050_1810 巨兵Ⅱ~新兵器・新戦術デビュー!~
「ミスタ・トージ!」
「うぉ!?」
脳内センサーの反応が一直線に落下してきた。前傾姿勢からのけぞった十路の鼻先ギリギリを落下し、赤毛の後頭部が視界の三分の一を占める。
「一緒に来て欲しいであります!」
《バーゲスト》のタンク部分に居座り、腕の輪にもぐりこんだ野依崎が、首だけで振り返る。
言葉が省かれているが、どこへなど訊くまでもない。『それ』は海岸線に沿うように、西方向から進入してくる。
「スタビライザー!」
【EC-program 《Kinetic stviraiser》 decompress.(術式《動力学安定装置》解凍)】
だから海沿い近くまで出たら、高いビルに向かって車体ごと体を傾ける。当然激突することはなく、重力制御で壁面をフルスピードで駆け上がる。
その勢いのまま、屋上から宙に飛び出す。その途中で電磁吸収体の煙を突っ切ることになる。それで《魔法》が使えず飛べなくなるから、野依崎は《バーゲスト》に強制着地してきたのかもしれない。
重力に引かれて減速する前に、重力制御の方向をY軸からマイナスZ軸――つまり、空に向けて落ちる。投げ出されることはない。慌てて重力制御を解除し、地面に激突する無様も晒す必要はない。
ギリギリまで降下した《ヘーゼルナッツ》の中央ゴンドラ底部へと、なんとか着地した。移動速度差の慣性と、風圧の影響をもろに受け、大きく後退しながらも耐えた。
「どこから入れる!?」
「あそこであります!」
ほっとする間もない。飛行船の速度は、自動車よりも遥かに早い。しかも暴風に加えて、プロペラ駆動音の爆音がダイレクトに鼓膜を叩くため、至近距離でも怒鳴らないと声が聞こえない。上下反対になったまま、十路はオートバイをターンさせて、野依崎が指示するゴンドラ最後尾に走り。
輸送機のようなドロップゲートが開口し、その裏側を三次元的に走って、内部に飛び込む。
本物と比べればかなり小型ではあるが、そこはやはり輸送機のような貨物室だった。なにやら積み上げられたコンテナが固定されている以外、荷物はない。
停車させた途端、野依崎は飛び出して、内部への扉に。
「なにが起こってもコケるなよ」
【だったらラッシングベルトで固定してくださいよ……】
イクセスの文句は無視し、積荷となった《バーゲスト》はそのままに、十路も背負った大剣を揺らしながら野依崎に続く。
内部は艦艇の作りに似ている。配管などが剥き出しになった廊下を駆けると、金属的な足音が鳴り響く。しかし外見からして艦とは違う。航空機の構造だと考えて、先端を目指す。
行き止まりの扉は、簡単に開いた。本当ならばロックがかかっているだろうが、野依崎がわざとかけていないのだろう。
十路の予想通り、そこはコクピットと呼ぶべきであろう部屋だった。しかし部屋の暗さや設備は、やはり航空機のものとは異なり、戦闘艦艇の戦闘指揮所を思わせる。
野依崎はというと、責任者が着席するであろう、複数あるシートのひとつに着席していた。ケーブルを身につけた《ハベトロット》に接続し、タッチデバイスとなったであろうグローブ越しに操作卓に触れ、戦闘準備を進めていた。
座るシートの周囲には、ゲーム用と思われるスロットルレバーや、何本ものジョイスティックがある。周辺機器の端末から床にケーブルが伸び、ガムテープで固定している程度の杜撰さから、野依崎が改造したのではないかと推測する。
「UI chenge Blueshark.(ユーザーインターフェース切り替え、ブルーシャーク)」
設備は子供用に作られているわけではない。クッションが重ねられたシートに座っても、彼女の腕の長さでは、操作盤の奥に手が届かない。それをカバーするために、操縦インターフェースに切り替えた。生体コンピュータと艦の頭脳が接続されているなら、思考で操作することも可能なはずだが、手で直接入力するやり方を野依崎は取っているらしい。
「ミスタ・トージ」
不意に野依崎が《魔法回路》の浮かぶ瞳で振り返り、作業を止めた手を差し出してきた。
意図がわからないまま手を差し出すと、重ねた瞬間に目に見える風景が激変した。戦闘前に構築したリンクは、激戦や電場障害で切れてしまっている。それが再構築され、彼女の見ている風景が、十路にも見えるようになった。
「仮想現実……!?」
上には星の少ない夜空が。下には方々で火の手を上げる神戸市が。周囲には電磁吸収体の煙が。
計器類とガラススクリーンがひしめく暗い部屋が、三六〇度全方位、外の風景を映し出している。まるで空中に投げ出されたような錯覚を覚えるが、潮や煙の匂いも風もないから、現実ではないと理解できる。
「仮想現実艦艇操縦インターフェイス、知らないでありますか? まぁ、これはアメリカ海軍で開発中のものから、自分がかなり改良したでありますが」
そこだけ架空から取り残されるように、シートに座った野依崎が、空中投影されているスクリーンに触れながら返す。まだ研究開発中のシステムを超えるシステムを独自開発しながら、得意げな様子は全くない。当然自分の使い勝手がいいように、軍のものを勝手に改良していても、悪びれる風もない。
彼女は艦の設備を示している仮想のスクリーンに触れ、次々とアイコンを移動させている。同時に内部を写すカメラの映像で、機械が次々と動き、砲弾やミサイルをそれぞれの設備に装填している。
「仮想人格は?」
「大抵は無人で自律行動。機能接続した時には、AIに任せるより自分が操作したほうが早いであります。搭載する意味がないであります」
「その割にこの艦、ほとんど自動化されてるみたいだけど、俺が乗る必要あったのか?」
高度に自動化されている戦闘艦でも、火器管制に人の手が離れるほどではない。だから野依崎は同行を願ったのかと十路は思ったが、違った。
それに野依崎は振り向きもせず説明する。やはり悪びれている様子は皆無で。
「長時間の戦闘では人の手が必要であります。あと弾詰まりの可能性もあるでありますし」
「おい」
「作業用外骨格を搭載してるであります。ギックリ腰の心配なく、ミサイルも砲弾も楽々運べるでありますよ」
「そういう心配以前に、俺は雑用に呼ばれたのかよ」
「その言い方、戦闘艦の給弾手に失礼であります」
意図か無意識が不明だが、論点をずらして応じない野依崎に、十路は口を閉ざした。
本当に作業員が必要なら、一人ではとても手が回ると思えない。しかも彼女が勝手に追加の説明を行い始めたから、口を開く必要もなくなった。
「人手が必要なのも事実でありますが、演算能力が必要となるのかもしれないのであります。電波妨害と進路の関係上、部長たちまで回収するのは無理だったでありますが……」
砲を独立したゴンドラに搭載していることからわかるように、この艦は、長期的・継続的な戦闘能力に問題あるのだ。通常艦ならば問題にならないだろうが、今から相手をする艦では違う。
十路は周囲を見渡し、現状に把握する。
コンパスを示す表示と外の映像から、艦は現在回頭し、停まることなく南に移動している。そしてレーダーであろう映像が、海面を高速で南下する物体を示している。
《男爵》が望んでいただろう、野依崎との決着をつける戦いの場を移している。
「フォー。《トントンマクート》の艦構造がわかるか?」
「自分も情報を入手できなかったトップシークレットであります」
「《男爵》と真っ向勝負することになるだろうが、殺さずに無力化する手段があるか?」
「否。艦を撃沈すれば、否応なく生命の危機になるであります。かといって手加減できる相手ではないであります」
「殺すしかない、と思ったほうがいいか……」
部の不文律に触れる事態に、額に手を置いた十路は、しばし考える。
(構造がわかれば、手はあるんだが……無理だ)
手を血で穢すことを躊躇はしない。殺さなければ殺される環境に長らく居たのだから、そんな優しさという名の愚かさは持っていない。
しかし好んで殺したいわけではない。今の身分は学生で、これは部活動。必殺はできる限り避けるべき事柄だ。
「ミスタ・トージ。忘れていないでありますか?」
そんな葛藤を推測したか、ジョイスティックに手を乗せて、野依崎が問う。いつもどおりの平坦な声で。
「不文律は、《男爵》から破ったのであります。極めて個人的な感情で、《魔法使い》同士の戦闘に大量の民間人を巻き込んだのでありますよ。容赦する必要性がどこにあるでありますか」
「そうなんだが……」
「それに、であります」
尚を迷いを見せると、野依崎は振り返って付け加える。
「自分たちは《ムーンチャイルド》。人の手により製造された、正真正銘の人間兵器でありますよ? 兵器がひとつ破壊されたところで、どうしたというのでありますか?」
今度は眠そうな無表情ではなく、心底どうでもよさげな呆れ顔で。声には感情が乗り、嫌悪すら窺える。
その反応に十路は拳を軽く握り。
「あうちっ!?」
赤毛頭に振り下ろした。腕に込めた力は『殴る』までは行かないほどだが、なかなか鈍い音が鳴った。
「わざと自虐的に言うな」
「ミスタ・トージにだけは言われたくないであります……」
頭のいい人間とは話しにくい。理解できる前提で話し、言葉が足りず通じないのに、こちらの少ない言葉で察してしまうのだから。
「この事態は、自分の責任であります……決闘から逃げ、《男爵》を完全敗北させなかったツケでありますよ。ならば自分が、ヤツを殺さなければならないのであります」
頭を抑え、目尻に少し涙を浮かべていたが、屹然と野依崎は言う。きっとまだ手を穢したことがないこの少女が、同じ境遇の少年を手にかけることを、十路が迷ったのも承知して。
『あー、あー。テステス。十路くん、フォーさん、聞こえますかー? どーぞー?』
「ナージャ?」
どう返したものかと迷ったタイミングで、電波状態がよくないためノイズ混じりだが、どこかのスピーカーから緊張感が感じられないソプラノボイスが流れた。
『そちらの状況が不明なので、簡潔かつ明瞭に報告お願いしまーす。どーぞー』
「俺とフォー、あとイクセスは《ヘーゼルナッツ》に搭乗。南に離脱してる敵艦を追跡中だ」
△▼△▼△▼△▼
「ってことですけど」
説明が終わり、ナージャはスピーカーの音量を最大にした《魔法使いの杖》から顔を上げ、やはり無線を聞いていた二人に目で問う。これからの行動を。
『パンドラの煙幕』による電磁吸収体の煙で、《死霊》が消滅したが、同時に無線が使えなくなった。
だからナージャ・コゼット・南十星は、即座に合流し、視界が確保できる場所に移動していた。
「装飾杖のバッテリーがほとんど残ってないですわ……しかも交換しようにも、本のページも手持ちがないですから、今は無理ですわ……」
煙の間から遠ざかっていく機影を見つめながら、コゼットは歪ませた口元に拳を当てて考える。
ひとつひとつは小規模ではあるが、《死霊》の軍団を食い止め続けた防御に、コゼットは継続戦闘不可能になっていた。今のバッテリー残量では、《ヘーゼルナッツ》を追いかけることも不可能だろう。
「一発だけなら、花火が作れる」
トンファーをベルトに挿し、空けた両手を南十星が広げて現状を説明する。
なんのことか、コゼットにも理解できた。確かに量を用意できるなら、戦略攻撃規模の大破壊を可能にする物質だ。
「でも、届く距離まで近づけますかしら……」
南十星の《魔法》は汎用性があっても、近接戦闘に特化している。腕力だけでキロ単位の目標に届かせるなど、無理に決まってる。近づこうにも、戦闘艦同士の戦闘に巻き込まれる危険があまりにも高い。そうでなくても、破壊力が大きければ自滅する。
代わりにコゼットが発射しようにも、電力が乏しい。
悩んでいると、ナージャが口を挟んできた。
「状況にもよりますけど……わたしの《魔法》をプラスすれば、届かせることができるかもしれません」
彼女の特異な能力――時空間制御は、特化されていながら応用範囲が広い。その使い方は、前に彼女が見せたことがある。
神戸近郊の地図を参照し、生体コンピューターで計算する。弾体質量と初速のパラメータを変更し、幾度も同じ公式に当てはめて、何度も放物線を脳内に描く。
そして可能という結論が出た。あくまで理論値で、一度限りの現実が成功するか不明だが、それでも見込みは生まれた。
神戸市の混乱はまだ続いているが、《死霊》が消えて戦場が移動した以上、普通の人間でも対処できる範囲内の出来事だ。
ならば《魔法使い》しか対応できない事態に傾注するべき。三人が力を合わせれば、できることはまだある。
コゼットは決断し、大きく息を吸う。
△▼△▼△▼△▼
『不安要素超絶満載ですけど、戦艦相手でも一発だけなら、こっちから援護できるかもしれませんわ』
「ちょっと待ってください」
コゼットの提案に、十路は質問にはすぐさま答えない。
「フォー。対艦戦の経験は?」
ようやく戦闘準備は整ったか、止めた手をジョイスティックに乗せる野依崎に確認を取る。
「この艦、成層圏を飛ぶなら、真っ向勝負を想定してないだろ?」
「三〇〇時間のシミュレーションのみ。それも仮想敵は通常艦で。太平洋艦隊を全滅させたことはあるでありますが、あんな特殊戦闘艦艇とはやったことないであります」
「実体弾兵器だけではなく、確実に光学兵器を使ってくる。対策あるか? さっき使った『パンドラの煙幕』は、本来この艦には不要だから、装備してても量ないだろ?」
「ロケット搭載型のパンドラの煙幕は、自軍の援護用でありますよ。自艦防御用の投射型も、少しは装備してるであります。それに海上ならば、今の高度のほうが好都合であります」
「飛行船なら、イーグル計画と関係あるのか?」
「その実験機も兼ねているであります。ARMSを電磁加速砲ゴンドラに一基ずつ搭載しているでありますが、防御には全く期待できないであります」
「そうか」
「なにか作戦でも思いついたでありますか?」
「いや。俺には口出せないって再認識しただけだ」
ただでさえ元陸上自衛隊所属の十路では、海戦は専門外だ。加えて存在を知っていても、実物は見たこともない装備が搭載されているとなると。
理解が及ぶ範囲ではない。彼の知る対艦戦とは、上陸用ボートに乗り込んで近づき、高出力の《魔法》を放つだけ。乗り物や使える兵器が相手と同じ条件下で戦うこと自体が想定外だ。しかも双方とも既存戦術に当てはまらない艦ともなれば、もうお手上げだった。
「第五管区海上保安庁に連絡。警戒区域指定を発令させるように。距離的に無傷で済まない可能性が高いから、和歌山市にも避難命令を出すよう、関係省庁に」
「了解」
「部長。援護の準備を頼みます。使う使わないはさておいて」
『了解。直撃できなくても、敵戦艦への牽制くらいにはなると思いますわ』
用心と諦めを含めて、必要な指示は出した。
「フォー。頼むぞ」
あとは小さな艦長に従うしか、やることがない。
たとえ少女に、手を穢させることだとしてしても、勝利は譲れない。
△▼△▼△▼△▼
「援護できる場所に移動しますわ。急いで足と、使えるものと容器を探しますわよ」
やはり実戦経験は十路に遠く及ばないため、戦術選択に迷いがあったが、決定が出されれば早い。コゼットは部長らしく、毅然とした態度で部員二人に指示を出す。
「足はともかく、容器って?」
自分の血で固まった髪の毛をほぐし、ワンサイドアップを作り直しながら、南十星が問う。
「『花火』のですわよ。頑丈で密閉できて耐圧製があるもの。ベストなのは球状ですけど、砲弾型か、せめて円筒形。あんまり大きいと飛ばせないでしょうけど、そこそこは容積が必要ですから、せいぜい四、五〇センチくらいになりますかしら?」
「ぶちょーが作った方が早くね?」
「それすら怪しいバッテリーなんだっつーの」
厳密に言うなら、残り少ない電力を注ぎ込む目的はもう決定しているから。わずかな消費も避けたいため、弾体作成に使えない。
「その条件だと、やっぱりアレですかね?」
埃まみれになった髪を気にするナージャが指差す先に、赤い箱がある。設置されていたビルが破壊されたためだろう、瓦礫と一緒に道路に転がっていた。
「十路くんの十八番ですけど」
「結局今回も、魔改造することになるのですわね……」
汚れていても見える、表面に書かれた『消火器』の文字に、コゼットが深々と息を吐いた。
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準備を待たずに接敵する。道中に何事もなければ当然のこと。巨大な正体不明機は、航空自衛隊は手を出さない。領海侵犯している不審船も、海上保安庁には手を出せない。何事かが起こるはずはない。
第二の戦場は、日中に十路が推測したとおりになりそうだった。大阪湾と紀伊水道を分ける輻輳海域・紀淡海峡――和歌山市の真西とも言える位置にある無人島の陰に入り、目標艦は静止していた。
映像で拡大されている黒い艦体は、以前彼らが見た姿とは微妙に変化している。潜水のため、格納されていたのだろう武装を剥き出しにし、待ち構えている。
距離を詰めていくと、互いを全攻撃手段有効射程に捕捉する。
もっと早くから発射できた。だが有視界外から攻撃を加えても、簡単に対処されるのは予想できるため、双方とも発射しなかった。《魔法使い》が乗る次世代科学技術の戦闘艦に、現代軍事の水上戦術が通用するはずがない。
ならば時代遅れの接近戦を挑むしかない。相手が対応できない至近距離から、攻撃を叩き込む。
△▼△▼△▼△▼
「《Baron cimetiere》...Just as you wishes, Let's settled.(《墓場の男爵》……望みどおり、決着つけてやるであります)」
四四番と名づけられた少女は、両手それぞれにジョイスティックを握り、野良猫の怒りを吐き出す。
△▼△▼△▼△▼
「The show me your serious! 《Queen Mab》! (さぁ、本気を見せてよ! 《妖精の女王》!)」
七三五番と名づけれた少年は、チョコバーを咥えたまま操作盤に手を置き、毒蛙の歓喜を浮かべる。
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「《マブの馬車は榛の實の殼》――!」
半自律高高度要撃空中プラットフォームは、艦艇自衛システムMk.2特殊艦艇戦略軍仕様カスタムを本格駆動させる。
電磁加速砲が照準を合わせる。爆弾庫を開口する。対空・対地兵装を展開する。無人航空機を放出する。各種戦術出力デバイスが《魔法回路》を形成する。
△▼△▼△▼△▼
「《悪い子は麻袋おじさんがさらっちゃうぞ》――!」
水中翼付き五胴沿海域可潜戦艦は、戦術情報処理システムCOMBATSS-21+を本格駆動させる。
155mm先進砲システムが照準を合わせる。ミサイル垂直発射管を開口する。対空兵装を展開する。無人航空機を射出する。各種戦術出力デバイスが《魔法回路》を形成する。
△▼△▼△▼△▼
奇しくも距離を隔て、二人の《ムーンチャイルド》が同時に叫び。
「「斉射ッ!!」」
《巨兵》と呼ばれた超常の戦艦たちは、激突を開始した。




