月
ある日にんげんは月の照る夜に言いました。
「ねぇ犬、なんで夜のきらきらと昼のきらきらは仲良くお空に上がれないの?」と。
犬はそれに対して黙りこくった後、かなりゆっくりと口を開きました。
「それは、考えた事が無かった。俺にとって月と太陽…月が夜のきらきらで太陽が昼のきらきらだ…が何故同じ時に空に上がらないのかなど考えた事が無かった。ただ自然に空に上がり、下がる、それが続くだけだと思っていた。にんげんは違うのか?」と。
そんな犬の問いににんげんは言いました、「よくわかんない、でもね、仲良しは良いなって。私と犬みたいにつきとたいよう?も一緒にいればいいのに。」と。
犬はそんなにんげんに、「そうか、にんげんは誰かと一緒がいいか。」と言いました。
にんげんは元気良く、「うん!」と言いました、それから続けて、「できるなら、皆一緒!」とも。
犬は黙ってにんげんの頬を舐め上げました。
そして、「さあ、そろそろ寝よう。太陽がまた月を追い払ってしまう前に。」と告げ、にんげんの身体を毛皮の身体で包みました。
にんげんは、「うん。寝る。怖い夢見たら起こしてね。」と言ってすぐに寝入ってしまいました。
犬は寝入る前に、皆一緒がいい、か。にんげんが来るまで大体いつも一人だった俺には関係の無かった言葉だ、と思いながら、自分も眠りの中へと入っていくのでした。




