大きいと困る事
ある日にんげんは聞きました。
犬って兄弟の中で大きいほう?小さい方?と。
これには犬もしばらく頭を捻るとぶつぶつと、「栗鼠の兄が俺の指一つ分ないくらいだろ。」とか、「鯱の姉には片手で掴まれるし。」とか、「海月の兄に至っては俺は正確な大きさを知らないしな。」とか、色々言っていましたが、最終的にはこういいました。
「まぁ、ちょっと小さいくらいなんじゃないか。」と。
にんげんはそれを聞いて、「そっかぁ、犬でも小さい方じゃ私は凄い小さいね。」と言いながら犬の脚にしっかりとしがみつきました。
犬はなんでこんな事を聞くんだろうと気になって、にんげんにそっと聞いてみると、こんな答えが返ってきました。
「一番最初の兄は大きすぎて大変だったんでしょう?犬と比べてもとっても大きい兎竜の兄も周りに気を使って大変そうだし。犬も大変だと思ったことはあるのかなって思って。」
そう言われて思い返してみると、特に俺困った事無いな、と流しそうになりましたが、はっと気づきました。
「困った事ならあるぞ。」
そういうとにんげんが何で困ったのか聞きたがるので、ちょっと悪戯っぽく言ってあげました。
「お前がちっちゃい頃見たことの無いものを見るたびに駆け出そうとするのを止めるのに困ったぞ。力を入れすぎると潰してしまいそうだったしな。」
それを聞いてにんげんは身体を犬の脚から離し縮こまらせて、「ごめんなさい…」と言いました。
その様子が可愛くて、犬は、「冗談だ。気は使ったけど困りはしなかった。」と言ってちょっとしょんぼりしたにんげんの身体を鼻先で撫でました。
するとにんげんはぱっと明るい顔になって、「そうかな、ありがとね、犬!」と言って再び抱きつきなおしました。
犬はそんなにんげんを微笑ましく思いながら、こりゃもっともっと小さい頃に度々泣いて魚の姉を何度も困らせていた事は黙っておいた方が良さそうだ、と内心つぶやくのでした。




