな、と頭の片隅には置きつつ、実践には移さないでいる理香もその一人だった。