元・魔王 vs 新・魔王!? なんで私を巡って争うの?
かつて世界を支配していた魔王アレス。
そんな彼が今どうなっているかというと――ただの没落貴族の少年だ。
戦争で領地を失い、名誉も財産もゼロ。魔力もどこかに消え失せ、見た目は普通の人間そのもの。
「どうしてこうなる?」
そう嘆いているらしいけど、セリアからすれば「知らないわよ」としか言いようがない。
とはいえ、そんな彼が王都にやってきた理由は、ちょっと面白かった。
「新・魔王カイゼルに興味があって、お前に会いに来た」
――目の前で、元・魔王が真剣な顔でそう言い放った。
「え? あのときの!?」
思わず声に出してしまった。
だって、世界を大混乱に陥れた魔王が、今じゃ没落したなんて、笑えるじゃない?
「もう魔王でもないんだから、普通の貴族に戻ったら?」
彼はしょんぼりした顔をした。
こんな表情を見せる魔王なんて、聞いたことないわ。
「そんなことできるわけがない!」
「過去の話よ」
「もうちょっと労わるとかないのか?」
「元・魔王に同情してどうするのよ」
彼がふてくされた顔をした。そのとき、カイゼルが歩いてきた。
黒い礼服に銀の刺繍。高貴な雰囲気を漂わせた青年。
「彼女は渡さない」
アレスは、思わず聞き返す。
「お前が新しい魔王なのか?」
「そうだ。……セリアは私の妃だ」
勝手に話が進んでない?
アレスは腕を組み、複雑な表情を見せた。
「……つまり、お前が俺の後釜ってわけか」
「それはおかしな話だ。私は最初から魔王だった」
さらっと言い切るカイゼル。
……ふーん、そういう設定なのね。
この状況、普通なら怖がるところかもしれない。
でも、セリアの脳内では別の考えが浮かんでいた。
(これは、もしかして……元・魔王 vs. 現・魔王の対決?)
なんだかんだで巻き込まれ体質なの。
セリアはため息をついた。
面倒ね……でも、ちょっと面白くなりそう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!




