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等価交代  作者: こびっと
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おっ邪魔しま〜す。

あ〜、ここに遊びにくるの、結構久しぶりかも?


徒歩1分、あっという間に祐助の家に着いた理香は、早速家に上がり込み、周りを見渡した。


おっ、おばちゃん、懐かしい写真がまだ飾ってあるじゃん。


理香は保育園の餅つき会の写真を壁に見つけて覗き込んだ。


そうそう、お相撲さんが来てたよねぇ。


家に戻って早速夕飯準備を始めた香織からは軽い返事のみが返ってきた。

料理の邪魔もできず、理香は本来の目的を果たすべく二階の祐助の部屋へ向かうことにした。


軽いノックの後、中の住人へ声を掛ける。


おーい、祐助くんや〜ぃ、入って良いか?


しばらくの沈黙の後、戸のむこうでガタガタと音が鳴った。


んぁ?誰?…っ、あぁ…良いよ。


聞き慣れた声が返る。


…では、もう一度、お邪魔しま…す?


戸を開けると、本に埋もれるように座っている祐助が目に入った。

染めたりしていないが陽に当たると紅く見える万年寝癖髪、ゲームのやり過ぎで落ちた?視力を補うメガネ、特に変わりはなさそうだ。何より気になるのは祐助を押し潰さんとする本、本、本…。それは教科書から図鑑、漫画まで多種多様だった。


祐助くん?、何してんの?

いや、いきなり久しぶりに部屋へ押しかけときながら、なんだけど。


香織が話していた、祐助本人から違和感を感じる前に、部屋の惨状が気になり、理香が問いかける。


ん~、復習、かな?っていうか、キミ、誰?


「復習」、教科書や図鑑だけならまだしも絵本や漫画、果てはアルバムを含めて使う単語としては、いささか疑問が残る。

しかしそれ以上に違和感があるのは、祐助から返ってきた質問だ。

いくら学校で顔を合わせる機会が減ったとはいえ、幼なじみへ投げかける言葉でもないだろう。


え~?、また眼ぇ悪くなったの~?頭だけじゃなくて~?

んーと、ではっ、改めまして。

わたくし、ご近所に住んでおります、島野理香と申します。以後お見知りおきを…。


理香はサラリとひどい事を言いつつ、わざとらしくお辞儀までして自己紹介をした。

すると考え込む様子だった祐助からは、予定外の反応が返ってきた。


…?あっ?、あぁ~。保育園?のさくら組で一緒だった…リカちゃんね?

あー、あー、ナルホド、なるほど…理解した。写真じゃ髪が短かったから、すぐに分からなかったよ。うんうん。


中学生になった理香は長年続けたショートカットに別れを告げ、現在は鎖骨くらいまで髪を伸ばしていた。


え、髪型変わった位で本当にわからなかったの?


理香が率直な感想を述べると、祐助はしまった、といった感じの表情をしてから慌てて顔を引き締め、わざとらしく真面目そうな顔をして何度も頷いた。

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