竜王に差し出された従者は、笑わないこどもでした

「竜王に差し出されたのは、笑わない子供でした」

八歳の少年エリオット。母を亡くし、伯爵家の中で孤立してきた彼は、笑わず、子供らしさを持たない。
その小さな背に孤独を背負った幼い従者を、竜王アスランはちょっとした気まぐれで受け取った。

──気まぐれのはずだった。その胸の内を知るまでは。
その日から、竜王は少年から目を離せなくなっていく。

主と従者から始まる、十年の絆の物語。
孤独な竜王と、笑わない子供の出会いが、やがて国の運命を変えていく──。