004 最強の魔王妃は揺るがない
王太子や貴族たちが悔やんでいる頃、私は魔王の隣で最強の魔王妃としての生活を楽しんでいた。あれほど「自由が一番!」と叫んでいたはずの私が、今では魔王の隣で自由に生きることこそが、最高だと感じている。人生って本当に面白い。
魔王城では、誰にも縛られることなく、私のペースで過ごすことができる。外の世界では「魔王の妃」として知られているけれど、ここでは誰も私の行動に口を出さない。思うがままに時間を使って、あれこれしても怒られない。まさに理想的な場所だ。
でも、「最強」って一体何だろう? 確かに力は重要だけど、それだけが全てじゃないと思うのよね。
私が思う「最強の魔王妃」とは、物理的な力ではなく、影響力だと思う。カイゼル・ノアーラ、絶世のイケメン魔王は確かに強いし、目を引く存在感を放っている。でも、彼が最強でいる理由は、私が彼の隣にいるからだと気づいた瞬間があった。
初めてカイゼルが私に求婚してきたとき、私は冷静に言った。
「自由が一番。」
すると、彼はニヤリと笑った。
「お前が自由を求める限り、私はお前に縛られることはない。ただ、お前が私の隣にいることで、すべてが変わる。お前の自由も、私の自由も、私たちが一緒にいれば完璧だ。」
その言葉が胸に響いた。私は彼に縛られることなく、むしろ彼が私に縛られている。私の「自由」が魔王の力をどう変えるのか、それが面白かった。
気づいたことがある。「最強の魔王妃」になるには、力も大切だけど、それより大事なのは「人を引きこむ力」だと。
私が魔王城でやることといえば、いつもみんなの話をじっくり聞くこと。周囲の人々がどんな感情を抱えているのか、それを感じ取ってから行動する。それが私の「最強」の秘訣。誰かの不安を察知して、その解決策を提案することができれば、その時点で私は勝ちだと思っている。
そして、カイゼルとの連携が何より大事。カイゼルが強いのは間違いないけれど、私が隣にいることで、彼の力をさらに引き出すことができる。それが私たちの強さの源だ。
力だけでは人々の心は動かせないし、強さだけでは世界を変えることはできない。私の強さは、相手を理解し、導く力だと思う。そして時には、甘い言葉で人々を巻きこむ力。それが、私の最強の方法。
面白いのは、誰も私がどこで力を使うのか予測できないこと。だって、私はもう昔のセリアじゃない。元勇者だった経験を活かしながら、今ではその力をどう使うか、まるでゲームみたいに楽しんでいる。最強の敵が現れたとしても、私はただ力任せに戦おうとは思わない。知恵を使って、時には人々との協力で勝つ。それが私の戦い方。
そして、最強の魔王妃として心がけていること。それは、自由を守ること。自分の意思を貫き、カイゼルとの絆を深めることで、どんな困難も乗り越えていける気がする。
最強の魔王妃になるために必要なのは、ただ力を持つことではなく、自由を手に入れて、それをどう使うかにかかっている。私にとって、それが本当の最強だと思っている。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。