尻に敷く
にんげんが犬に乗り、にんげんに栗鼠の兄が乗り、森を歩きます。
栗鼠の兄は四つある目を輝かせて、「いいなぁ!にんげんはいつもこんな景色を見てるんだね!僕も犬に乗せてもらいたいなぁ。」とにんげんのほっぺたを両手で挟み込みながら叫びました。
にんげんは、「たしかに犬の上から見る景色は良いよね。栗鼠の兄も朝湖の畔に来れば一緒に乗れるよ。」と言いました。
でも犬は、「栗鼠の兄は乗せないぞ。」なんていじわるを言います。
にんげんが、「なんで?栗鼠の兄くらいちっちゃければ乗せてあげてもいいじゃない。」と言いますが、犬はふるふると頭を振ると、「このくらいの高さの視点なら栗鼠の兄なら木に登って見られるはずだからな。」と返しました。
この言葉ににんげんが、「そうなの?」と栗鼠の兄に聞くと「まぁ高さ自体はね。でもこうやって高い位置をするする進んでいくっていうのはできないなぁ。だから感心してるんだけど。」と言いました。
でもそういわれても犬は栗鼠の兄を乗せる気は無いようです。
その後もにんげんの「乗せてあげなよ。」、という言葉に首をふりふり。
その度に「栗鼠の兄は背中どころか頭までちょこまかしそうで危ない。」とか、「栗鼠の兄はうっかり落としたときに潰しそう。」などと理由をつけていました。
けれども栗鼠の兄がにんげんを止めて、「まぁまぁ、犬の気持ちも汲んであげようじゃないか。犬はにんげんと二人っきりの時間を取られたくないんだよね。」と言うと、犬はコクリと頷きました。
それを聞いたにんげんは嬉しさ半分申し訳なさ半分、だから犬にこういいました。
「あのね、それじゃ栗鼠の兄仲間はずれみたいで可哀想だからね。栗鼠の兄が私達が起きるより早く森から出てきたらいいでしょ?」と。
そこまで言われると犬も断ってばかりも居られません。
「しょうがないな。」というと頷きました。
それを見たにんげんは喜び、栗鼠の兄は「本当ににんげんに弱いんだなぁ犬は。これじゃ狼が駱駝の尻に敷かれてるのと同じようなもんじゃないか。」と言いました。
その後、にんげんが栗鼠の兄に「尻に敷かれるってどういう事?」と聞いて、「文字通りお尻の下に敷かれる、上に座られちゃうのさ。駱駝は狼を良い毛皮敷きだと思ってるみたいだよ。」と答えられたりしました。
それを聞いたにんげんが、「じゃあ私も犬を尻に敷いてるね!駱駝の姉と御揃いだ!」と喜んだりもしました。
犬はその間、栗鼠の兄がにんげんに妙な事を吹き込むんじゃないかと気が気じゃなかったという事です。




