自由の味
掲載日:2026/10/06
日曜の昼下がり。男が3辛のペペロンチーノを頼むと、妻が言った。
「ここのパスタ、辛いですよ」
「おれの自由だろ」
男は半分も食べれなかった。
翌朝、怪しい雲行きを見て、妻が言った。
「傘持ってった方がいいですよ」
「おれの自由だろ」
男はずぶ濡れになって帰ってきた。
翌年、退職金を全て株に注ぎ込むと、妻が言った。
「半分にした方がいいですよ」
「おれの自由だろ」
男は一文なしになった。
その夜。
男は、味のしないパスタを食べながら独りごちた。
「……おれの自由だろ」
それが彼の自由の味だった。




