007 最強魔王妃、争いを眺める
セリアが思うように話を進めていると、予想外の展開が待っていた。なんと、カイゼルとアレスが一時的に手を組むことに! それも、「俺たちで手を組んで世界を征服しよう」なんて言い出して、セリアは驚くどころか、思わず吹き出してしまった。
「ちょっと待って、私、世界征服なんて興味ないんだけど?」と、心の中でツッコミを入れつつ、その馬鹿げた提案に笑わずにはいられなかった。
今、私はカイゼルの妃として、魔王城で最強の魔王妃としての地位を確立している。最強の魔王の隣で、言うなれば「王妃」なのだ。だから、世界征服とか、そんな面倒な話には興味がない。
カイゼルが真剣な顔で言っているその言葉に、セリアはしばらく黙ってからこう答えた。
「はぁ? いきなり何を言い出してるの? 私、あなたたち二人のために世界を征服する気なんて微塵もないんだけど。」
二人はそれぞれ、自分の正当性を主張してきた。アレスは「再び支配者として君を迎えたいんだ」と言い、カイゼルは「私が君を守り抜く」と言って、私のことを守るという意気ごみを見せてきた。
私はすでに最強の魔王妃として、どちらにも必要とされる立場になっていた。最初こそ意気揚々だった二人の結託も、時間が経つにつれて微妙にギクシャクし始める。結局、二人とも自分の方が優位に立とうと考え始め、どちらが「私を支配するか」の小競り合いが始まった。
セリアはその様子を見て、少し考えこんでから、内心でつぶやいた。
「やっぱり、こうなるんだよね。」
結局、二人の争いに巻きこまれる形で、セリアは動かずとも、最終的には彼らが自分に合わせる羽目になった。争っているように見えて、実はセリアが何もせずに立っているだけで、二人は次第に「セリア中心」に動くようになったのだ。
そう、彼女の思惑通りに。
「自由っていうのは、自分で作るものだって実感する瞬間ね」と、セリアは軽く肩をすくめながら、にっこりと笑った。
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