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急転直下

 ある日、栗鼠の兄がにんげんに聞きました。

今までで一番大変だったことは何?と。

 にんげんは少し悩みました、大変な事になる前に大抵犬か魚の姉が事を収めてくれるからです。

それでも何とか大変な事は無いかと記憶を掘り返してみると、どうやら犬に乗り始めてからすぐの頃、犬が獲物になる動物を見かけて全速力で飛び出したとき投げ出された事が思い浮かんできたので、「犬がね、ヒュッて速くて私ポーンて飛んで、木にボキッて当たった時が大変だったかなぁ。私泣くし、私が泣くと犬も泣くし、それで魚の姉の所にいくと犬が凄く怒られたし。あ、痛いのはお母さんが乳をくれたからすぐ治ったの。でも魚の姉に心配させて怒らせちゃったのが大変だった。その後何日も抱え込まれたし。」と言いました。

 栗鼠の兄が、「うわぁ、あの速さの犬から投げ出されたんだ、そりゃ痛いよねぇ。魚を怒らせたのも大変だ。なるほどねぇ。」と言いながら犬のほうを見ると、犬はばつが悪いのか顔を逸らします。

そして、「あの時は悪かったよ。にんげんが弱い弱いとは聞いてたけどアレで掴まっていられないなんて思わなかったんだ。」と言って、場の雰囲気がちょっと重たくなりました。

 それを吹き払うように栗鼠の兄が、「じゃあ僕の一番大変だった話も聞かせてあげよう。にんげんはどんなことだと思う?」と明るい調子で言うと、にんげんはうんうん唸ってから、「木に登ってる途中で落ちた?」と言います。

いかにも無難な答えですが、栗鼠の兄はちっちっと手を振ると言いました。

「もっと凄い所から落ちたのさ。そこはね、お母さんの体の中からだよ。」と。

 にんげんはびっくりして、「どういうこと?」と聞きました。

栗鼠の兄は、「うん、僕は見ての通り小さいだろ?で、お母さんは大きい。それなのに体の下半分をにょろりと高く伸ばしてた時に僕が生まれたんだな。で、体の上半分と下半分の間にある子供が生まれる穴から僕はころころぽん、とね。生まれた直後から意識があったのにいきなりそれだろ?凄い驚いてさぁ。轟々音を立てて風が背後に流れていくんだよ。今森に生えてる木より断然高い所から落ちてたなアレは。それで下に見える水、その時は水なんてしならなかったけど、そこに落ちるんだろうな、と思ったんだけど、そこになんと翼狼の姉が偶然お母さんに乳をもらおうと空を跳んでた所でね、僕を見つけて拾ってくれたのさ。アレが一番大変だった経験かな。まだ乳も貰ってないのにあの高さから落ちたらさすがに僕も命が無かったと思うからね。」と語りました。

 それを聞いたにんげんは、「ふえー。栗鼠の兄の生まれ方って凄かったんだねぇ。」と感心しきりです。

そんなにんげんに栗鼠の兄は、「一番大きなの兄を産む時も凄かったらしいよ?何せ広くて深い湖は一番大きな兄が生れ落ちた時に地面が裂けて出来た穴に土の下から水が染み出して湖になったって話だからね。」と言い終えると、栗鼠の兄はこの話はここでお終い、と切り上げました。

 その後は今まで一番嬉しかった事は何か、なんて言う楽しいお話をして過ごしました。

にんげんはその話で楽しかったことを思い出して大いに笑ったりして、栗鼠の兄と犬を楽しませたと言う事です。

そして、大変だった話はなんだか落ち着かない気持ちにさせられるけれど、楽しい話は気分が軽くなってまた楽しくなる、と言うのを体験したのでした。

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