009 裏切りの再会、魔王妃の微笑み
王宮の間に、何とも言えないピリっとした空気が漂っていた。私、セリアは魔王カイゼルの隣に座りながら、外の空気を感じていた。カイゼルは今や、私の最愛のパートナーで、頼りにしている存在。でも、それにしても、どうしてこう、裏切り者たちの影が私の周りをうろうろしているんだろう?
あの頃を思い出す。勇者として共に戦った仲間たち。裏切られた瞬間のあの冷ややかな目。その記憶は鮮明に残ってる。魔王妃としての地位を確立した今、彼らが戻ってくるのもわかっていた。私が力を持ち、カイゼルと共に頂点に立つことが、どうやら彼らには気に食わないらしい。何度も言うけど、これで私が悪いってわけでもない。
その時、王宮の扉が静かに開かれた。三人の影が現れる。その中に、あの顔があった。あー、懐かしいというより、むしろ面倒くさい。
「セリア……」
魔法使いのアレンが低く、冷ややかな声を発した。
「裏切り者」と、戦士のガルドが鼻を鳴らして呟いた。おやおや、さすがにキャラが変わってないね。
「私たちが、あなたを倒しに来た」と、僧侶のミレイが何もなさそうに言う。わかってるって、その台詞。いい加減、飽きた。
私はその言葉に少し目を見開いたけど、すぐに表情を無理やり戻して、冷静に向き直った。
「ようこそ、いらっしゃいました。」と、かつての優しさをすっかり消した声で言う。驚くべきことに、私自身がこんなに感情のない声を出せるとは思わなかったけど、まぁ、今はそれでいい。
本当に、こうして迎えるのもまた一つの面倒くささだなと思いながら、心の中でにんまりと笑っていた。
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