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一人ぞろぞろ

 ある日にんげんが犬と一緒に森を歩いていると、木の根っこの間をなんだかもふっとした茶色い物が通っていくのが見えました。

あれはなんだろうと犬に聞いてみると犬は、「あれは百足土竜の兄じゃないかな。足が沢山あってな、とにかく長いんだ。そして穴を掘る。」と言いました。

 そこでにんげんは犬に百足土竜の兄へ声を掛けて貰って対面してみました。

すると、高さでは栗鼠の兄よりぐっと小さいですが、長い、とにかく長い土竜の兄が目の前をぞろぞろと歩いて犬の回りを囲んでしまうのを見ました。

 ですがその程度ではへこたれないのがにんげんです。少し驚きましたが元気よく、「こんにちは百足土竜の兄。私にんげん、よろしくね!」と挨拶しました。

百足土竜の兄はぱさぱさと柔らかそうで、でも先端には力強く黒く輝く爪を備えた手で鼻の先を払うと挨拶を返しました。

「やっほー、にんげんと言ったね。俺は百足土竜の兄だよ。……俺が知らないって事は新しい兄弟でいいんだよね?だから俺が兄でいいんだよね?」

 そんな確認を犬に取って、にんげんが新しい妹だと分かると、そうかそうかといってにんげんの足元にまたぞろりぞろりと近寄りました。

それを見てにんげんが、「百足土竜の兄は長いねぇ。」というと。

百足土竜の兄は、「なんせ足が片側百本だからなぁ、それは長くなるさ。しかも一番前の土を掘る手を飛ばして数えても百本だぜ。自分でも時々この足の数には辟易するね。」と答えました。

 にんげんは、「へきえきってなあに?」と聞きます。

百足土竜の兄は「辟易ってのはそうだなぁ、持て余してうんざりする、なかったら良いのになぁとか考える事だよ。」と言いました。

それを聞いてにんげんは、「そっか、百足土竜の兄大変なんだね。」というと、百足土竜の兄は、「まぁ、でも自分の体の事だからな。うまく付き合ってくしかないさ。辟易するのも偶にだよ、偶に。ねぐらの穴を掘る時に凄く長く掘らなきゃいけないとか、そんなときだけさ。」と笑います。

 そして、「長いからこんな事もできる。」とにんげんの体をよじ登って巻きつき始めました。

にんげんは「あはは、くすぐったいよ百足土竜の兄。あはは、あはははは。」と笑っています。

 こうしてにんげんは、ちょっと大変な特徴があってもそれを受け入れて、付き合い方を考える事が大事なのだという事を百足土竜の兄に教わりましたとさ。

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